そうして、立派なお着物をたくさん頂いた。
実際、着付けを教えてもらうために大吾さんのお家に遊びに行かせてもらったりもした。
何故か吾朗さんも付いてきたけど…

（わぁー！極妻みたーい！）
「あ？なんや極妻って」

あ、ヤバイ！この世界ではそんな映画ないか

（いや、そのままです）
「ま、そりゃそーや」
（凄い！大人っぽく見えますよね？吾朗さん）
「あぁ…そやな」

チッ、あんまり興味ないのね…露出の多い服にしか…

それからはちょくちょくお茶をご馳走になったりなんだか女子会みたいな感じで凄く楽しく仲良くさせて貰ってる
東城会では、真島の女として話題に登ってたってのを弥生さんから聞いてなんだか、そんな大層な人間でもないのに恥ずかしくて…
それで、結城組の騒動の時に吾朗さんが弥生さんに東城会を辞めるとか言ったときの話も聞いた

「あの時はさ、何を女一人のことでって思ってたんだよ」
「あの喧嘩狂の真島が極道以外で生きていけるわけないとね」
「だから、ゴリ押しすればどうにかなるかと、ま、あたしもさちょっとやり過ぎたね」
（…）
「相手のお嬢さんが、前から真島の事を気に入ってたらしくてさ、なら話は早いじゃないかって早合点しちまったのさ」
（は、はぁ）
「男なんて、若い子が好きだろってねアハハ」
「うちの旦那、堂島なんてそりゃもう女癖悪くてさ、どうせそんなもんだと思ったのさ」
（なるほど…）
「そしたらどうだい、あたしの所にやって来て、目の前で土下座して」
（え？土下座？）
「そうさ、それで「どうか、俺達の事を認めてください。もしも出来ないのなら東城会を辞めさせてもらいます」ってね」

吾朗さんが…

「あの時の真島の眼は、狂犬のそれとも違う、女の一生を背負う覚悟を決めた男の眼だったよ」

そ、そうなんだ…

「あんたは幸せ者だよ。大体極道の妻なんてもんは碌な目に合わないか、あたしみたいにアチコチに女作られても目を瞑らないとならない。そんな一生さ」

幸せ者かぁ…ほんと幸せ者だな

「ただ、コレだけは言っとくよ。極道者はいつ死ぬかわからない、明日かもしれない10年後かもしれない、命の危険とはいつも隣り合わせだからね。特にあいつ…真島みたいな奴はね」

そ、そうなんだよね…それはまだアタシには覚悟が出来てない。だってそんなの絶対に嫌だもん

「あたしもさ、堂島には先立たれたけど…今でもあの人のことは愛してるよ」

弥生さん…そっか…覚悟ってそういう事なんだな…それならアタシももう覚悟は出来てる

「これからも困ったことがあったら直ぐに頼ってきな」
（はい！ありがとうございます）
「可愛い娘が出来たみたいで、結構嬉しいんだあたしは」
（お言葉に甘えさせて頂きます）

弥生さんからも、アタシの知らなかった吾朗さんを教えてもらった
あの時にもうそこまで考えてくれてたなんて…
今日は吾朗さんの好きなもの作ってあげよっ！