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30ー(64)祈るだけ
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一時間と少し運転して着いた病院はどデカくてそれだけでなんだか場違いな感じがした
少し遅れて到着した救急車から久美は処置室に運ばれまたそこからレントゲンやらCTやら検査をされ、婦人科の診察を受けて処置室で痛みに耐えてた
「少しなら話せますよ」
看護師にそう言われ処置室に入る
寝心地の悪そうなベッドの上で腹を守るように丸くなっとる久美がいた
「大丈夫や、もうすぐ痛なくなるで」
『…ん…めっちゃ痛かった…診察も検査も…』
「可哀想にな、多分手術になると思うで、そしたらすぐ治るからな」
『早く取って欲しい…』
俺は手を握り頭を撫でてやりながら久美に話しかける
「ホンマはな、もっと検査してみてから何処を取るか決めたほうがいいんやって、でもな久美が痛がっとるやろ?だからとりあえず痛みの元凶だけ手術で取ることになりそうなんや」
『うん…』
「もし、開いてみて悪かったら全摘やて、大丈夫か?」
『大丈夫…』
「ん…俺がついとるからな」
『うん…』
失礼しますと声がし、医者が入ってくる
「5時から手術室が一つ開くので緊急で手術することにします」
『はい…』
同意書やらにサインをしたり、耳にたくさん着けとるピアスを外したり、それだけでも痛そうに顔を歪める久美
鼻から管を通して手術室へ向かう
看護師に入院の手続きやらタオルやなんやらのレンタルやらの紙を書かされ、どのくらい時間がかかるかわからないから家に帰っていていいと言われた
本当は帰りたくはなかったんやけど、面会時間も終わっとるし俺が居っても仕方ないと帰ることにする
せや、帰って下着やら要るもん揃えとかなな
とりあえずまた一時間かけて家に帰ってきた
服やらを取りに久美の部屋に入る
朝のドタバタのままの部屋
朝飲んだであろう痛み止めの薬の箱が置きっぱなしになっとった
相当辛かったろうに…
まさか今までもそんなことがあったんだろうか
そんな事も気づいてやれんなんて俺は…
ズキンッッ
と胸が痛くなる
そのまんま久美の部屋のソファに座って
頭を抱えるだけだった
何時間そうしてたのか
とにかく明日病院に行く準備をせなと
立ち上がると携帯が鳴る
見てみると知らん番号からやった
「もしもし」
「◯◯病院産婦人科の加藤と申します、久美様の手術が終わりましたのでお電話致しました」
「あ、ああ、ありがとうございます。どないですか?」
「腫瘍は10cm少しと、腹水がかなり溜まっていて取り除きました。卵巣が腫れて卵管が捻れた為に激しい痛みがあったようです。右の卵巣を摘出しましたのでもう痛みは無くなってると思いますよ」
「そんななっとったんですか…」
「そうですね、今までも何度か痛みがあったと思うんですけど」
「…全然気づきませんでした…」
「まぁ…病院嫌いみたいなのでね、我慢してたんでしょう。お腹も結構大きくなってましたので。本人は太ったんだと思ってたとは仰ってましたが」
「はぁ…ったく」
「明日またご本人にもお話します。病理検査してみないと良性かどうかはわからないので、またその時に今後どうするかを決めましょう」
「わかりました、ありがとうございました」
俺が忙しくなってからあの女のこと、立て続けにゴタゴタした事で久美に触れる事がなかったのは数カ月か…
あんな事もなければもっと早よ気づいてやれたかもしれんのぅ…
とにかく無事に手術が終わったことで
安心した
早よ久美の顔見たいわ
手術室で起こされて目を覚ますと
さっきの恐ろしいほどの痛みは無くなっていた
変わりにきっと手術で切った傷が痛いけど…
病室に運ばれてベッドに寝かされる
足にはマッサージ器のようなものをつけられていた
ん〜気持ち良いような…
それより体を動かすと痛いのでじっとしてるのも辛い
ベッドの横に携帯を置いてもらったのでメールしようと開いてみると充電が10%しかなかった
あぁ…でも一応心配してるだろうからゴローちゃんには終わったよってお知らせしとこう
ー手術終わりました👍
すぐに返信が来た
ーおお、医者から電話きてな聞いたわ、よく頑張ったな
ー充電がなくなっちゃうからあんまり話せなくてごめん
ーああ、明日充電器持ってくわ、他に欲しいもんあるか?
ーイヤホンとちっこい扇風機テーブルの上にあるから持ってきて
ーよし、そんなら早よ寝るんやで
ーうん、わかった、おやすみ
ーおやすみ久美、明日な
きっと凄く心配させちゃったんだと思う
アタシが病院やだっていうからね
こうしていても病院嫌なんだけどな…
一体何日で家に帰れるんだろ
ここがなんていう病院なのか、病室もどうなってるのかよくわからなかったけど
窓から見える夜景はとても綺麗だった