苗字は固定になります
31−すり減った心
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『はぁ…はぁ…』
「久美ッ!」
『いや…だ…やめて…』
「大丈夫や!もう大丈夫やで?」
『はぁ…殺して…』
「…ッ!」
『もう…殺してよ…』
「何言っとんのや!久美俺やで?な?」
『もう…帰れない…こんな…私…』
『もう…会えない…死にたい…死にたいの』
「久美…」
「兄さん…」
久美は天井を見つめたまま
ずっと「死にたい」「殺して」と言い続けた
まるでそれしか喋れない人形みたいだった
表情はまったく動かず口だけがそれを繰り返す
きっと、アイツにそう言い続けたんやないか
監禁されとる間ずっと…
それから、俺は出来る限り久美のそばに居った
時々久美は、ベッドの上で狂ったように暴れ出す
その時は仕方なくベッドに縛り付ける
すると、今までに見たことないような恐ろしい目で俺の事を見てくる
柄本に「これは、本当のコイツじゃない」と宥められたが、何度も心が折れそうになった
泣き叫んで「死にたい」と言う久美を、何度も何度も抱きしめた
落ち着くと
『真島さん…』
と俺の名前をハッキリと言えるようになった
だんだんと、落ち着いてる時間が多くなってきとる
そんな時は、俺から離れようとせん
ずっと手を繋いでないと泣き出す
落ち着いてると言っても、まだ以前の久美ではない
『真島さん…ごめんなさい』
「何がや?」
『私が馬鹿だったから…私のせいで…私が悪いことしたから…』
「久美はなーんも悪くないで?」
『…』
『でも…言われるの…お前が悪いって…もう戻れないって…頭の中に…』
「…」
「戻れるに決まっとるやろ!俺がついとる、大丈夫や」
座ってる久美をそっと抱きしめる
背中をポンポンと叩いてやる
俺の胸に久美の涙が滑り落ちるのを感じた
「どした?」
『こんな私になっちゃったのに…』
「何言っとるん、久美のせいやないって言っとるやろ?ほんならちゃんと俺も付き合ったるわ」
「な?だから治すことだけ考えよ?」
『うん…』
久美を救出してから3ヶ月経った
今は、柄本のところから家に帰ってきてる
俺がどうしても仕事から抜けられない時は柄本の所に連れてっとる
まだ、時々急に幻覚を見たり聞いたりするみたいや
その時はいつ死のうとするかわからないため
念の為そうしとる
あれから、まだ他の奴らには会わせてはない
久美は大吾の事を心配してたが、無事だったことを伝えるとホッとしてた
自分が巻き込んでしまったと思ってたみたいや
一度、泣き喚いて暴れとる時に
『なんで!?なんで私ばっかりなの!こんなのもうやだぁ!』
と言っとったことがあった
いつも暴れる時は支離滅裂なことを言ったりする事が多かったのに、この時は心の叫びを聞いたようで、抱きしめながら俺も一緒に泣いた