苗字は固定になります
15ーはしゃぐ大人
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日
旅行2日目
夜…色んな意味で疲れたせいか二人揃って寝すぎてしまった…
急いでシャワーを浴びて支度をして出発する
「とりあえず、海行こか」
『フフッそうですね、海見に来たから』
「ヒヒッ」
なんか、怪しい笑い方をする真島さん…
今日は、いつもの眼帯は外してサングラスをしてるんだ
また見慣れない真島さんで…ドキドキしてる
ホテルから近場の白い砂浜の広がる海
夏が終わったと言っても、まだ人はチラホラいる
波打ち際まで靴を脱いで裸足で歩く
足が砂に埋まる感覚がなんだか懐かしかった
通り過ぎた人が振り向いて(ねぇ、あの人カッコイイ)なんて言ってるのが聞こえてちょっと嬉しくなった
背が高くてそれでなくても目立つんだよね真島さん
寄せては引く波打ち際で立ち止まると
真島さんに抱き抱えるように羽交い締めにされる
『ちょ、な、なに!?』
「ヒヒッ、ほれ、波が来るで?」
前を見ると今まさに波が打ち寄せようとしてる
強く締められた腕はビクともしない
「来たァー!」
『きゃぁ!』
足までは届かなかったものの、真島さんはまだ離してはくれない
『やっ!ちょっと』
「次はどないかのぅ」
次にやってきた波は少し大きい
ヤバい!
と思った時にはもう遅い
私と真島さんは、ズボンの裾まで濡れてしまった
『あー!もぅ!』
「ヒヒッ、あー濡れてしもーたぁー!」
『子供じゃないんだから!』
「エエやん!楽しもうや、俺、こんなんしてみたかったんや」
『え?』
「子供の頃海なんか来た記憶ないしやな、女と来たこともない」
『私が…初めて?』
「せやな」
初めて…
真島さんの…初めて…
そんなことを思ってる間にも波が打ち寄せる
立ちすくんだ私達の足は、波にさらわれた砂のせいで少し埋まる
まるでそこに二人きりで、そのまま海に取り込まれていきそう
でも、不思議と怖くなかった…
ハッと我にかえって
『とりあえず、これ以上濡れると不味いです!』
「確かにな」
そう言うと、突然お姫様抱っこをされて
波打ち際から少し離れたところに降ろされる
『は、恥ずかしいですよ…』
「何がや」
『や、あの…人目が…』
「そんなん気にする事あらへん、気にしとったらつまらん」
それは一理あるけど…
私には恥ずかしいの!
だいたい、そんなに若いカップルでもないのに!なんて思ってる私の事なんてお構い無しではしゃぐ真島さんがなんだかだんだん可愛く見えてきた
波打ち際で海を見つめてる真島さんを、トンっと軽く押してみた
「うおっ!」
『フフッお返し〜』
「危なっ、やりおったなぁ〜」
『きゃー!』
服が濡れるのも気にせず
二人、よくある陳腐なドラマのように水を掛け合ったり手を繋いで波から逃げたり
楽しそうに笑う真島さんに私も嬉しくなってきた
「あーあ、随分濡れてしもーたなヒヒッ」
『フフッホントに』
「はぁ〜せやけど楽しかったな〜」
『うん』
「夢が一つ叶ったわ」
『え?』
「俺、こんな普通の事もしてみたかったんや」
『普通?』
「俺、極道やし」
『…』
「こんなふうに幸せやなぁ〜なんて感じること出来へん思うとった」
『他にも夢、あるんですか?』
「ヒヒッ、内緒や」
『えー』
「そのうちな!また叶ったら教えたる」
「さ、風邪ひいたらアカンし行こか」
『はい』
とりあえず、車の後部座席で濡れてしまった服を着替えた
後ろはスモーク入ってるし、運転席と後部座席の間を置いてあったブランケットで隠してくれた
真島さんは、運転席でサッサと着替えを終わらせて濡れた服は後ろのシートに広げておく
「ちと、はしゃぎすぎたかのぅ…」
濡れた服を見ながらそんな事を言ってるけど、顔はにやけ顔
『たまには子供みたいに楽しむのもいいんじゃないですかね』
「ん〜たまにはな!」
『フフッ』
そして車は走り出す
すると、突然ギュッと手を握られた
凄く…強く
『どうしました?』
「ん?」
『凄いギュッ〜ってしてるから、フフッ』
「スマン、痛かったか?…なんや…このまま帰しとうないなぁとか思うてたら…つい…気持ちがな」
『真島さん…』
「思うとるだけやで?ちゃんと娘ちゃんとこに帰すわヒヒッ」
真島さんといる時は、ただの女で
何も構えることなく、素直で無防備でいても許される
誰に許されるって、自分に…
自分で自分を許すことが出来るの
これでもいいんだって
私も、こんなふうにしてもいいんだって…
私からも、ギュッと手を握る
前を見たまま真島さんも応えるようにギュッとしてくる
これだけで、真島さんの気持ちは痛いほど伝わる…私の素直な気持ちも伝わってるかな