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8−(41)普通ではない
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狂犬とか言われるくらいやからそりゃ普通ではないわな
根本的に極道なんて普通の奴はならんし
俺は、嶋野の親父に拾われた様なもんやけど
大体が家庭環境が悪いヤツやら、そもそも親がヤクザかチンピラやったヤツが多いな
俺は親なんかとうの昔に居らん
なんで居らんのかも知らん
それでも、男やった事でこうして生きる道は見つけられた
これが一般的に悪い道だとしてもや
30越えた今となれば、他の道で生きていくことも出来るかもしれん
せやけど、まだ青臭いガキが一人で生きていけるわけもなく、自慢できるのは喧嘩の腕だけなら、ここに来るしかないやろ
久美はどうや
アイツも早くから親は居らんようや
いつからなのかはわからんが、10代から一人でやって来たとママが言っとったな
アイツは女ということを武器に何とか生きてきた
世間からは白い目で見られるやろ
せやけど、なら誰かが手を差し伸べたんか?
久美は、童顔やから今でも見ようによっちゃ高校生くらいに見えなくもない
スッピンやとホンマ子供みたいやな
俺も久美も、世間からはみ出したのかもしれん
でも、一生懸命生きとるんや
なんて事考えながら、Rebirthで飲んどる
昨日は、親父に呼ばれて飯に付き合わされた
「お前が熱上げとるおなごに会わせぇ」
これ、いつか来ると思うたわ
カタギやからダメやって断った
普通、親に逆らうなんて言語道断なんやけどな
親父は、笑って
「お前の女食おうなんざ思っとらんわ」
ってガハガハ笑っとった
その時、Rebirthのママの話が出たんや
親父、知っとった
「アレはかなりの女やで」
「なんで知っとるんですか?」
「フン、お前も知っとるやつの女やったからや」
「あのママ、西の方に居ったみたいですけど…」
「せやな、アレは佐川の女やったわ」
「なッ…!」
「まあ、ゴタゴタする前に手放したみたいやな」
「ゴタゴタって…カラの一坪ですか?」
「ああ、そう考えると…ホンマに惚れとったみたいやな」
あの佐川が?
ホンマかいな
「ああ見えても、女には優しかったようや。ま、ワシもお前も女には優しいわな」
何が言いたいんや?
「そんな顔せんでも、なんも企んどらん」
親父が咥えたタバコに火をつける
「お前、錦山と面識あんのやろ?」
「まあ、少しは」
「たまにはアイツも構ってやれや」
「なんでです?」
「同じ塀の中の兄弟待つ身ぃやろ」
「ああ…」
「アレは、放っとくと捻くれるで?」
「お前は、兄弟がずっと塀の中やから比べられる事もないやろうけどな」
ああ、そういう事か
そもそもちゃう人間なんやから比べてもしゃーないのにな
「お前みたいんが居るとまだマシなんやないか?」
「錦山と仲良うしろと?」
「その辺はお前に任すわ」
あ〜また面倒なこと言ってきおった
これが言いたくて今日は呼ばれたんか
なんもせんわけにもいかない
ちゅうわけで、今日は仕事終わりの久美連れて
セレナにでも行ってみるか
居るかどうかわからんけどな
錦山も、普通やない極道の中におるのに、普通の社会みたいに桐生ちゃんと比べられて
愚痴れる奴が居ればまだええけどな