「久美さん｣
『え？あ、はい』
「俺の勝手な暴走で…失礼なことも言ってしまって、すいません｣
『あ、いえいえ』
「もっと早く久美さんの事を知ってたら…きっとこんな事しなかっただろうな｣
『そ、そんな…』

『真島さんが…その、とっても温かい人なんですよ、私は、真島さんに救われたんです』
「とても…その、なんて言うか…強いですね、久美さん｣
『え！？、な、何言ってるんですか！そんなことないですよ』
「いや、男から見たら分かります…俺は…偏った見方をしてました｣
『買い被りすぎです』
「冴島さんや桐生さんが、今回久美さんの味方をしていたのも頷けますよ｣
『…』
「俺も、もっと早くに出会ってたかったなぁ｣
『いや、あの…』
「でも、嶋野の狂犬の女じゃ誰にも手は出せませんよ…アイタタ…｣
『あの、大丈夫ですか？』
「ああ、こんな事よくあることですから、極道なんで｣
『そ、そうなんですね…』
「真島さんは、強いからそんなに怪我してる事も無いでしょうけどね｣

確かに…
今のところ見たことないかも
大吾さんと話をしていたらやっと終わったのか
二人が戻ってくる

「はぁ〜やっぱり桐生ちゃんはゴツイのぅ！｣
「兄さん、二回戦目なのになんだ？あの速さは｣
「そりゃお前、楽しくてしゃーないんやもん｣
「こっちは全然楽しくないぞ｣

今度は真島さんも少しだけ怪我をしてるみたい
大丈夫かな…でも、平気そうかフフッ
桐生さんってホントに強いんだな…

「さて、久美帰ろか｣
『あ、はい』
「ほんじゃな、桐生ちゃん大吾ちゃん｣
『あ、失礼します』
「ああ、久美またな｣
『はい』
「またなぁ〜？｣
「兄さん…｣

フフッ真島さんのまた素敵なところをひとつ知ったような気がした
そして、今回のことで真島さんがいつも言ってくれる言葉は信じられるものなんだと、改めてわかった
私も本気で真島さんにぶつかっていこう
繋がれた手は
あの時とは違って
とても温かかった


―｢大吾、惚れるなよ｣
｢いや、桐生さんこそ｣
｢フッ、喧嘩なら負けないけどな…久美の心ん中には兄さんしか入れないぜ？｣
｢兄さんより、先に出会ってればな…｣
｢ホントですね…あまり今まで会ったことのないタイプの女性で…｣
｢お前は、兄さんの前の女に惚れてるんじゃなかったのか？｣
｢え、あ、いや…まぁ｣
｢そっちも厳しそうだな…｣