「おいコラ！なーにどさくさに紛れて久美のこと口説いとるんや！このスケコマシが！｣
『真島さん』
「なんだ兄さん、もう終わったのか？｣
「なんや？桐生ちゃんもやるかぁ？｣

真島さんの後ろからボロボロになった大吾さんが…

『え、ホントに喧嘩！？』
「だから言っただろ｣
『て、手当しないと！』
「殺されなかっただけ…マシですよフッ｣
『大吾さん…』
「兄さん、意外に甘いな｣
『あ、あの…』
「なんですか…｣
『その、例の女性は？どうしたんですか？その方は本当に真島さんのこと…』
「久美、そないな事気にせんでええ｣
『でも、真島さんの事を本気で好きって言うのは…私には痛いほどよく分かる気持ちなので…』
「真島さんが、これほど惚れるのがよく分かりましたよ｣
「やろ？｣
「ホントだな｣
『？？？』
「彼女のことは、俺が…その、何とかします。引っ張りこんだのは俺ですから｣
『あ、…はい…』
「でも、大丈夫なのか？色恋沙汰の恨みは怖いからな…久美に何かしようとかそんなのはないのか？｣
「そんな事はさせませんよ、今度こそ殺されます｣
「ヒヒッ、せやな｣
『なんか、好きなのに別れたって…聞いたので…今回自分がそうなったら痛いほど気持ちがわかっちゃって…』
「久美、昔の話…まあ、特に女の話なんぞしてこなかったけどな、あれは引き裂かれたんやないで｣
「『え！？』｣

「アイツがなんて言ってたか知らんがのぅ、ま、付き合っとったのはホンマや。せやけど、東城会のためにとかそんなんで別れた訳やない｣
「で、でも、あの時そんな話題で持ち切りでしたよ！｣
「んなもん誰かが面白おかしく噂しとったんやろ｣
「兄さんの女の話なんて、俺は聞いた事ないけどな｣
「ヒヒッ桐生ちゃんは、興味なかっただけやろ？……確かにあの時は東城会はめちゃくちゃで、桐生ちゃんは俺に丸投げしてカタギになるし、宙に浮いた組引き取って、金も集めなアカンし、そりゃもう忙しかったわ、女と会う暇もなかったわな…それで、アイツは我慢出来んかったんやろ｣
「そ、それは、なんかスマン兄さん…それで他に男でも作ったのか｣
「んまあ、そんなとこや。せやけど、ヤクザの俺よりずっとええやろ？｣
「そ、そんなことだったんですか…でも、真島さんの事を忘れられなかったって言うのは本当みたいでしたけどね｣
「嫌いになって別れたわけじゃないってのは、ホンマやからな、そう言う終わり方すると自分の中でやたら美化してまうんやないか？｣
『…』
「付き合ってる時やって、俺は喧嘩の方を優先しとったからのぅ、今みたいに毎日電話したりなんて事しとらんかったで｣
「ッ！！、真島さん、毎日電話するんですか！？｣
「なんや、文句あるんか｣
「そ、そこまでとは…｣
「知ってたら、こんな事しなかったか？大吾｣
「そ、そうかもしれません…｣
「わかったらええねん！俺と久美は誰にも引き裂けんで？東城会だろーがなんだろーが久美に手ぇ出したらぶっ潰したる｣
「兄さんなら、本当にやりそうだな｣
｢あったり前や、久美と離れるより怖いもんなんか無いわ｣
「真島さん、久美さん…本当にすいませんでした！｣
「ヒヒッ、ま、勘弁しといたるわ、な？久美」
『え！？あ、えっと、はい』

「ところで、桐生ちゃん…さっき聞き捨てならんこと言っとったなぁ〜｣
「あ？なんの事だ｣
「とぼけるなや〜｣
「二回戦スタートや！｣

と言って今度は桐生さんを連れて出ていってしまった…
元気ですね…