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8、解されていく
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「そろそろ帰るか?娘ちゃん帰る頃やろ」
「久美子供居るのか?」
『あ、はい』
「しかも高校生やで」
「そんなデカい子供がいるように見えないな」
「なぁ」
「兄さんも、その子供と会ったことあるのか」
「いや、俺はまだ会うてはないな」
『…』
「そうなのか」
「久美、警戒心人一倍強いんや」
「兄さんなら、信用しても大丈夫だと思うぞ?」
『…もちろん、真島さんの事は疑ったりなんてしてません』
「…」
「ならなんでだ?」
『娘の方が…受け入れられるのか心配なだけです』
「なるほどな、確かにそうだな」
「まぁ、俺ヤクザやしな…こんな成りやし」
『で、でも…きっとわかってくれると思います…まだ私が伝える勇気がないだけで、すいません…』
「久美が謝ることないで?その辺は大事なとこやからな、全部久美に任せるわ」
「なんか、いい二人だな」
「ヒヒッ、羨ましいやろ?」
「ああ」
私みたいなのが、恋人で羨ましく思えるわけないのにな…
こんな…素敵な真島さん…
もっと素敵な人が真島さんには似合うのに
もしも、そんな人がこの先現れた時…
私は清く身を引けるのかな
「どうしたん?」
『え?、あ、いえ』
モジモジしてると
「羨ましいよ、兄さん」
「あ?なんや」
「惚れた女がそばに居てくれるってのがだ」
「…せやな」
『…?』
「久美も兄さんが居て良かったな」
『はい!』
「ヒヒッ、照れるわ」
桐生さんと別れて、真島さんの組の車で送って貰ってる時に
「桐生ちゃんは、今は一応カタギやから…安心せい」
『?』
「ヤクザの知り合い増やしとうないやろ?」
「ホンマは、会わせたい奴おるんやけど…久美があんまりヤクザと関わりとうなかったらエエんや」
『会わせたい人って、誰ですか?』
「渡世の兄弟や」
『兄弟…』
「ああ、五分の盃を交わしたっちゅうやつや」
『それは…大切な人ってことですか?』
「ああ、せやな」
『会いたいです』
「ホンマか?」
私は、真島さんを見ながらコクッと頷いた
「そうか…会ってくれるんか」
『私なんかが、そんな大切な人に会わせてもらえるなんて…』
「まーた、私なんかって言うのやめ」
『あっ…つい』
「ったく」
と言いながら、頭を撫でられる
そのまま、肩を抱かれた
「俺が一緒に居たいって思うた女なんや、自信持て」
『…はい』
いつもの家の近くの坂の下に車が停る
『あ、あの』
「ん?」
『この坂の上のところなんです』
「お?おう…」
『家の所まで送ってくれますか?』
「…っもちろんエエで!」
『坂を登りきった所の、電話ボックスがある所です』
「おい、そこまで行けや」
「はい、親父」
初めて、私の家の下まで送ってもらった
『ここの四階です』
「ほぉ〜そか」
『じゃあ、ありがとうございました』
真島さんと、運転手さんにお礼を言って
車から降りようとすると
真島さんに後ろから抱きつかれる
ギューッと強く抱きしめられてびっくりした
『ま、真島さん?』
「おおきに、久美」
そう呟くと、手を緩めた
私は、それに対して言葉が見つからず
ただ嬉しくて
笑顔で手を振った
車がUターンして
角を曲がって
見えなくなるまでそこに立っていた