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19ー仮面
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あれから、私はまた仕事を変えた
まあ、家は越してないから家に来られたらアウトなんだけど…
でも、少しお金を貯めて近辺でも引っ越そうかな
別れのメールを送ってからひと月
まだそれしか経ってないのか…
真島さんと、話さない日なんて無かったから
凄く長く感じる
あの会長さんは、上手くやってくれてるんだろうか
それとも…過去愛してた女性と再会して
直ぐにヨリを戻せたんだろうか
考えても仕方ないのに
浮かぶのはそんな事ばかり
もう、神室町にも行けないな…好きな街だったのに
駅を出てスーパーへ向かおうとした時
「久美」
声をかけられる
振り向くと桐生さんだった
『え?』
「久美」
『どうして…』
駅ビルの脇の細い通路
そこに腕を引かれて連れてこられた
『桐生さん、どうしたんですか?』
「お前、ホントに兄さんと別れたのか?」
やっぱりその事か…
『そうです』
「なんでだ」
『…』
そんなこと聞かれても…
嘘の別れたい理由なんて思い浮かぶわけが無い
「なんかあったんだろ?」
『なにも…』
『真島さんには、幸せになってもらいたいと思っただけです…私じゃ出来ないから』
「本気か?」
『…はい』
「兄さん…今幸せそうなんかじゃないぞ」
『でも…』
「何があったんだ?」
『本当に愛してる人と一緒に居る方がいいと思っただけです!失礼します!』
「おい!」
腕を掴まれるけど、振り払った
『もう…ほっといて!』
ごめんなさい…
辛すぎて無理…
買い物も出来ず
トボトボと帰り道をなるべく時間をかけて歩く
辛い時の復活の仕方…忘れちゃったじゃない
あんなにたくさん幸せをくれたから
前を向こう
私は弱くなんかない
大丈夫…一人でも…大丈夫
車のエンジン音がする
鼓動が早くなった
家の前に誰のだかすぐにわかる車があった
嘘でしょ…
後部座席のドアが開く
会いたかったけど、会いたくなかったその人がゆっくりと目の前に…
「久美、ちゃんと話して貰うで」
『…』
『話すことなんてありません』
「あるやろ!あんな一言で終わらせられへんで!」
車から降りてきて私の腕を掴む
その手は凄く…冷たかった
車の中に押し込められて
「全部話せや、嘘つくんやないで」
『東城会の会長さんに聞いてください』
「大吾に?アイツになんか言われたんか」
『…』
「大吾に何言われたか知らんけどな、俺はお前を手放す気ぃはサラサラないで」
『…』
「何とか言えや!」
強く私の肩を掴んで揺さぶる
『…私は…もう、真島さんの事好きじゃありません』
「嘘や」
『嘘じゃないです!』
「なんでや」
『…』
「理由があるやろ」
『会長さんに…別れるならって、お金を貰いました。どんなに働いても私なんかが手に出来ない程の額です』
「金をとったちゅうことか?」
『そうです』
「…」
ドカァッ!と前の座席を蹴る
『ッ!』
「わぁーったわ」
私はドアを開けて逃げるように降りた
車はUターンして走り出す
その一瞬、真島さんと目が合った
あんなに悲しい顔をさせてしまったんだ…
私…何やってんだろ
でも、もうきっとこれで終わり
真島さん…どうか幸せになって
もうそんな悲しい顔しなくてすむように
ホントはそうじゃないのに
そんな風に気持ちを誤魔化すしかなかった