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31−すり減った心
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バァーンと玄関が開く
「兄弟!久美は!?」
兄弟と大吾が駆け寄ってきた
久美を見て「ま、まさか…」と大吾が呟いた
俺は、久美の腕を縛っていた縄をドスで切り
前のめりに倒れてくる久美を抱きとめた
「帰ろうな、久美」
『かえ…る…』
「せや、俺と久美の家に帰ろ」
クタっと倒れ込む
抱き上げた久美に、桐生ちゃんがジャケットを掛けてくれた
「コイツどないする?」
「今までやったら海に沈めてたところや」
「大吾、コイツ連れて警察行けや、今までの事話して」
「いいんですか?それで」
「殺してやりたいのは山々やけどな…俺はこれから久美と一緒に居ってやらんと」
兄弟が乗ってきた車に、久美を乗せて寝かせる
俺の膝に頭を乗せてやると前と変わらぬように
俺の腰に自然と腕を巻き付けてくる
「ギリギリだったか」
「ホンマや」
「頑張ったんだな…久美…兄さんの事忘れないように…」
「…」
髪を撫でる
サラサラだった髪は、縺れて指が引っかかる
頬は痩け、さらけ出された腕は細く
手首にはずっと縛られてたのか、何度も擦れて血が滲んどる
こんな姿にされて…
それでも、俺とあやちゃんのために…
どれだけ怖かっただろう
いつまで続くかわからん地獄の中で
久美は…
「兄弟、家に帰る前に柄本の所連れて行けや」
「…せやな」
「薬打たれとったなら、抜かなアカン」
「クソッ!」
桐生ちゃんが吐き捨てて窓の外へ目を背けた
「これからの方が大変やぞ?」
「わかっとる、絶対元に戻してやる」
「俺らも居るからな」
「そうだぞ、兄さん」
「ああ、わかっとる」
東京までの帰り道、久美は眠り続けた
ゆっくり寝ることさえも出来なかったんやろ
もっと早く…見つけてやれてれば…
神室町に帰ってきて柄本の所へ連れていった
事情を説明すると苦い顔をする
「どの程度の中毒になってるかわからんが、もし監禁されてる間続けて打たれてたなら時間がかかるぞ」
「ああ…」
ベッドに寝かされた久美は
時々苦しそうな顔をする
嫌なことを思い出しとるのか
久美の手を握って、早う忘れさせてやりたいと思っとった
そこに、桐生ちゃんと一緒に伊達のオッサンがやってきた
「堂島大吾が、仙台署に男を連れてきた。監禁、覚せい剤取締法違反で緊急逮捕したそうだ。被害者はその女性か」
「ああ、せや」
「被害者を連れて東京に戻ったと聞いて、警視庁から俺が来たって訳だが…、まだ話は聞けそうにないか…」
「久美は、罪にはならんよな?」
「まあ監禁された上だから強制的に打たれたんだろう、大丈夫だ」
「良かった…」
「伊達さん、久美にどうしても聞かないといけないのか?」
「そうだが、治療中って事でまだ急がなくても大丈夫だろ」
「どのくらいかかるかわからんで?」
「そんなに酷いのか?渋谷には、お前と娘さんへの殺人教唆の疑いも含まれてる、とりあえずはそっちで詰めるだろう」
寝とる久美に視線を戻すと
額に汗が流れとる
拭いてやろうとしたらカッ!と目を開けた
「ッッ!!」