真島さんから、一緒に暮らしたいという事を言われてから色々と考えてた
娘の意見がどうなのか…一番の難関だし、年頃の女の子だから、家族以外の男の人と暮らすって言うのは現実的に難しい気がする

でも、ゆっくり行こうって言ってくれたし
あまり考えすぎないようにしよう
私は娘といるのも真島さんといる時もどっちもとっても楽しくて幸せだから
だからこそ、この関係が崩れるのを恐れてる

そういうことも素直に真島さんに伝えてる
「ええで、久美の事ずっと待ってられるからな、ゆくゆくは…っちゅうことや、それにそのくらいの覚悟はあるでって伝えたかったんや｣
と照れ臭そうに言ってくれた



そして、今日は
真島さん、桐生さん、冴島さん、大吾さん
というなぜこのメンツなのか…
と、飲んでいる

「先日は、本当にすいませんでした｣
『あ、もう、そんな』
「大吾ちゃんもうええわ｣
『あの、…その後、あの女性は…』
「ああ…その…｣
「なんだよ、ハッキリ言え｣
「フラれました…｣
「「「『ええ！？』」」」
「そんないきなり告ったんか？｣
「いや、まあ、行くなら今かなと思って…｣
『でも、その方、まだ真島さんの事…』
「そういう弱ってる時に行くって手もあるにはあるが…｣
「んな小細工なんかせんと、行きゃええねん｣
「でも、あれやな、上手くいったら兄弟と兄弟になるわな｣
「ちょ、冴島さん！やめてくださいよ｣
「まあ、極道の中そんなん多いわ｣
「それなら、俺は兄さんと兄弟になってもいいぞ、兄さんの後の久美は俺が貰おう、予約だ｣
『は！？』
「そりゃ残念やな〜桐生ちゃん、ワシは手放さへんでぇ〜、久美の最後の男になるんや｣

「せいぜい捨てられんようにな、兄弟｣
『捨てるなんて、とんでもない！』
「せやな〜俺に夢中やもんなぁ〜｣
『ま、まあ…』
「ったく、見せつけやがって｣
「なんなら、来世もワシのもんや、絶対に探し出してやるでぇ」

ホントに、夢中なんですフフッ

｢せや、ワシやっとこ久美の娘ちゃんと会ったんやでぇー｣
｢おお、どうだったんだ？｣
｢なんや…娘ちゃんは普通だったけどやな、ワシがめっちゃ緊張してしもうたわ｣
『フフッ』
｢思い出して笑うてるな｣
｢最近の若い子は度胸あるんやで｣
『真島さんのこと、カッコイイおじさんだねって言ってましたよフフッ、背デッカイ！って驚いてました』
｢おお、良かったやないか｣
｢まさか、その格好で行ったんじゃないよな？兄さん｣
｢さすがにな、スーツやで？年頃の女の子やからな〜｣

『アニメのキャラで居そうって言ってました』
｢確かに居そうやな、悪役でな｣
｢実際、悪役やし｣
『フフッ』

｢なんか、真島さんと久美さんって…ホントにいい関係ですね｣
｢大吾ちゃんも久美みたいないい女探せや｣
｢はは…なかなか出会えそうもないですね｣
｢では、俺も兄弟になります！桐生さんの後に久美さんを頂きます｣
『はい？！』
｢その時には久美相当歳食ってるな｣
｢婆さんになっても俺のもんや！他当たれ｣

｢冴島はどうなんだ？｣
｢ああ、ワシはもう間に合っとる｣
｢ああ？｣
｢なんやと？｣
｢おい、いつの間に…｣
『ど、どんな人なんですか！？』
｢久美と同じ普通のカタギさんや｣
『わ、今度是非会わせて下さい！』
｢せやな、久美友達になってやってくれや｣
｢なんだよ、みんな充実してるな｣
｢桐生ちゃんも、キャバクラばぁっか行っとらんで作りゃええやないか｣
｢フンッ｣

なんだか、とんでもない展開になってきたけど
気になるのはやっぱり冴島さんの彼女
どんな人なのかなぁ〜



その日の帰り道

｢兄弟にも春が来おったか〜｣
『ホントですね』
｢しかし、いつの間にアイツ｣
『フフッ、真島さんだって同じじゃないですか』
｢そりゃそっかヒヒッ｣
｢俺らヤクザも、もう時代に合わんようになってきとるからな…｣
『そうなんですか？』
｢せやで、だから俺なんか真島建設立ち上げたんやで？｣
『え！？建設会社もやってるんですか？』
｢ああ、3年前くらいにな…まあ、ちょっとした事で東城会離れとった時があってのぅ、そん時に組員引き連れて建設業始めたんや、デッカイビル建ててるんやで〜｣
『す、凄いですね』
｢せやから、ヤクザ辞めても十分やってけるわ｣


な、なんか…私真島さんのこと知らない事まだまだあるなぁ
さすが真島さん！
元々そういう才能もあるんだな
なんだか、ますます私でいいのかなと思っちゃう

｢久美｣
『ん？』

｢今回の大吾ちゃんの余計なお世話で、久美のこと失う怖さ知ったわ｣
『…』
｢嘘だとしても、もう好きじゃないって言われた時、ハジキで撃たれた時より痛かったわ｣

『あ…ごめんなさい、あれは…』
｢わかっとるよ、でも…ホンマ怖かったわ｣

『私も…』
『真島さんとの時間が幸せすぎて…思い出にできるのか、正直自信がなかった』
『真島さんが、幸せになるならって大吾さんの話を信じたけど…やっぱり私なんかじゃダメなんだって…｣

｢なぁ…これだけは言えるで｣
｢これから先も、絶対に久美のこと離さへん｣

『真島さん…』
｢何があってもや｣
｢いうても、俺の幸せはもうこれしかないんやで？久美と一緒がええ｣
『ありがとう…』
｢ん？｣
『私の事、太陽の下に連れ出してくれて』
｢…｣
『ずーっと暗い道ばっかり歩いてきちゃったから、眩しくて…なかなか馴染めなかったけどフフッ…これからもちゃんとついて行きます』

道端で、急に抱きしめられた

『ま、真島さん！？』
｢今までの辛かった時間の分…幸せになろうや｣
『うん』



神室町のゴチャゴチャなネオンが
いつもどうしようもない自分を隠してくれてた
そんな場所で、真島さんと出会った
そして、私を救い出してくれた
やっぱり、私はこの街が大好きだ
だって、ここに居るといつも真島さんに見守られてる気がする


久美これからは同じ道を歩いていこうな
お前となら、辛くても頑張れそうや
どんなことも乗り越えて行けるで？
ずっとずっと久美の温もりを感じていたい
愛し続ける
誓うで！