短編 落乱
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【キラキラ星】ドクササコのすご腕忍者
その日名前は、ドクササコ城の警備と称して城内を散歩していた。今は忍者隊の頭であるすご腕忍者が仕事で留守にしているため、きっとバレないはずだ。
そう考えていたのに、塀のそばを歩いていると任務から帰ったすご腕忍者に後ろから声をかけられた。
「おい。」
ひええっ!見つかったー!!!???
「いや、あのこれはですね!!!みみみ見回りですよ!!!そう!サボりではありませーん!!!…うん、はい…」
急いで振り返ってすご腕忍者の姿を確認した名前は、聞かれてもいないのに言い訳めいたことを言ってしまい、墓穴掘った!と急いで手で口を塞ぐ。
いつもの事なので、すご腕忍者もため息をついてスルーだった。これはありがたい。
「いいから、これ片付けておいてくれ。」
差し出されたものを何も考えずに受け取る。
「俺は水を浴びてくる。」
こちらを見もせずに、手をヒラヒラと振って立ち去るすご腕忍者に「ごゆっくりどうぞー」となんとなく返し、名前は受け取ったものを見た。
こ、こ、こっ…コケコッコー!!!じゃなくて、これは!お頭の得意武器…あれ?名前なんだっけ…キラキラ星みたいなやつ…。
一度お頭みたいに振り回して見たかったんだ。ちょっとだけならバレないだろうか?いやでも今さっき散歩見つかっちゃったしな…でもお頭今からお休みになられるみたいだし…いいよね?
名前は誰にともなく言い訳をしながら、周りを見やり、急いで物陰に隠れた。
コッソリと振り回してみる。
なかなか難しくて、縄の長さを慎重に調整したりしながら、頭に当たらないようにそっと回す。
これを自由自在に操って、敵めがけて正確に打ち付けるお頭って本当にかっこいい。
お?八の字に回せるようになってきて、少しは様になってきたのでは?
名前のテンションが上がってきた頃に、同僚の男 通称ドクササコの凄腕忍者の部下(長いッ)、略してどブス…ではないドす部下が通りかかった。
「苗字?あっいいな〜!お頭の流星錘じゃん!俺にも!俺にもやらせて!」
「あ。そうだ、それだ!この武器の名前は流星錘!」
「なんだよお前…自分のお頭の得意武器の名前も忘れてたのか。」
ない眉を顰めて呆れるドす部下が「まあ、苦無を覚えられないよりはマシか。」と頭をポリポリと掻く。
失礼な!あんな変な顔のヘボ忍者たちと一緒にしないでいただきたい!
私は確かに優秀な忍者であるとは言い難いが、あそこまで素人では無いし、顔も変じゃないと自負している。
まあ、今の私は流星錘を振り回せて気分がいい。許してやろう。
機嫌の良い名前は、持っていた流星錘を快くドす部下に渡した。
最初はやはり苦戦していた様子のドす部下も、しばらくすると回すだけならば様になってくる。
「かっこいい!お頭みた〜い!」
名前がドす部下を褒めそやし、ドす部下が名前をおだて上げて一通り楽しんだが、2人ともなかなか思った場所に錘を当てることができない。
自分自身に当てないように慎重に回す以上のことが出来ず、その回し方はとても不恰好だった。
「やっぱりお頭が1番この武器を扱い慣れてるし、1番かっこいいよなー」
そのドす部下の言葉に名前は深く頷く。
「なんだか…お頭がコレを使ってるところ見たくなってきた。」
名前の何気ない呟きに同意を示したドす部下が「今から手本をお願いしに行くか!」と提案したことで、名前とドす部下は、ワクワクとした心持ちですご腕忍者のところへ向かった。
*
「アホか。俺の流星錘で遊ぶな。」
すご腕忍者からゲンコツをされ、名前とドす部下の頭には大きなタンコブができてしまった。
しかしここで諦める私たちではない!
ドす部下と2人、頭頂部のタンコブを抑えながら、『お頭がどんなにカッコいいのか』を力説する。
すご腕忍者は赤くなり2人を突っぱねながらも満更でもない様子だった。
あ、耐えられずにニヤニヤし始めた。
痒くもない鼻の下を掻きだしそうだ。
「しょうがない。的、持ってこい!」
「はい、ただいま!!!」
急いで的の準備をして、横に体育座りで並ぶ。
「しっかり見てろよ。一回しかやらないからな。」
そう念押ししてから、すご腕忍者は流星錘を回し始める。
名前は、まるで体の一部かのようにクルクルと流星錘を自然に回すすご腕忍者に見惚れた。
自分たちが扱っていた時とはまるで違う、錘が名前のごとく流れる星のように見える。
風呂に入ったばかりで濡れたままの髪が揺れるたびに、雫が太陽の光を浴びてキラキラと光りながら飛んで、心なしかすご腕忍者も輝いて見える。
すご腕忍者は、先ほどの2人とは比べ物にならないほど綺麗な錘捌きを披露し、一発で的の真ん中に錘を命中させた。
「どうだ。」
得意げに2人の方に向き直ったすご腕忍者に、名前はウットリとした声で「かっこいい…」と漏らす。
名前は自分の声音に気付き、赤面して慌てた。
名前の反応は予想していなかったのか一度呆けたすご腕忍者は、同様に顔を赤くして持っていた流星錘を名前に押しつけるように手渡す。
「今度こそ、ちゃんと片付けて来い。」
ぶっきらぼうに言って、赤くなった顔を隠すようにすぐに立ち去るすご腕忍者の後ろ姿を呆然と見送る。
名前は熱くなった頰に手を当てて、心を落ち着かせようとした。すご腕忍者の照れた顔を思い出しては、また顔が無意識に赤くなる。自分の頰の熱に気づかないふりをして無言で的を片付けた。
すご腕忍者の照れた顔を反芻するのに忙しい名前は気づかなかったが、その側には「俺は空気かな…?」と自分を指差して名前に自分の存在をアピールするドす部下と、
ちょうどそこに通りかかって名前とすご腕忍者のやりとりの一部始終を見ていた太郎と次郎が彼に同情して、「無駄だ。」と言うように静かに首を振っていた。
その日名前は、ドクササコ城の警備と称して城内を散歩していた。今は忍者隊の頭であるすご腕忍者が仕事で留守にしているため、きっとバレないはずだ。
そう考えていたのに、塀のそばを歩いていると任務から帰ったすご腕忍者に後ろから声をかけられた。
「おい。」
ひええっ!見つかったー!!!???
「いや、あのこれはですね!!!みみみ見回りですよ!!!そう!サボりではありませーん!!!…うん、はい…」
急いで振り返ってすご腕忍者の姿を確認した名前は、聞かれてもいないのに言い訳めいたことを言ってしまい、墓穴掘った!と急いで手で口を塞ぐ。
いつもの事なので、すご腕忍者もため息をついてスルーだった。これはありがたい。
「いいから、これ片付けておいてくれ。」
差し出されたものを何も考えずに受け取る。
「俺は水を浴びてくる。」
こちらを見もせずに、手をヒラヒラと振って立ち去るすご腕忍者に「ごゆっくりどうぞー」となんとなく返し、名前は受け取ったものを見た。
こ、こ、こっ…コケコッコー!!!じゃなくて、これは!お頭の得意武器…あれ?名前なんだっけ…キラキラ星みたいなやつ…。
一度お頭みたいに振り回して見たかったんだ。ちょっとだけならバレないだろうか?いやでも今さっき散歩見つかっちゃったしな…でもお頭今からお休みになられるみたいだし…いいよね?
名前は誰にともなく言い訳をしながら、周りを見やり、急いで物陰に隠れた。
コッソリと振り回してみる。
なかなか難しくて、縄の長さを慎重に調整したりしながら、頭に当たらないようにそっと回す。
これを自由自在に操って、敵めがけて正確に打ち付けるお頭って本当にかっこいい。
お?八の字に回せるようになってきて、少しは様になってきたのでは?
名前のテンションが上がってきた頃に、同僚の男 通称ドクササコの凄腕忍者の部下(長いッ)、略してどブス…ではないドす部下が通りかかった。
「苗字?あっいいな〜!お頭の流星錘じゃん!俺にも!俺にもやらせて!」
「あ。そうだ、それだ!この武器の名前は流星錘!」
「なんだよお前…自分のお頭の得意武器の名前も忘れてたのか。」
ない眉を顰めて呆れるドす部下が「まあ、苦無を覚えられないよりはマシか。」と頭をポリポリと掻く。
失礼な!あんな変な顔のヘボ忍者たちと一緒にしないでいただきたい!
私は確かに優秀な忍者であるとは言い難いが、あそこまで素人では無いし、顔も変じゃないと自負している。
まあ、今の私は流星錘を振り回せて気分がいい。許してやろう。
機嫌の良い名前は、持っていた流星錘を快くドす部下に渡した。
最初はやはり苦戦していた様子のドす部下も、しばらくすると回すだけならば様になってくる。
「かっこいい!お頭みた〜い!」
名前がドす部下を褒めそやし、ドす部下が名前をおだて上げて一通り楽しんだが、2人ともなかなか思った場所に錘を当てることができない。
自分自身に当てないように慎重に回す以上のことが出来ず、その回し方はとても不恰好だった。
「やっぱりお頭が1番この武器を扱い慣れてるし、1番かっこいいよなー」
そのドす部下の言葉に名前は深く頷く。
「なんだか…お頭がコレを使ってるところ見たくなってきた。」
名前の何気ない呟きに同意を示したドす部下が「今から手本をお願いしに行くか!」と提案したことで、名前とドす部下は、ワクワクとした心持ちですご腕忍者のところへ向かった。
*
「アホか。俺の流星錘で遊ぶな。」
すご腕忍者からゲンコツをされ、名前とドす部下の頭には大きなタンコブができてしまった。
しかしここで諦める私たちではない!
ドす部下と2人、頭頂部のタンコブを抑えながら、『お頭がどんなにカッコいいのか』を力説する。
すご腕忍者は赤くなり2人を突っぱねながらも満更でもない様子だった。
あ、耐えられずにニヤニヤし始めた。
痒くもない鼻の下を掻きだしそうだ。
「しょうがない。的、持ってこい!」
「はい、ただいま!!!」
急いで的の準備をして、横に体育座りで並ぶ。
「しっかり見てろよ。一回しかやらないからな。」
そう念押ししてから、すご腕忍者は流星錘を回し始める。
名前は、まるで体の一部かのようにクルクルと流星錘を自然に回すすご腕忍者に見惚れた。
自分たちが扱っていた時とはまるで違う、錘が名前のごとく流れる星のように見える。
風呂に入ったばかりで濡れたままの髪が揺れるたびに、雫が太陽の光を浴びてキラキラと光りながら飛んで、心なしかすご腕忍者も輝いて見える。
すご腕忍者は、先ほどの2人とは比べ物にならないほど綺麗な錘捌きを披露し、一発で的の真ん中に錘を命中させた。
「どうだ。」
得意げに2人の方に向き直ったすご腕忍者に、名前はウットリとした声で「かっこいい…」と漏らす。
名前は自分の声音に気付き、赤面して慌てた。
名前の反応は予想していなかったのか一度呆けたすご腕忍者は、同様に顔を赤くして持っていた流星錘を名前に押しつけるように手渡す。
「今度こそ、ちゃんと片付けて来い。」
ぶっきらぼうに言って、赤くなった顔を隠すようにすぐに立ち去るすご腕忍者の後ろ姿を呆然と見送る。
名前は熱くなった頰に手を当てて、心を落ち着かせようとした。すご腕忍者の照れた顔を思い出しては、また顔が無意識に赤くなる。自分の頰の熱に気づかないふりをして無言で的を片付けた。
すご腕忍者の照れた顔を反芻するのに忙しい名前は気づかなかったが、その側には「俺は空気かな…?」と自分を指差して名前に自分の存在をアピールするドす部下と、
ちょうどそこに通りかかって名前とすご腕忍者のやりとりの一部始終を見ていた太郎と次郎が彼に同情して、「無駄だ。」と言うように静かに首を振っていた。
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