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21ー(54)寂しい夜と涙
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もう一週間独りでの夕飯を取ってる
忙し過ぎて事務所に泊まり込んでいるゴローちゃんは毎日くれてた電話もなくなってた
なんとなく思いつきで事務所に差し入れでも持って行きがてらゴローちゃんの顔を見に行こうと思っておにぎりを握って袋に詰めた
ゴローちゃんの事務所に向かって歩きながら
夜のネオンが眩しくなってきた神室町に
一際大きく男たちの声が騒がしく聞こえた
なんとはなしにそっちへ目線を向ければ
キャバクラからご機嫌で出てきた男達
そのまま目を離せなかったのは、最後に出てきたのがゴローちゃんだったから
スラッと背の高い細身の上品そうな綺麗な女の人の肩を抱いてる
突然の事で咄嗟に路地に隠れてしまった
今までだって、お付き合いでキャバクラやらクラブやら行くことはそりゃあったし、ゴローちゃんはその方面からとてもモテるらしく付き合う前だってその光景は見慣れたものだった
路地からチラッと顔を出して見なきゃいいのにまた確認するかのようにその姿を探した
「ねぇ〜もう少し飲みたいなぁ〜」
甘ったるい声でそんな事を言う女を心なしか羨ましい気分になった
「おぉ、ええで!お前ら行くでぇ〜!」
「はい!親父!」
そして、その騒がしい軍団はまたネオンの中に紛れて行く
『なんだ…事務所に行っても無駄かぁ』
呟いて帰ろうと来た道を戻る
お腹がグゥ
〜っと鳴った
ちょっと悲しいなって気持ちなのに、お腹が鳴るなんて…コレが現実というものか
途中の公園に立ち寄ってベンチに座り
ゴローちゃんの為に握ったおにぎりを袋から出す
パクっと齧り付いた瞬間に涙が溢れた
こんな事で泣くなんて乙女みたい…
今までだってヤキモチ妬いたり喧嘩したり
家を飛び出したりしたこともあった
だけど、なんでかな
今回はこんな事で涙が出ちゃった
ちょっと淋しさがピークに来てたのかもな…
うん、年取ったんだな
涙をポロポロと流しながら独り公園でおにぎりにかぶりつくいい年をした女
笑っちゃう
そんな少しの復活を遂げたとき、ベンチの隣がギシッと鳴る
びっくりして隣を見たら
「こんな所で夕飯?」
『あ…三島さん』