day by day
◆いっぱい食べる君が好き!
食欲の秋、とはよく言ったものだ。
武者から「ねぇ志賀、図書館によく来るご婦人に栗と葡萄をたくさん貰ったんだけど、せっかくだから何か作ってよ!」と言われたのが昨日。んじゃ早速、と下拵えだけ済ませて、今日。武者と有島、多喜二を呼んで食事会を開く。たまにこうして料理をふるまうんだが、最近は司書も参加するようになった。こいつがまたよく食うんだ。最初は驚いた。控えめの量にしてやったら、「女だからって私の胃袋舐めないでください」と、それこそ多喜二に負けないくらいの量をたいらげちまった。その食いっぷりを俺が気に入っちまって、それからは司書も食事会に誘っている。今日も多喜二の横にちょこんと座っていた。
「今日のメニューは、葡萄とチーズのサラダ、栗のポタージュ、栗と鶏肉のうま煮、栗と秋刀魚の炊き込みご飯、モンブラン~栗の渋皮煮を添えて~、葡萄のゼリーの秋の味覚コースだ。葡萄ジュースもあるぞ」
次々とテーブルに並べられていく料理に四人の目が輝いていく。
「お、美味しそう~~~」
「さすが、志賀君だね」
「うんうん、昨日貰ったばかりの栗と葡萄をあっという間にコース料理にしちゃった!」
三人の声に多喜二もコクコクと頷いている。
「では、いただきます」
料理を一口含むと感嘆の声が上がった。うん、我ながら上出来だ。特に多喜二と司書は箸が止まらないらしい。あっという間にたいらげておかわりを要求してきた。たくさん作ってあるからそう慌てるなって。
それにしても。
「多喜二はともかく、あんたそんなに食って大丈夫なのか?太るぞ?」
「こら志賀!レディに向かってそんなこと言っちゃ駄目でしょ!」
武者に小突かれ「すまん」と謝る。
「でも、司書さん普段はこんなに食べないよね?」
有島の言葉に司書は箸を置く。食堂のも美味しいんですけど、と前置きをして、照れながらこう言った。
「好きだから」
志賀先生のお料理がとっても美味しくて、止まらなくなっちゃうんです、と。
「食べながら、ああ、やっぱり好きだなぁって」
まじか。嬉しさに頬が緩む。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。そうかぁ、好きかぁ」
わしゃわしゃとつい司書の頭を撫で回してしまった。
「ちょ、志賀先生やめてくださいよぉ」
司書が抗議の声を上げるが、これくらい許してくれ。
「ごちそうさまです」
多喜二が箸を置いた。
「お、珍しいな?お前いつもならもっと食うだろ?」
「いや……お二人を見てたら腹がいっぱいになりました」
「そうだねぇ、僕も有島もお腹いっぱいだよ」
「ふふ、二人は仲が良いんだね」
多喜二に続き武者も有島も席を立ち、「あとは二人でごゆっくり」と食堂を出ていってしまった。
静かになった食堂で、俺たちは顔を見合わせる。司書は少し顔を赤らめながら「あの、もう少し、食べてもいいですか?」と聞いてくるので「おう」と答える。
美味しそうに頬張る司書を眺めながら、ああ、こいつのこの姿が俺は好きなんだなぁと目を細めた。
食欲の秋、とはよく言ったものだ。
武者から「ねぇ志賀、図書館によく来るご婦人に栗と葡萄をたくさん貰ったんだけど、せっかくだから何か作ってよ!」と言われたのが昨日。んじゃ早速、と下拵えだけ済ませて、今日。武者と有島、多喜二を呼んで食事会を開く。たまにこうして料理をふるまうんだが、最近は司書も参加するようになった。こいつがまたよく食うんだ。最初は驚いた。控えめの量にしてやったら、「女だからって私の胃袋舐めないでください」と、それこそ多喜二に負けないくらいの量をたいらげちまった。その食いっぷりを俺が気に入っちまって、それからは司書も食事会に誘っている。今日も多喜二の横にちょこんと座っていた。
「今日のメニューは、葡萄とチーズのサラダ、栗のポタージュ、栗と鶏肉のうま煮、栗と秋刀魚の炊き込みご飯、モンブラン~栗の渋皮煮を添えて~、葡萄のゼリーの秋の味覚コースだ。葡萄ジュースもあるぞ」
次々とテーブルに並べられていく料理に四人の目が輝いていく。
「お、美味しそう~~~」
「さすが、志賀君だね」
「うんうん、昨日貰ったばかりの栗と葡萄をあっという間にコース料理にしちゃった!」
三人の声に多喜二もコクコクと頷いている。
「では、いただきます」
料理を一口含むと感嘆の声が上がった。うん、我ながら上出来だ。特に多喜二と司書は箸が止まらないらしい。あっという間にたいらげておかわりを要求してきた。たくさん作ってあるからそう慌てるなって。
それにしても。
「多喜二はともかく、あんたそんなに食って大丈夫なのか?太るぞ?」
「こら志賀!レディに向かってそんなこと言っちゃ駄目でしょ!」
武者に小突かれ「すまん」と謝る。
「でも、司書さん普段はこんなに食べないよね?」
有島の言葉に司書は箸を置く。食堂のも美味しいんですけど、と前置きをして、照れながらこう言った。
「好きだから」
志賀先生のお料理がとっても美味しくて、止まらなくなっちゃうんです、と。
「食べながら、ああ、やっぱり好きだなぁって」
まじか。嬉しさに頬が緩む。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。そうかぁ、好きかぁ」
わしゃわしゃとつい司書の頭を撫で回してしまった。
「ちょ、志賀先生やめてくださいよぉ」
司書が抗議の声を上げるが、これくらい許してくれ。
「ごちそうさまです」
多喜二が箸を置いた。
「お、珍しいな?お前いつもならもっと食うだろ?」
「いや……お二人を見てたら腹がいっぱいになりました」
「そうだねぇ、僕も有島もお腹いっぱいだよ」
「ふふ、二人は仲が良いんだね」
多喜二に続き武者も有島も席を立ち、「あとは二人でごゆっくり」と食堂を出ていってしまった。
静かになった食堂で、俺たちは顔を見合わせる。司書は少し顔を赤らめながら「あの、もう少し、食べてもいいですか?」と聞いてくるので「おう」と答える。
美味しそうに頬張る司書を眺めながら、ああ、こいつのこの姿が俺は好きなんだなぁと目を細めた。