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24ー(58) 抑えつけていた心
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冴島組の組長室で、俺は壁に凭れ座ってる
口の中は切れて鉄の味がする
どうしてこうなったかと言えば
「なんやて!?」
「せやから、久美が家飛び出してしもうたんや」
「なんでや!」
「俺のせいや…」
「何言ったんや」
「俺の噂を聞いても責めもしないアイツになんや無性にイラついて…」
「お前…」
で、兄弟に思いっくそ殴られた
「中学生や高校生やあるまいし、何やっとんのや!お前は!」
「ホンマやな…」
「で、久美は?」
「さっきRebirthに行って見たんやけど、居らんかった」
「他に行きそうなとこはないんか?」
「Rebirthのママくらいかのぅ…そのくらいしかわからん」
「ママに連絡取れんのか?」
「いや、わからん」
「おい…どないするんや」
「じっともしてられんからRebirthの前で張っとこと思うわ」
「んなら、俺も探してみるわ」
「ああ、頼む」
店の入り口が見える向かい側のビルの壁に凭れながら、最初に久美をアフターに誘ったときを思い出した
あの時はまだ惚れとるのかもわからんかった
それでも、どうしてももっと深くまで知りたかった
今はわかる、大切な存在だ、何よりも
そんな思い出に浸っとったらママが店に来たのが見えた
壁から背を起こして店に向かう
「ママ」
「あ…真島さん…」
店の中に入れてもらう
カウンターに飲みかけのグラスがポツリと置かれていた
「やっぱりここに来とったんやな…」
「ママ、久美は?何処に居るん?」
「…」
「ごめんなさいね、言わないでって言われてるのよ」
「…なんでや…」
「私からも説得したのよ?とにかくキチンと話し合いなさいって、このままじゃ良くないって」
「久美は…なんて?」
「一瞬にして…崩れる音がしたって…」
「…」
「詳しいこと話してくれないから、あなた達がどんな話をしたのかわからないけど…それだけ言ってその後は何も話さないのよ、ただあなたがお店に来ても自分のことは言わないでって」
「…」
「久美ちゃんね、凄く我慢してたと思うの。もちろん、真島さんの仕事の事とかは理解してたからある程度は仕方ないと思ってたでしょうけどね…でも、お店でもいつも通り笑顔でいると思ったけど、ふといつも入り口のドアを見つめてた…」
「それと、SHELLYの澪ちゃんが来てね…」
「ああ、アイツ久美になんて言ったん?」
「…あなたと寝たって。どんなふうだったかとか…避妊もしなかったから出来ちゃったら困るって言ったら責任取ったるって言ってくれたとか…そんなのね、嘘だろうって久美ちゃんだって夜の世界長いからわかってたと思う、でも、万が一本当だったらって考えるじゃない?それ聞いて、その子にね、久美ちゃんが【真島さんの事ちゃんと幸せに出来ますか?】って聞いたのよ…」
「はぁ…」
「相手の子も何も言えなくなってたけど…久美ちゃんは凄く…寂しそうに見えたわ」
「忙しいなんて…言い訳や、なんも言わん久美をいい事に甘えとった」
「あのね、真島さん、あの子を救えるのはあなただけじゃなくなってるのよ?久美ちゃんはあなたから離れることも出来るようになってる。わかる?この意味」
「…ッ!」
「崩れ切ったら…もう戻せないわよ?」
「んなこと…絶対にさせん!」
「…前だって…色んなこと二人で乗り越えてた…こんな事で終わらせないで」
忙しくて疲れて辛いのは俺だけだと思っとった
それなら、久美だって寂しくて辛い時間を過ごしとったんやないか
何でそんなこともわからんかったんや
アイツとじゃないと、この先の道を歩いて行けへんのに
「ママ…頼む!教えてや!アイツの居場所」