mha短編
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事の始まりは中国、軽慶市。『人の血を吸う赤児が産まれた』というニュースだった。
以降各地で「吸血人種」は発見され、いつしか「吸血鬼」は「伝説」から「現実」となった。
世界総人口の約八割が「吸血人種 」である現在、非力で絶滅を危惧される「非吸血人種 」を保護するため吸血人種達が「非吸血人種保護機関」を設立した。
現在、原則として非吸血人種1人に対して保護機関の吸血人種1人が護衛として配属される。
また、非吸血人種よりも身体能力が向上した吸血人種達により悪化した治安維持活動も行なっている彼らは、「ヒーロー」と呼ばれ若者たちの憧れの職業である。
そんな将来のヒーローを育てるための高等教育機関が各地に点在する。雄英高校はその中でも日本屈指のエリート校だ。
そんな名高い雄英高校で事務職として働いている私、花咲さくらは人口の2割である非吸血人種だ。
「はぁーほんっと人使い荒いんだから」
相澤先生に午後の授業の資料を持ってくるよう頼まれたさくらは、ブツブツと小声で文句を溢しながら準備室へと向かっていた。
ここ雄英高校は広大な敷地を有した日本トップクラスの学校だ。当然校舎もとても広い。ガラス張りのビルが4棟、背の高いそのビルの途中の階に渡り廊下がありそれぞれの棟を回遊状に繋いでいて、どこからみても建物の形が「ヒーロー」のイニシャルHとなるようになっている。
ものすごく先進的でカッコいい校舎なのだが、いかんせん大きすぎるし渡り廊下のある階が決まっているので別の塔への移動はかなり時間がかかるのだ。
さくらは効率重視の相澤によくこのようなお使いを頼まれることがあった。彼女にも別の仕事があるので遠慮したいところであっても、この校内で雄英教師でありプロのヒーロー資格も持つ彼の頼みを一介の事務員であるさくらが断れる訳がないのだった。
さてそんな文句を言っているうちに、目的の部屋が見えてきた。それと同時に部屋の前で頭をかく生徒も一緒に。その周囲は普段から人通りが少ないのにどうしたのだろう。
彼は先程の相澤先生のクラスの、学内でも優秀な生徒として有名な男子生徒だった。
「どうしたの、轟くん」
「あ…えっと…」
「あぁ、ごめん急に。事務員の花咲です。相澤先生のおつかいで今からそこに入るのよ。」
「あぁ、相澤先生の」
そう言って納得したような表情を見せる彼に苦笑する。さくらは持ってきた鍵を使いその部屋を解錠しガラリとドアを開けた。
「そ。轟くんもこの部屋に用事?」
「午前の授業で来た時に、落としたものがあるかもしれなくて来たんですけど入れなかったところです。助かりました」
「それはよかった!」
室内に入り数分後、さくらは相澤のお使いの資料をまとめ轟くんは落とし物を無事探し出した。さて戻ろうかと荷物を持ち直した時、ひらりと一枚の資料がこぼれ落ちた。
「落ちましたよ」
「わっごめん、ありがとう轟くん」
それを拾った轟くんがさくらに差し出した。
「痛っ」
その資料を受け取ろうとした時、紙の端がさくらの指にピッと擦れた。そこからプクリと、彼女の紅い"血"が、溢れ出す。
まずいとその手を引こうとしたが、それは叶わなかった。目の前の轟くんに手首を掴まれてしまったから。
「ゔぅっ…!」
「と、轟くん…、離して」
先ほどまで穏やかだった少年の瞳の端が吸血人種特有の紅いそれに少しずつ染まっていく。じっとさくらの溢れ出した血から目を離さず、息も荒く肩で息をしている。少しでも距離を取ろうと後ずさるが、すぐに壁にぶち当たってしまった。
まずい、これは非常にまずい状況だ。なぜなら私は非吸血人種で彼は吸血人種なのだから。
「ハッハァッ…」
「だ、だめだよっ!落ち着いて!手を離して!」
現在、多くの非吸血人種は国により保護され指定された保護区域内で生活している。ここ雄英高校もその一つだ。
彼のような年齢の少年は普通、非吸血人種を見ることすら片手で数える程度だろう。ヒーローになる者として血に慣れる訓練はするが、それは2年からの履修。おそらく彼は今生まれて初めて非吸血人種の血を目の前にして、必死に自分の中の吸血衝動と闘っているのだろう。
吸血人種の瞳は感情が昂ったり吸血衝動により紅く染まる。多くの場合一瞬でみるみるうちに染まっていくが、未だに染まりきっていない。必死に争っているのだろうが、少しずつジワジワと彼の瞳が紅く染まっていく。
ググっとさくらの手首を掴むその手に力がこもる。少しずつ彼の口元に手が近づいていく。必死に抵抗するも力で非吸血人種が吸血人種に敵うわけがない。そういう風にできているのだ。
「ま、って、だめだよっ!」
「ハァッ、ハッ」
大きな声をあげるが、おそらく聞こえていないのだろう。そしてさくらの指に彼の舌が這い溢れ出ている血をヌルリと舐め取った。
「っ!!!!」
その瞬間、半分ほどしか染まっていなかった瞳が一瞬で紅く染まりきった。彼は眼を見開き呼吸を荒げながらさくらの手を隅々まで舐めている。そして、彼の鋭い牙が掌に突き立てられた。
「あ、うっ!!」
グジュル ズルズル
生まれて初めてであろう行為は本能に赴くまま荒々しい。大きな音を立てながら自分の血が吸われる感覚に、脚の力が抜けてガクガクと震える。さくらは壁に身体を預けていたが、段々とずり下がり床へと尻が着く。彼女と共に、轟くんも一緒に腰を下ろした。
しばらく掌から血を吸っていた彼がようやく牙を抜いた。とにかく落ち着かせなくてはと、震える声で語りかける。
「と、どろきくん…お、おちついてね。」
「ハァッ、ハァッ」
一度飲んで落ち着いたかと思ったが、未だに息が荒い。私もこれ以上飲まれるのはまずい。
周囲に人が通る気配はない。やっぱりアレしかないかな。気がひけるんだけどな。などと呑気に思案しているとブラウスの首元を掴まれ、思い切り引かれる。ボタンがプチプチと弾け飛び白い首筋や肩、そして十字架のネックレスが露出する。
「っ!!」
「ハァッ、ぜんぜん、足りねぇっ」
言いながら舌を彼女の首筋に這わせる。ヌルヌルと這うそれにゾクリと背筋を震わせ、さくらは首からかかる十字架のネックレスをギュッと掴み叫んだ。
「"消太"っ!!」
瞬間、大きな黒い影が現れる。それは一瞬驚愕したような表情をすると、すぐに彼女に襲いかかっている少年を首元の捕縛布で捕らえた。
「さくら、無事か?!………轟?なんでお前が」
「ッ、離せっ!!血をっ!!」
明らかに血に魅入られた状態の生徒に、現れた彼はため息を吐き首元に手刀を落とした。ガクリと項垂れ意識を失った少年を再度しっかりと縛り直し廊下へ放り投げた。
さくらは未来ある優秀な若者に対して申し訳ない気持ちや、どうにか止めてあげたい気持ちや、どうやっても逃げられない恐怖が、長年見慣れた自らの護衛である彼、相澤消太の姿を見て安堵し身体の力が抜けていく。
それと同時に、吸血と同時に体内に侵入った"毒"の作用が急激に促進する。
「おい、大丈夫か」
「っ、」
廊下から戻った消太が彼女に声をかけた。肩に手を触れようと手を伸ばして、一瞬思案した後それを下ろして顔を覗き込んだ。覗き込んだ彼女の顔は真っ赤に染まり瞳は涙で濡れ彼に何かを必死に訴えているように感じた。
「随分回ってるようだな」
「そ、なこと、」
「くだらん事はいい。ここはブラドに任せたから、さっさと行くぞ。触れるからな」
「んっ…ぅ」
彼の手がそっと触れた瞬間、身体にビリビリと衝撃が走る。それから軽々と抱え上げられ、部屋を後にした。
吸血人種は、吸血する際にある毒を注入する。その確かな理由は未だ解明されてはいないが、吸血する際の痛みと抵抗を和らげ、また再び吸血を行いやすくする為ではないかと推測されている。
それは、抗い難いほど強力な催淫作用のある毒。
その毒はおおよそ一日ほど体内に残り身体を疼かせる。ただ耐えるには長すぎる時間だ。
その毒を中和する唯一無二の方法は、吸血人種の体液を体内に取り込むことである。
消太はしばらく廊下を進むと、さくらを抱えたまま無人の救護室へと入りすぐに鍵を閉め備え付けの防音フィルターを作動させた。3台あるベッドの内1番奥のそこに彼女をゆっくりと降ろした。
背中に当たるシーツの冷たさですら、今の彼女には刺激となるのだろう。身を拗らせて呼吸を荒げるその姿はひどく扇情的で、己の浅ましい欲望が顔を見せる。
「はぁっ、ん…しょ、た」
「何だ」
「あの、……と、ろきく、わるく、ない……から」
火照って普段のように喋ることも出来ないような状態で己の事よりも自分を襲った生徒を庇う発言に、彼は目を丸くした。
そして浮ついた気持ちを捨て自分の職務を全うせねばと気を引き締める。
「その話は後で聞く。まずはお前の解毒が先だ」
頰に手を当てそう言えば潤んでいた瞳からボロボロと涙が零れだす。
「や、やぁだ…っしなくて、いいっ」
「…何言ってる。そんな状態でいたら、また別のヤツにすぐ襲われる」
「ふ、うぅっ」
拭っても拭っても涙は止まらないようだが、だからといってじゃあやめておこうかと放置はできない。彼女の了承を待っていたら日が暮れそうなので、これは治療と彼女と自分に言い聞かせ多少強引に進めさせてもらうとする。
「噛まれた場所は?」
はだけた首筋に傷がないのは見ていたが、噛まれた箇所を尋ねれば少し躊躇した後右手を恐る恐る差し出してきた。薄く柔らかな掌に二つの牙の跡がくっきりと残っている。
分かってはいたのに実際にそれを見ると胸の中にドス黒い感情が蠢いた。細い手首を握りそこに舌を這わせると、彼女の血の残り香が鼻腔を擽る。
「ふ…っ!」
己の心をしっかりと律さなければ、あっという間に本能に負けてしまうだろう。血は、吸血人種を惑わせる。
しかし、自分はそうであってはならない。血の誘惑に惑わされず己を律する訓練を受けた。そしてこの女の護衛として何年もの月日が経っている。
非吸血人種の護衛に当たる吸血人種は、対象者の異性が当てられる。"こういう時"の対処も含まれるためだ。非吸血人種が傷付けられ無いよう、早く興奮状態を治めなければならない。一番効率がいいのは本番行為をして膣内射精する事だが、それは護衛にとって禁忌だ。精液を渡すことは禁止されている。
こちらの負担が大きいが、唾液を渡してかつ性的欲求を満たすことで、彼女を正常な状態に戻してやる事が出来る。
しっかりと唾液を含ませ念入りに掌の穴を舐めとれば、ぽっかりと空いていた二つの穴は塞がった。そうしているうちに、彼女がもじもじともどかしそうに膝を擦り合わせているのが視界に入った。
グレーのアンクル丈のパンツにかかるベルトに手をかけ脱がそうとする手を彼女の手が静止した。未だにイヤイヤと首を振るさくらに消太は呆れたように顔を覗き込む。それすらも嫌なようで彼女は自分の手で顔を隠してしまった。
「っとに強情なヤツだな。おい、手ぇどけろ」
「むりむり、むりぃっ!」
「何度も言わすな」
そう言いさくらの小さな手を簡単に剥がすと、消太は彼女の唇を奪った。彼女は驚いたように眼を見開き身体を緊張させたが、なるべく多くの唾液を彼女に渡す為に舌を絡めだすとすぐに力が抜けていき辿々しく彼の舌に応えた。
舌を絡めながら先ほど拒否されたパンツを降ろしていくが、抵抗はない。露わになった白い太股にそっと手を這わせると、さくらは目を白黒させた。その様子を見るに、キスに意識を持っていかれて気付かなかったのだろう。
抗議の声をあげようと彼女が唇を離したその瞬間、消太の指が彼女の下着越しに敏感な部分に触れた。
「ひぁっ…!!」
甲高い嬌声をあげたさくらのそこは、下着が意味をなさないほどにしとどに濡れていた。
少し触れるだけ、と思っていた消太はそこから指を離せなくなった。それどころか指の動きを早めて刺激を続けた。
「んぁ…っしょ、た…待っ、んむっ!んんーっ!」
この期に及んでも静止する彼女の言葉を聞きたくなくて、再び唇を塞いだ。舌を絡めながら指での刺激を続ければ、くぐもった声を漏らしている。下着越しにも分かる突起に触れれば、消太の服をギュッと握り身体を震わせた。
「っ、っ…、ーーーっ!!」
身体の震えが止まった頃に唇を離せば、涙をこぼし明らかに情欲に溺れた表情のさくらが目に入る。その顔を視界に入れると満足感のような、達成感のような気持ちが込み上げてくる。
「しょおた…、も…」
「なんだ、そんなに嫌ならもっと早く"呼べ"よ」
どうせまたやめろだのもういいだなと言い出すのだろうと思い毒付いていれば、さくらの腕が恐る恐ると言った手つきで彼の頰に添えられた。
「もっと、して……しょうた」
瞬間、消太は自分の欲望が全身を駆け巡るのを感じた。
自分でも気付かないうちに彼女の唇にむしゃぶりつき、びしょ濡れの下着を再び擦った。先ほどまでよりも無遠慮にその突起を刺激すれば、彼女はすぐに再び高みへと登った。
唇を離さないまま下着を下ろせば、彼女は腰を持ち上げてそれを手伝うような動作をする。あれだけ嫌がっていたのが別人のようだ。
消太は名残惜しそうに唇を離すと、今度は下着を下ろして露わになった彼女の秘部へと近づいていく。普段は秘められた雌の匂いに誘われてそこへ唇を寄せた。
「ふぅ…んん!」
彼女の口から静止の声はもう上がらない。消太は先ほどまで指で刺激していた箇所を今度は舌で刺激していく。
優しく、傷付かないように細心の注意を払いながらジュルジュルと音を立てて舐めとると、次から次へと甘い蜜が溢れ出してくる。
ぬぽぬぽと、それが溢れ出てくる穴に舌先を少しだけ出し入れすれば彼女の腰がもどかしそうに震えあがる。
「あっ!はぁっ、う、」
腰を浮かせてまるでねだるように腰をくねらせる彼女の、淫らな穴の奥深くを目掛けて舌をねじ込む。ぎゅうぎゅうと舌を締め付けてくるそこに自身をぶち込めばどれだけ気持ちいいだろう。そんな邪な思考を巡らせながら何度か舌を出し入れすれば、彼女の身体が震えだす。
「ぁっ、あぁっ!あ、い、くっ」
ビクビクと今までで一番身体を強く痙攣させたさくらの震えが止まるのを待ち、彼女の敏感な突起を舐め上げる。
「きゃあっ!あ、え?」
「まだまだ毒が抜けないな。そうだろ、さくら」
彼女の潤んだ瞳に向かってそう告げれば、彼女もコクリと小さく頷いた。
以降各地で「吸血人種」は発見され、いつしか「吸血鬼」は「伝説」から「現実」となった。
世界総人口の約八割が「
現在、原則として非吸血人種1人に対して保護機関の吸血人種1人が護衛として配属される。
また、非吸血人種よりも身体能力が向上した吸血人種達により悪化した治安維持活動も行なっている彼らは、「ヒーロー」と呼ばれ若者たちの憧れの職業である。
そんな将来のヒーローを育てるための高等教育機関が各地に点在する。雄英高校はその中でも日本屈指のエリート校だ。
そんな名高い雄英高校で事務職として働いている私、花咲さくらは人口の2割である非吸血人種だ。
「はぁーほんっと人使い荒いんだから」
相澤先生に午後の授業の資料を持ってくるよう頼まれたさくらは、ブツブツと小声で文句を溢しながら準備室へと向かっていた。
ここ雄英高校は広大な敷地を有した日本トップクラスの学校だ。当然校舎もとても広い。ガラス張りのビルが4棟、背の高いそのビルの途中の階に渡り廊下がありそれぞれの棟を回遊状に繋いでいて、どこからみても建物の形が「ヒーロー」のイニシャルHとなるようになっている。
ものすごく先進的でカッコいい校舎なのだが、いかんせん大きすぎるし渡り廊下のある階が決まっているので別の塔への移動はかなり時間がかかるのだ。
さくらは効率重視の相澤によくこのようなお使いを頼まれることがあった。彼女にも別の仕事があるので遠慮したいところであっても、この校内で雄英教師でありプロのヒーロー資格も持つ彼の頼みを一介の事務員であるさくらが断れる訳がないのだった。
さてそんな文句を言っているうちに、目的の部屋が見えてきた。それと同時に部屋の前で頭をかく生徒も一緒に。その周囲は普段から人通りが少ないのにどうしたのだろう。
彼は先程の相澤先生のクラスの、学内でも優秀な生徒として有名な男子生徒だった。
「どうしたの、轟くん」
「あ…えっと…」
「あぁ、ごめん急に。事務員の花咲です。相澤先生のおつかいで今からそこに入るのよ。」
「あぁ、相澤先生の」
そう言って納得したような表情を見せる彼に苦笑する。さくらは持ってきた鍵を使いその部屋を解錠しガラリとドアを開けた。
「そ。轟くんもこの部屋に用事?」
「午前の授業で来た時に、落としたものがあるかもしれなくて来たんですけど入れなかったところです。助かりました」
「それはよかった!」
室内に入り数分後、さくらは相澤のお使いの資料をまとめ轟くんは落とし物を無事探し出した。さて戻ろうかと荷物を持ち直した時、ひらりと一枚の資料がこぼれ落ちた。
「落ちましたよ」
「わっごめん、ありがとう轟くん」
それを拾った轟くんがさくらに差し出した。
「痛っ」
その資料を受け取ろうとした時、紙の端がさくらの指にピッと擦れた。そこからプクリと、彼女の紅い"血"が、溢れ出す。
まずいとその手を引こうとしたが、それは叶わなかった。目の前の轟くんに手首を掴まれてしまったから。
「ゔぅっ…!」
「と、轟くん…、離して」
先ほどまで穏やかだった少年の瞳の端が吸血人種特有の紅いそれに少しずつ染まっていく。じっとさくらの溢れ出した血から目を離さず、息も荒く肩で息をしている。少しでも距離を取ろうと後ずさるが、すぐに壁にぶち当たってしまった。
まずい、これは非常にまずい状況だ。なぜなら私は非吸血人種で彼は吸血人種なのだから。
「ハッハァッ…」
「だ、だめだよっ!落ち着いて!手を離して!」
現在、多くの非吸血人種は国により保護され指定された保護区域内で生活している。ここ雄英高校もその一つだ。
彼のような年齢の少年は普通、非吸血人種を見ることすら片手で数える程度だろう。ヒーローになる者として血に慣れる訓練はするが、それは2年からの履修。おそらく彼は今生まれて初めて非吸血人種の血を目の前にして、必死に自分の中の吸血衝動と闘っているのだろう。
吸血人種の瞳は感情が昂ったり吸血衝動により紅く染まる。多くの場合一瞬でみるみるうちに染まっていくが、未だに染まりきっていない。必死に争っているのだろうが、少しずつジワジワと彼の瞳が紅く染まっていく。
ググっとさくらの手首を掴むその手に力がこもる。少しずつ彼の口元に手が近づいていく。必死に抵抗するも力で非吸血人種が吸血人種に敵うわけがない。そういう風にできているのだ。
「ま、って、だめだよっ!」
「ハァッ、ハッ」
大きな声をあげるが、おそらく聞こえていないのだろう。そしてさくらの指に彼の舌が這い溢れ出ている血をヌルリと舐め取った。
「っ!!!!」
その瞬間、半分ほどしか染まっていなかった瞳が一瞬で紅く染まりきった。彼は眼を見開き呼吸を荒げながらさくらの手を隅々まで舐めている。そして、彼の鋭い牙が掌に突き立てられた。
「あ、うっ!!」
グジュル ズルズル
生まれて初めてであろう行為は本能に赴くまま荒々しい。大きな音を立てながら自分の血が吸われる感覚に、脚の力が抜けてガクガクと震える。さくらは壁に身体を預けていたが、段々とずり下がり床へと尻が着く。彼女と共に、轟くんも一緒に腰を下ろした。
しばらく掌から血を吸っていた彼がようやく牙を抜いた。とにかく落ち着かせなくてはと、震える声で語りかける。
「と、どろきくん…お、おちついてね。」
「ハァッ、ハァッ」
一度飲んで落ち着いたかと思ったが、未だに息が荒い。私もこれ以上飲まれるのはまずい。
周囲に人が通る気配はない。やっぱりアレしかないかな。気がひけるんだけどな。などと呑気に思案しているとブラウスの首元を掴まれ、思い切り引かれる。ボタンがプチプチと弾け飛び白い首筋や肩、そして十字架のネックレスが露出する。
「っ!!」
「ハァッ、ぜんぜん、足りねぇっ」
言いながら舌を彼女の首筋に這わせる。ヌルヌルと這うそれにゾクリと背筋を震わせ、さくらは首からかかる十字架のネックレスをギュッと掴み叫んだ。
「"消太"っ!!」
瞬間、大きな黒い影が現れる。それは一瞬驚愕したような表情をすると、すぐに彼女に襲いかかっている少年を首元の捕縛布で捕らえた。
「さくら、無事か?!………轟?なんでお前が」
「ッ、離せっ!!血をっ!!」
明らかに血に魅入られた状態の生徒に、現れた彼はため息を吐き首元に手刀を落とした。ガクリと項垂れ意識を失った少年を再度しっかりと縛り直し廊下へ放り投げた。
さくらは未来ある優秀な若者に対して申し訳ない気持ちや、どうにか止めてあげたい気持ちや、どうやっても逃げられない恐怖が、長年見慣れた自らの護衛である彼、相澤消太の姿を見て安堵し身体の力が抜けていく。
それと同時に、吸血と同時に体内に侵入った"毒"の作用が急激に促進する。
「おい、大丈夫か」
「っ、」
廊下から戻った消太が彼女に声をかけた。肩に手を触れようと手を伸ばして、一瞬思案した後それを下ろして顔を覗き込んだ。覗き込んだ彼女の顔は真っ赤に染まり瞳は涙で濡れ彼に何かを必死に訴えているように感じた。
「随分回ってるようだな」
「そ、なこと、」
「くだらん事はいい。ここはブラドに任せたから、さっさと行くぞ。触れるからな」
「んっ…ぅ」
彼の手がそっと触れた瞬間、身体にビリビリと衝撃が走る。それから軽々と抱え上げられ、部屋を後にした。
吸血人種は、吸血する際にある毒を注入する。その確かな理由は未だ解明されてはいないが、吸血する際の痛みと抵抗を和らげ、また再び吸血を行いやすくする為ではないかと推測されている。
それは、抗い難いほど強力な催淫作用のある毒。
その毒はおおよそ一日ほど体内に残り身体を疼かせる。ただ耐えるには長すぎる時間だ。
その毒を中和する唯一無二の方法は、吸血人種の体液を体内に取り込むことである。
消太はしばらく廊下を進むと、さくらを抱えたまま無人の救護室へと入りすぐに鍵を閉め備え付けの防音フィルターを作動させた。3台あるベッドの内1番奥のそこに彼女をゆっくりと降ろした。
背中に当たるシーツの冷たさですら、今の彼女には刺激となるのだろう。身を拗らせて呼吸を荒げるその姿はひどく扇情的で、己の浅ましい欲望が顔を見せる。
「はぁっ、ん…しょ、た」
「何だ」
「あの、……と、ろきく、わるく、ない……から」
火照って普段のように喋ることも出来ないような状態で己の事よりも自分を襲った生徒を庇う発言に、彼は目を丸くした。
そして浮ついた気持ちを捨て自分の職務を全うせねばと気を引き締める。
「その話は後で聞く。まずはお前の解毒が先だ」
頰に手を当てそう言えば潤んでいた瞳からボロボロと涙が零れだす。
「や、やぁだ…っしなくて、いいっ」
「…何言ってる。そんな状態でいたら、また別のヤツにすぐ襲われる」
「ふ、うぅっ」
拭っても拭っても涙は止まらないようだが、だからといってじゃあやめておこうかと放置はできない。彼女の了承を待っていたら日が暮れそうなので、これは治療と彼女と自分に言い聞かせ多少強引に進めさせてもらうとする。
「噛まれた場所は?」
はだけた首筋に傷がないのは見ていたが、噛まれた箇所を尋ねれば少し躊躇した後右手を恐る恐る差し出してきた。薄く柔らかな掌に二つの牙の跡がくっきりと残っている。
分かってはいたのに実際にそれを見ると胸の中にドス黒い感情が蠢いた。細い手首を握りそこに舌を這わせると、彼女の血の残り香が鼻腔を擽る。
「ふ…っ!」
己の心をしっかりと律さなければ、あっという間に本能に負けてしまうだろう。血は、吸血人種を惑わせる。
しかし、自分はそうであってはならない。血の誘惑に惑わされず己を律する訓練を受けた。そしてこの女の護衛として何年もの月日が経っている。
非吸血人種の護衛に当たる吸血人種は、対象者の異性が当てられる。"こういう時"の対処も含まれるためだ。非吸血人種が傷付けられ無いよう、早く興奮状態を治めなければならない。一番効率がいいのは本番行為をして膣内射精する事だが、それは護衛にとって禁忌だ。精液を渡すことは禁止されている。
こちらの負担が大きいが、唾液を渡してかつ性的欲求を満たすことで、彼女を正常な状態に戻してやる事が出来る。
しっかりと唾液を含ませ念入りに掌の穴を舐めとれば、ぽっかりと空いていた二つの穴は塞がった。そうしているうちに、彼女がもじもじともどかしそうに膝を擦り合わせているのが視界に入った。
グレーのアンクル丈のパンツにかかるベルトに手をかけ脱がそうとする手を彼女の手が静止した。未だにイヤイヤと首を振るさくらに消太は呆れたように顔を覗き込む。それすらも嫌なようで彼女は自分の手で顔を隠してしまった。
「っとに強情なヤツだな。おい、手ぇどけろ」
「むりむり、むりぃっ!」
「何度も言わすな」
そう言いさくらの小さな手を簡単に剥がすと、消太は彼女の唇を奪った。彼女は驚いたように眼を見開き身体を緊張させたが、なるべく多くの唾液を彼女に渡す為に舌を絡めだすとすぐに力が抜けていき辿々しく彼の舌に応えた。
舌を絡めながら先ほど拒否されたパンツを降ろしていくが、抵抗はない。露わになった白い太股にそっと手を這わせると、さくらは目を白黒させた。その様子を見るに、キスに意識を持っていかれて気付かなかったのだろう。
抗議の声をあげようと彼女が唇を離したその瞬間、消太の指が彼女の下着越しに敏感な部分に触れた。
「ひぁっ…!!」
甲高い嬌声をあげたさくらのそこは、下着が意味をなさないほどにしとどに濡れていた。
少し触れるだけ、と思っていた消太はそこから指を離せなくなった。それどころか指の動きを早めて刺激を続けた。
「んぁ…っしょ、た…待っ、んむっ!んんーっ!」
この期に及んでも静止する彼女の言葉を聞きたくなくて、再び唇を塞いだ。舌を絡めながら指での刺激を続ければ、くぐもった声を漏らしている。下着越しにも分かる突起に触れれば、消太の服をギュッと握り身体を震わせた。
「っ、っ…、ーーーっ!!」
身体の震えが止まった頃に唇を離せば、涙をこぼし明らかに情欲に溺れた表情のさくらが目に入る。その顔を視界に入れると満足感のような、達成感のような気持ちが込み上げてくる。
「しょおた…、も…」
「なんだ、そんなに嫌ならもっと早く"呼べ"よ」
どうせまたやめろだのもういいだなと言い出すのだろうと思い毒付いていれば、さくらの腕が恐る恐ると言った手つきで彼の頰に添えられた。
「もっと、して……しょうた」
瞬間、消太は自分の欲望が全身を駆け巡るのを感じた。
自分でも気付かないうちに彼女の唇にむしゃぶりつき、びしょ濡れの下着を再び擦った。先ほどまでよりも無遠慮にその突起を刺激すれば、彼女はすぐに再び高みへと登った。
唇を離さないまま下着を下ろせば、彼女は腰を持ち上げてそれを手伝うような動作をする。あれだけ嫌がっていたのが別人のようだ。
消太は名残惜しそうに唇を離すと、今度は下着を下ろして露わになった彼女の秘部へと近づいていく。普段は秘められた雌の匂いに誘われてそこへ唇を寄せた。
「ふぅ…んん!」
彼女の口から静止の声はもう上がらない。消太は先ほどまで指で刺激していた箇所を今度は舌で刺激していく。
優しく、傷付かないように細心の注意を払いながらジュルジュルと音を立てて舐めとると、次から次へと甘い蜜が溢れ出してくる。
ぬぽぬぽと、それが溢れ出てくる穴に舌先を少しだけ出し入れすれば彼女の腰がもどかしそうに震えあがる。
「あっ!はぁっ、う、」
腰を浮かせてまるでねだるように腰をくねらせる彼女の、淫らな穴の奥深くを目掛けて舌をねじ込む。ぎゅうぎゅうと舌を締め付けてくるそこに自身をぶち込めばどれだけ気持ちいいだろう。そんな邪な思考を巡らせながら何度か舌を出し入れすれば、彼女の身体が震えだす。
「ぁっ、あぁっ!あ、い、くっ」
ビクビクと今までで一番身体を強く痙攣させたさくらの震えが止まるのを待ち、彼女の敏感な突起を舐め上げる。
「きゃあっ!あ、え?」
「まだまだ毒が抜けないな。そうだろ、さくら」
彼女の潤んだ瞳に向かってそう告げれば、彼女もコクリと小さく頷いた。