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24ー君がいるから
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真島side
午前中に、ヒルズに入るテナントの関係者との会議を終えて時計を見たらもうすぐ昼や
珍しく昼飯ゆっくり食えそうやなと思って、久美に電話する
『大吾さんとお昼行こうと話してたよ』
なんでやねん
俺に先に声かけるやろ普通
と思ったら、じゃあ一緒に行こうと言われた「じゃあ」が気に食わなくて、機嫌を取る久美に答えずにいたら、怒って電話を切られた
なんやねん
不貞腐れてる自分がだんだん恥ずかしくなって
もう一度電話をする
せやけど、呼び出しが鳴り続けるだけで電話に出ん
マジで怒らしてしまったかと自分のアホさ加減にため息が出た
どないしよ
と思ってたけど、こういうのは長引かせると不味いなと思い、警備会社の仮事務所に直接行くかと事務所を出た
早く久美に会いたくて急ぎ足で歩く
なんて言おうか
素直に「スマン」でええか
許してくれるかいな
今まで、喧嘩らしい喧嘩も殆どしてこなかった二人だが些細なことで久美を怒らすことはたまにある
自分がガキ臭い事をするせいやけど
久美のことになるとすぐ冷静さを無くしてしまう
早う会いたい気持ちと、まだ怒ってたらどないしよと不安な気持ちで意識は前にしか向いてなかった
細い路地を入って角を曲がろうとする時に
ふと聞きなれた声で呼ばれたような気がして
歩きながら振り向く
突然数メートル後ろから刃物を持った男が向かってきた
こないなもんで、俺が殺られるかいな
その腕を掴み捻りあげると刃物が落ちる
自然とそこに目がいった
血が付いとる
俺は刺されとらん
目線を前に向ければ、そこにうつ伏せに倒れとる人間…
久美…か…?
まさか…
俺はその男の顔面を思いっきり殴りつけ
「何しおった!お前!」
言ってももうソイツは伸びていて答えることはなかった
路地の脇の店から人が次々顔を出したり飛び出てくる
俺も走り出した
「久美ー!」
人垣が出来て、様子が見えない
人を掻き分けて辿り着くと
うつ伏せのまま、久美は動かなくなってた
「おい!久美!しっかりせぇ!」
抱き上げて名前を呼んでも、ダランとしたその重みが意識がないとわからせる
誰かが呼んだ救急車が近付いてくる
その音さえも、周りの人集りの声さえも
とても遠くから聞こえるようだった
「久美ッ!」
出血している胸の少し上の方を手で押さえる
どんどん俺の手が染まっていく
なんでや、なんでこんな事に…
人混みを掻き分けて救急隊がやって来た
何か話しかけられてるが、上手く答えられない
「久美が…久美が…」
「おい!担架!」
「運びます!」
担架に乗せられて運ばれて行く
「あなたも、一緒に!」
声を掛けられて、一緒に救急車に乗り込む
まだ、信じられない…
これはなんや?
夢やないのか?
青白い顔の久美の
手をずっと握り続ける
「声をかけ続けて下さい!」
と言われても
怖くて声が出ない
自分が刺された時はあんなに平気なのに
「久美…クソォ!」
やっと絞り出された声はそれだけだった
病院に着いて
久美は処置室に運ばれて行った
バタバタと人が行き交う中
呆然とただそれを見てることしか出来ない
「お知り合いの方ですか?身内の方ですか?」
「あ、ワシ…み、身内や」
「手術になります、こちらへ」
言われるまま手続きをして
手術室へ運ばれる久美を立ち尽くして見てた
少し、頭が働き出す
せや、連絡せんと…
携帯を取り出し
画面を見ると、いくつも着信があった
開くと大吾や
直ぐに大吾に折り返す
「真島さん!」
「大吾か?」
「今、病院ですか!?一体何が!」
「わからん…わからんけど…久美が刺された」
「こっちに警察が来て―」
「あの男、捕まったか?」
「は、はい…真島さんを…狙ったみたいです」
「なんで…久美が」
「今からそっちに行きます、警察も行くと思いますんで」
暫くすると、大吾と警察が来た
「神室署の者です、お話いいですか?」
「ああ…」
「男の話だと、あなたを狙って後をつけている時に、あの女性が掴みかかってきたと言ってます、それで揉み合って刺したと」
俺を庇ったっちゅうんか?
「真島さん…」
「なんでや…久美…俺の事なんかええのに…」
「真島さん、なんであんな所にいたんです?」
「お前んとこに行こうとしてたんや、久美に謝ろうと…」
「ああ…」
「なぁ…久美死んだらどないしよ…」
「死にませんよ!しっかりして下さい!真島さん!!」
「ゴッツイ血出とったんや…」
それから暫く、大吾と二人何も話さず
手術が終わるのを待ってた
途中で、兄弟も駆けつけてきて
「兄弟…何があったんや…」
俺は、手にこびりついた久美の血を
洗うことも出来ず
何も答えることも出来ずにいた