苗字は固定になります
Merry Xmasー短編ー
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今年もやって来た
街が彩られるこの季節
子供の頃はワクワクしたけど、大人になった今はただ仕事が忙しい日と言うだけになってしまった
ま、それは私が彼氏いない歴=年齢だからというだけのこと…
『うぅ…寒いッ』
コートの襟を立ててポケットに手を突っ込んで
首を縮めて足早に歩く帰り道
早く帰ってコタツに入りお菓子でも食べながらテレビでも見よっと!
綺羅びやかな街を尻目にうつむき加減で早歩きをしていたら、急に視界に入ってきた靴
ヤバイ!と思ったけど遅かった…
ドシンッ!
真正面からぶつかって私は後ろに尻もちをついてしまった
『痛ぁ…』
そのままの状態でふと見上げれば
この街では絶対にぶつかってはいけない種類の人
「おい、姉ちゃん大丈夫か?」
「兄さん、ちゃんと前向いて歩けよ」
「悪い悪い、今アッチにええ女居ったんや〜ヒヒッ」
こ、怖い…
「おい、大丈夫…か?」
ハッ!
『あ、すいません!大丈夫です!』
スッと出された大きな手を掴めばいいのか?
お父さん以外の手を握ったこともないのに…
「おい、ほら」
『あ、ありがとうございます…』
大きな手に自分の手を重ねる
あ、暖かい…
「冷てぇ手だな」
『す、すいません!』
「姉ちゃん、良ぉ見たらかわええのぅ」
『えっ!?いやそんな事はないです!』
「ヒヒッ、なぁ暇なんか?」
『え?あ、え?』
「こんな日ぃに一人で歩いとるから」
なんか、ちょっとムッとした
「あ、スマン、図星やったか!」
『べ、別に!』
「ほなら、ええやん?ほれ行こうや」
「あ?兄さん、エリーゼ行くんじゃねぇ〜のかよ」
「ワシ、キャバ嬢よりこんな姉ちゃんの方が好みやねん」
『ちょ、ちょっと!』
なんか、腕を絡められ引きずられている…
「酒、飲めるか?」
『は、はい…一応』
「よっしゃぁ〜!」
「ったく、兄さんはいつもコレだ…」
結局、そのまま居酒屋→BAR→カラオケと連れ回され気付いた頃にはベロベロになってしまってた
そして、何故か私は上機嫌で
このヤバそうな二人の腕に絡まって
『もう一軒!行きましょう!』
などと言ってた
薄っすら覚えている大まかな記憶はここまで…
24日
クリスマスイブ
目が覚めたのは、ベッドが波打って
ゴツい腕が身体に絡みついてきたからだった
ん…ん…
ん…
ん?
ボヤケる景色
ボヤケているけどわかる
ここは私の部屋
うん
ちゃんと帰ってきている
でも、この腕は誰の?
一気に覚醒して飛び起きる
『ハッ…はぁぁぁ?』
腕の持ち主は
そう…昨日会ったばかりのあの人だ
部屋を見渡せば、その辺に脱ぎ散らかした服とバスタオル…
シャワーまでちゃんと浴びたのか…
そして…これは…
上半身裸のその人の肩から背中には
美しい彫り物…
逞しい筋肉質の腕…
そっと顔を覗き込む
ガバッ!っと捕まってその胸の中にギュギュっと押し付けられた
『ぎゃーーー!』
「んん…なんや…うっさいのぅ」
『な、な、な、なんでぇーー!』
よく見れば、自分もほぼ何も着ていない
「お、起きたんか?おはようさん」
『お、お、おはようさんじゃなくて…』
「もうちと寝てもええか?」
『え?いや、あの…』
脚まで絡められて逃げられない
「ええ抱き枕や、温い」
『ちょ…』
規則的な寝息が聞こえてきても、何故か力は緩まず…そのまま小一時間私はドキドキが収まらないまま抱きしめられていた
「んん〜!良ぉ寝たぁ〜!」
『あ、あのですね…』
「なんや、久美ちゃん…まさか…覚えとらんのか?」
『へ?あ…えっと…』
いつ、名乗ったんだろう…
一体何が…
と言うか、ナニがあったかなんてこの状況で大体わかるけど…
でも、相手はその筋の方
きっとワンナイトのただの行きずりの相手なんだろうよ
なんでぇ…初めての相手がこんな…!
「そっかぁ…覚えとらんのか…」
『あの…すいません…』
「部屋に引きずり込んで自分から抱きついてきて、あんなこともこんなこともお強請りしてきたのにのぅ…」
いやぁぁぁぁ〜!
経験もないのにどんな事をお強請りしたんだ!
知識はもっぱらレディースコミックとか小説…
頭でっかちのむっつりスケベぇ〜!
「イブやなぁ〜」
『え、そ、そうですねぇ…』
「ええプレゼント貰うてしもうたな」
『は?』
「久美ちゃんの、いろーんな【初めて】」
カァァァ!!
「正気になったところで、改めて貰おうか」
『は?いや、まさか…』
抱きしめられて、耳元にチュッと口づけと
「昨夜の久美ちゃん、めっちゃ可愛かったで?」
と言って、ハムっと耳たぶを食された
ビクッ!と私の知らない身体の反応が
もう逃れられないということを教えてくる
抱きしめられる心地よさと
甘い声と…
イブだから…
イブだから!いいかも…流されても…
何度目かの行為の後
この男「真島吾朗」は
「好きやで、久美…」
と、私を見つめながら蕩ける声で呟いた
それから、毎年のクリスマスイブは
「プレゼントは久美がええ」
と言う真島さんの妖しくて、どこか可愛らしいお強請りに付き合う日になっている
「あの時、俺に緊急の呼び出しがかからなきゃお前は兄さんと俺のどっちを誘ったんだ?」
『な、何言ってるんですか!?』
「いや、飲んでる時は兄さんに惚れてる感じはしなかったんだけどな…」
私は、未だにあの日の夜の事は思い出せてないし、真島さんも詳しくは教えてくれない…
「お前じゃなくて、兄さんが既に狙ってたのかもな…」
そんな桐生さんの呟きを聞き流しながら
私はイブイブの運命のイタズラに感謝していた
1/1ページ