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13ー心を支える柱
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「おっ!海や!」
私は窓の外を見る
朝日に照らされた海がキラキラと眩しい
『わぁ…綺麗』
「ちと降りてみるか?」
『うん!』
車を停められそうな所を見つけて
外に出る
朝早くの空気はキレイで澄んでる
地平線のすぐ上には、昇ってきたばかりの太陽
手すりに凭れて眩しさに目を細める
『キラキラしてる…』
「綺麗やな」
『うん』
「久美の髪もキラキラしとる」
と言って髪の毛をサラッと搔き上げる
海風が搔き上げた髪をフワッと持ち上げて
擽ったくて少し首を縮めた
『海の匂い、久しぶり』
「俺もや」
『広いなぁ』
後ろから抱きしめられる
「久美はちっこいなぁ」
『フフッ、真島さんはデッカイです』
「ちっこいからスッポリ包めるわ」
『あったかい…』
真島さんは、海みたい
広くて大きくて
安心する
「よし、行くで」
『はい』
また車に乗り走り出す
とりあえず、何処かで朝ごはんにしようって事になって、途中で朝早くても開いてるファミレスに寄ってご飯を食べた
コーヒーを飲みながら
「さて、どこ行こかな」
『伊豆って、出っ張ってるとこですよね』
「せやで」
『んと…』
スマホで調べる
『グルっと回るとか』
「2泊3日でか」
『無理ですかね』
「行けるんやないか?」
『伊豆って結構何回か来てて、朧気ながらですけど』
「思い出巡りか?エエやん」
『え?』
「久美が行ったことあるとこに行ってみたいわ」
『真島さん…』
『でも、そんなにハッキリ覚えてないですよ』
「新しく思い出作ってもエエしな」
この人は…ホントにもう…
『ありがとう…』
「な、なんや」
『なんか、言いたくなりました』
「変なやっちゃなヒヒッ」
とりあえず、熱海目指してまた走り出すことに
「眠くないんか?」
『眠りたくないんです』
「まだ時間たっぷりあるんやから寝てもエエぞ」
違うもん
一秒でも大切なんだ
楽しい時間ってあっという間に感じちゃうから
だからこの幸せな時間を少しでも長く感じてたい
『大丈夫です』
「頑固やな〜」
『フフッ』
つけてるラジオから私の好きな曲が流れてきた
こんな偶然ってあるの?って思えるような…
声には出さず、口ずさんでた
「エエ曲やな〜」
『私このグループ学生の時から好きなんです、兄と何回かライブ行ったりもしてたんですよ、この曲は辛い時良く聞いたなぁ…』
「あ〜分かるわ、なんや久美ちゃんに言っとるみたいな歌詞やな」
(一人で頑張らなくてもいいんだよ、負けたっていいんだよ、誰だってそんなに強くはないから、目の前の僕を信じて、もう独りじゃないよ)
『…』
「俺の思っとる事代弁された気分や」
『え?』
「ホンマ!このまんまや」
『…』
「照れんなやヒヒッ」
「いつも言っとったやろ、もっと頼れっちゅうて」
『はい…』
「みーんな幸せになる資格があるんや、形は違ってもな、だからそこにその道があるならそこを歩いてエエんや」
「まあ、ゆっくり行こうや!なっ?」
『うん…』
ずっと、一人で食いしばってやってる時に
負けそうで涙が止まらない時に聞き続けてた曲が
今、こんな形になってまた私を包んでくれることになるなんて…
あの時とは違う種類の涙が滲んできそうになる
「どした?」
『あ、ううん…』
「泣くなら、俺の手が空いてる時にせぇや」
『どうして?』
「抱きしめてやるからや」
『んもぅ!』
何度も何度も、私の心をジワ〜と暖かくしてくれる
凍えた心が溶かされていくのを感じてた