【鬼蜘蛛丸】

朝日が昇りはじめた浜辺、鬼さんの三歩後ろを彼の背中を見ながら歩く。仕事前の散歩だからのんびり出来ないけど、振り返ってニコッと笑ってくれる鬼さんが素敵なので、少し歩幅大きくして隣に並んで歩いてみる。
するとソッと手を握られたので、驚いて鬼さんの顔を見ると照れくさそうに目をそらすので、私も恥ずかしくなって顔を背けながら手を握り返す。

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いつも笑顔だね〜、安心する、こっちまで元気になるよ
それが私のキャラクター。すごく誇らしいことだし、私が私らしくいるために笑顔は不可欠だ。
でもたまに私が笑顔でいる意味ってなんだろう？と考えることがある。そんな時は故郷の海を眺めてお日様に当たって何も考えないようにする

あまり人に見つかりたくないから、水軍のある浜から山を上って崖下にある、人2、3人が触れる程度の小さな岩場に一人でこっそり行く。そうやって寝転んで日光浴をしてウトウトとしていた昼下がり。「大丈夫ですか！？」と焦った声が聞こえた。誰か溺れでもしたかしら？そのままその声を聞き流す

近くに人の気配を感じたので立ち上がり臨戦態勢に入ってその人物を睨み付けると海水を滴らせた鬼蜘蛛丸さんがいた。小舟から急いで泳いでここまで来たらしい。先ほど声をかけられたのは私だったのか…
ご心配おかけして申し訳なく思っていることを伝えると鬼蜘蛛丸さんはホッと胸をなでおろした。

帰って欲しいと言外にほのめかしつつ、無理して笑っていると
それに気がついたのか鬼蜘蛛丸さんは気まずそうに沖へ戻っていく。しばらくすると「あのー…水分持って来ました。」「秋とはいえ、まだまだ油断は禁物ですよ？」と言いづらそうに告げるびしょ濡れの鬼蜘蛛丸さんの人の良さに勝手に少しイラっとして、でも無碍にするわけにもいかないと素っ気なく礼を言って胡座をかく。
「男らしい所もあるんですねぇ」と心底意外そうに驚く鬼蜘蛛丸さんに、この人デリカシーなさすぎなのでは？と呆れる。仲の良い友人にはこれが普通だったけれど、外にいる時は無意識に女の子らしくしようと振舞っていたのかもしれない。
あんまり気を張りすぎても良くないかもな

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重の幼馴染夢子が「鬼蜘蛛丸さん程素敵な男性を見ない方がおかしい」と発言した

「素敵な男性だってさ、罪な男ですね」と作業を止めて話しかける義丸と「可愛い弟分に宣戦布告される前に、早い所誤解を解いてほしいね」と作業を続けながら答える鬼蜘蛛丸。
「愛いねぇ」と義丸に寄りかかる2人の幼馴染の女。顔を上げた鬼蜘蛛丸が「いちゃつくならよそでやってくれ」と立ち上がる。

「拗ねないで〜」と追いかける女に「陸酔いが酷いから船に行く」と女を見ずに去る鬼蜘蛛丸「可愛い兄弟分に宣戦布告される前に、早い所誤解を解いておいてくれ」と女の後ろ姿に話しかける義丸。
「しないよ」と女を引き寄せて歩き続ける鬼蜘蛛丸「いちゃつくなら俺のいないとこで！」と叫ぶ義丸