そして…たどり着いたところは
見知らぬ埠頭

ありがちな場所だな…
そこの一つの倉庫へ引きずられて
冷たいコンクリートに転がされる
腕と脚は縛られてる

『いっ…た…何すんのよ！』
「黙りな！アンタ、あたしがヤクザの娘だってわかってんの？アンタ一人くらい簡単に殺れるし死体だって処理しちゃえばわかんないんだよ？」
『…っ！』
「そのムカつく顔を先ずは切り刻んでやろうか？真島さんに嫌われちゃえばいいのよ！」

女が腕を振り下ろす
『…っ！』

頬を生暖かいものが流れる
あ…
女は小型のナイフを手に笑ってる

「いい気味！フフっ」
『やめて！』
「さあーて、もっと傷付けてあげる」

その時

キキィーー！
バンッ！！

「何！？」
「お嬢！真島と桐生です！」
「何ですって！なんでバレたのよ！」
「早く逃げましょう！あの二人に敵うわけない！」
「うるさいっ！それならコイツここで始末してやる！」

「久美ー！」
「久美っ！」

「アンタはもう終わりだよ」

その女が体当たりのように、アタシにぶつかってきた
同時に、なんかお腹が熱い…

『ぅ…グッ…』

女の手の中のナイフが、アタシのお腹に突き刺さる

え…うそ…

「久美ー！」
「オマエぇ…何しとんや！」
「あたしは、真島さんのために…」
「兄さん、久美を早く運ばないと！」
「久美？久美！大丈夫やで！もう大丈夫やからな！」
『ま…じま…さ…』
「久美！」
『桐生…さ…ん』

「真島さん！」
「お前…」

女は兄さんの恐ろしいその怒りの目に
震えだす

「だ、だって…好きなんだもん…真島さ――」
「うっさいわ！お前、久美にもしもの事があったらただじゃ済まさへんで！」
「兄さん！早く！」
「チッ！」

車に乗せられ、普通の病院には行けないので、アタシは柄本医院に運び込まれた