aot短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わああーっ!すごいすごいっ!」
今日のオリヴィアはいつになくはしゃいでいた。何故なら今日は恋人であるリヴァイと動物園に来ているのだから。普段互いに仕事が忙しいため会うときは食事のみ、ということが多いのでこんな昼間からデートらしいデートは本当に久しぶりだった。既に成人を越えた年齢だがテンションが上がってしまうのも仕方がない。
オリヴィアはリヴァイの手を掴みぐいぐいと引っ張りあちこちつれ回す。駆け足気味で前を行くオリヴィアにリヴァイは呆れたように声をかける。
「おい、ガキみたいにはしゃぐな」
「だってリヴァイさんと動物園なんてすっごく嬉しくって!」
そうニコニコと満面の笑みで言うとほんの少しリヴァイも笑ってくれた。
「こけても知らねえぞ」
「むー、こけたりしませんよ。大丈夫ですーっ」
「だといいがな」
「大丈夫だってば・・・もう。あっ!!リヴァイさんっ!あっち!あっち行きましょ!ライオンですよ、ライオンっ!」
「おい待て、走るな」
「早く早く・・・ってうひゃっ!!」
「っ!」
ライオンの姿を遠くで見つけたオリヴィアはリヴァイの手を引き制止する声を聞かずに駆け出した。その直後、道の段差に気が付かず足をくねらせたオリヴィアはバランスを崩して身体を傾けた。
「だから言っただろうが」
しかしオリヴィアの身体が地面に倒れることはなかった。腰回りにしっかりと回されたリヴァイの腕のお陰だ。オリヴィアがバランスを崩した瞬間に回された逞しい腕に体重を預けたまま視線を上に向けるといつもより眉間の皺を増やしたリヴァイに溜め息をつかれた。
「おい、俺は走るなって言ったよな。聞いてなかったのか?あぁ?」
「ごめんなさい。でもナイスキャッチです!さすがリヴァイさん!」
「お前の行動は分かりやすすぎる。それに足元がお留守なんだよ、オリヴィアは・・・昔からな」
「ふふ。リヴァイさん昔からは、わたしがピンチになると助けてくれます」
「・・・どうだかな」
眉間に皺を寄せながらそう言ってオリヴィアの頭をグシャグシャと撫でるリヴァイに髪が乱れます!と言いながらも嬉しそうに笑うオリヴィア。その表情を見てリヴァイの眉間の皺もほんのすこしだけ薄くなる。
「足、捻ってねえか?」
「だいじょぶです。さ、早くライオン見に行きましょ!」
そう言って今度は2人手を繋いで歩きながら向かった。それでも頭だけはキョロキョロとせわしなく動かしているオリヴィアにリヴァイは言う。
「それだけはしゃいだら帰りの車も随分気持ちよく眠れるだろうな」
「だいじょぶ!今日は寝ませんっ!」
「だといいな」
「任せてください!いつもみたいにはしゃぎすぎて帰りの記憶がないなんてことにはなりません!ちゃんとリヴァイさんのお話し相手しますっ!」
「そうかよ、そりゃ楽しみだな」
「あ、リヴァイさん!ライオン見に行く前にソフトクリーム食べたいです!!」
「・・・・・・」
眉間に皺を寄せながらもソフトクリームを買ってくれるリヴァイさんは、本当に優しい人だ。
私たちはお互いに前世の記憶がある。前世では上司であり恋人でもあったリヴァイさんと、生まれ変わって再会し再び結ばれてからはまだ1年にも満たないがその絆は長い。奇跡のようなこの再会には何度感謝してもしきれない。これはきっと神様からのご褒美なのだ。
「ふあーつかれたあー。脚がぱんぱん」
「随分軟弱になったな、オリヴィア」
「そりゃあねえー昔みたいに訓練なんてしないですから。現代人らしく毎日机に向かって戦っております」
「・・・シートベルト締めろよ」
「はあーい」
数時間後、動物園を満喫した2人はリヴァイの車に乗り込んだ。その慣れ親しんだ空間に入り込んだ瞬間、身体にはどっと疲れが出てくる。そんなオリヴィアを横目にリヴァイは慣れた手つきでエンジンをかけて車を発進させて、夕食の為のレストランへ向かう。
「今日はとっても楽しかったです!」
「そうか、それは良かった」
「また一緒にお出かけしましょうね」
「…そうだな」
「今度は水族館も行ってみたいです!ああ、でも遊園地もいいな。それにお花見や紅葉も外せませんね」
「よく次から次へポンポンと出てくるな」
「この時代には沢山娯楽がありますからね。全部一緒に行きましょうね、リヴァイさん」
「・・・・・・」
リヴァイの車は彼の性格を移しているかのように常に清潔で埃ひとつなく、清廉な香りが漂っている。ダッシュボードを開けるとほんの少し散らかっているが、実はその散らかっているものと言うのはオリヴィアの私物だったりする。それ以外は本当にきれいな車だ。
「・・・仕方ねえな連れてってやるよ。もうすぐ1年だろ。その日、空けておけ」
「えっ!?」
「・・・あぁ?」
リヴァイさんの言葉に驚き大きな声をあげると、地を這うような声で返された。怖い。リヴァイ兵長モードだ。
「ごごご、ごめんなさいっ!いや、覚えててくれたんですね、リヴァイさん。そんなもん知るかって言われると思ってました・・・」
「うるせえな・・・昔は、生きるのに必死でそんな暇なかったろ。だからこそ、今度はお前の望みを叶えてやりたい」
「リヴァイさん・・・。ありがとうございます、だけどわたしだってあの頃は・・・リヴァイさんの隣にいるだけで幸せだったんですよ?」
「・・・ならいい。だが、その日は空けておけ。どこか行きたい場所があれば言え」
思いがけない嬉しい申し出に顔がにやけるのを止められない。どこに行こうか。彼と行きたいところは数えきれないほどある。だけど、やっぱり…
「わたし………海に行きたいです」
「海?…冬だが、いいのか?」
「はい!リヴァイさんと一緒ならいつだって構いません!…わたし、海、行った事ないんです。」
「そう…なのか。」
今世でも、そして前世でも、私は海に行ったことがなかった。前世では海に憧れを抱きながらも志半ばで朽ちてしまった。今世では逆に行かないのが難しい世の中だったが、全力で避けてきた。それは、ある種の願掛けだったのだと今では思う。
「はい、ずっとずっと…本当に長い間憧れていました。でもはじめて海に行くのはリヴァイさんと一緒に行きたいと思っていたのでずっと我慢していたんです。」
「…そうか。なら、そうしよう。」
「やった!」
徐々に増えてきた交通量に、リヴァイの運転する車は徐々にスピードを落としていった。辺りは夕日とブレーキランプに包まれて赤く染まっている。
「…渋滞ですね。」
「ああ、この時間はいつも混む。」
「そうなんですかー。」
ふわり、と頭が揺れるような感覚に陥る。リヴァイの普段の言動は決して粗暴で紳士的とはとは言い難い。そんな彼の印象とは正反対に彼の運転は穏やかで、リヴァイの運転する助手席に座っているといつだってこの感覚が襲ってくる。
「…オリヴィア。」
「……うん、」
「………。」
「…おきてます、よお。」
重い瞼を必死に持ち上げて眠らないよう必死に抵抗するオリヴィアの頭にリヴァイの大きな手が乗せられる。その温かな手のひらの心地よさに思わず瞼を落とせば、共に意識も遠くなっていった。
「オリヴィア。」
わたしを呼ぶその凛とした声は普段よりもほんの少しだけ優しさを含んでいる。彼がわたしの名を呼ぶ時だけ変化するその声色を嬉しく思い、思わずにやけそうになる頬を引き締めてその呼びかけに答える。
「はい、リヴァイ兵長。」
プーっとなるクラクションの音にオリヴィアの意識はゆっくりと覚醒する。
「ん、」
「…起きたか。」
「…また、寝ちゃった。ごめ、なさい。」
「別に最初から期待なんかしてねえよ。」
「あう。…まだ渋滞、してるんですね。」
アームレストに置かれている彼の腕にそっと触れる。彼の筋張った腕が、オリヴィアは好きだった。
「ああ。どうやら工事中らしい。」
「そ、ですか。お疲れ様です、へ、ちょ…」
「あ?」
唐突に、昔の敬称で呼ぶものだから前を向いていた視線を彼女に向ければ、ヘラリと安心しきったような笑みを向けられた。
「兵長、すき。だいすきです、リヴァイさん。」
「寝ぼけてんのか…。」
「…おなか、すいた。」
「…」
「…すう。」
安らげる場所
それは今も昔も変わらず貴方の隣。
「おい、起きろ。」
「ふあ、ん、おはよございます…ってあれ、ここ、どこですか…」
「ホテルだ。さっさと来い」
「え、あれ?なんで?」
「お前が悪い。」
「お腹、すいた」
「あぁ、俺もだ。だからさっさと食わせろ。」
今日のオリヴィアはいつになくはしゃいでいた。何故なら今日は恋人であるリヴァイと動物園に来ているのだから。普段互いに仕事が忙しいため会うときは食事のみ、ということが多いのでこんな昼間からデートらしいデートは本当に久しぶりだった。既に成人を越えた年齢だがテンションが上がってしまうのも仕方がない。
オリヴィアはリヴァイの手を掴みぐいぐいと引っ張りあちこちつれ回す。駆け足気味で前を行くオリヴィアにリヴァイは呆れたように声をかける。
「おい、ガキみたいにはしゃぐな」
「だってリヴァイさんと動物園なんてすっごく嬉しくって!」
そうニコニコと満面の笑みで言うとほんの少しリヴァイも笑ってくれた。
「こけても知らねえぞ」
「むー、こけたりしませんよ。大丈夫ですーっ」
「だといいがな」
「大丈夫だってば・・・もう。あっ!!リヴァイさんっ!あっち!あっち行きましょ!ライオンですよ、ライオンっ!」
「おい待て、走るな」
「早く早く・・・ってうひゃっ!!」
「っ!」
ライオンの姿を遠くで見つけたオリヴィアはリヴァイの手を引き制止する声を聞かずに駆け出した。その直後、道の段差に気が付かず足をくねらせたオリヴィアはバランスを崩して身体を傾けた。
「だから言っただろうが」
しかしオリヴィアの身体が地面に倒れることはなかった。腰回りにしっかりと回されたリヴァイの腕のお陰だ。オリヴィアがバランスを崩した瞬間に回された逞しい腕に体重を預けたまま視線を上に向けるといつもより眉間の皺を増やしたリヴァイに溜め息をつかれた。
「おい、俺は走るなって言ったよな。聞いてなかったのか?あぁ?」
「ごめんなさい。でもナイスキャッチです!さすがリヴァイさん!」
「お前の行動は分かりやすすぎる。それに足元がお留守なんだよ、オリヴィアは・・・昔からな」
「ふふ。リヴァイさん昔からは、わたしがピンチになると助けてくれます」
「・・・どうだかな」
眉間に皺を寄せながらそう言ってオリヴィアの頭をグシャグシャと撫でるリヴァイに髪が乱れます!と言いながらも嬉しそうに笑うオリヴィア。その表情を見てリヴァイの眉間の皺もほんのすこしだけ薄くなる。
「足、捻ってねえか?」
「だいじょぶです。さ、早くライオン見に行きましょ!」
そう言って今度は2人手を繋いで歩きながら向かった。それでも頭だけはキョロキョロとせわしなく動かしているオリヴィアにリヴァイは言う。
「それだけはしゃいだら帰りの車も随分気持ちよく眠れるだろうな」
「だいじょぶ!今日は寝ませんっ!」
「だといいな」
「任せてください!いつもみたいにはしゃぎすぎて帰りの記憶がないなんてことにはなりません!ちゃんとリヴァイさんのお話し相手しますっ!」
「そうかよ、そりゃ楽しみだな」
「あ、リヴァイさん!ライオン見に行く前にソフトクリーム食べたいです!!」
「・・・・・・」
眉間に皺を寄せながらもソフトクリームを買ってくれるリヴァイさんは、本当に優しい人だ。
私たちはお互いに前世の記憶がある。前世では上司であり恋人でもあったリヴァイさんと、生まれ変わって再会し再び結ばれてからはまだ1年にも満たないがその絆は長い。奇跡のようなこの再会には何度感謝してもしきれない。これはきっと神様からのご褒美なのだ。
「ふあーつかれたあー。脚がぱんぱん」
「随分軟弱になったな、オリヴィア」
「そりゃあねえー昔みたいに訓練なんてしないですから。現代人らしく毎日机に向かって戦っております」
「・・・シートベルト締めろよ」
「はあーい」
数時間後、動物園を満喫した2人はリヴァイの車に乗り込んだ。その慣れ親しんだ空間に入り込んだ瞬間、身体にはどっと疲れが出てくる。そんなオリヴィアを横目にリヴァイは慣れた手つきでエンジンをかけて車を発進させて、夕食の為のレストランへ向かう。
「今日はとっても楽しかったです!」
「そうか、それは良かった」
「また一緒にお出かけしましょうね」
「…そうだな」
「今度は水族館も行ってみたいです!ああ、でも遊園地もいいな。それにお花見や紅葉も外せませんね」
「よく次から次へポンポンと出てくるな」
「この時代には沢山娯楽がありますからね。全部一緒に行きましょうね、リヴァイさん」
「・・・・・・」
リヴァイの車は彼の性格を移しているかのように常に清潔で埃ひとつなく、清廉な香りが漂っている。ダッシュボードを開けるとほんの少し散らかっているが、実はその散らかっているものと言うのはオリヴィアの私物だったりする。それ以外は本当にきれいな車だ。
「・・・仕方ねえな連れてってやるよ。もうすぐ1年だろ。その日、空けておけ」
「えっ!?」
「・・・あぁ?」
リヴァイさんの言葉に驚き大きな声をあげると、地を這うような声で返された。怖い。リヴァイ兵長モードだ。
「ごごご、ごめんなさいっ!いや、覚えててくれたんですね、リヴァイさん。そんなもん知るかって言われると思ってました・・・」
「うるせえな・・・昔は、生きるのに必死でそんな暇なかったろ。だからこそ、今度はお前の望みを叶えてやりたい」
「リヴァイさん・・・。ありがとうございます、だけどわたしだってあの頃は・・・リヴァイさんの隣にいるだけで幸せだったんですよ?」
「・・・ならいい。だが、その日は空けておけ。どこか行きたい場所があれば言え」
思いがけない嬉しい申し出に顔がにやけるのを止められない。どこに行こうか。彼と行きたいところは数えきれないほどある。だけど、やっぱり…
「わたし………海に行きたいです」
「海?…冬だが、いいのか?」
「はい!リヴァイさんと一緒ならいつだって構いません!…わたし、海、行った事ないんです。」
「そう…なのか。」
今世でも、そして前世でも、私は海に行ったことがなかった。前世では海に憧れを抱きながらも志半ばで朽ちてしまった。今世では逆に行かないのが難しい世の中だったが、全力で避けてきた。それは、ある種の願掛けだったのだと今では思う。
「はい、ずっとずっと…本当に長い間憧れていました。でもはじめて海に行くのはリヴァイさんと一緒に行きたいと思っていたのでずっと我慢していたんです。」
「…そうか。なら、そうしよう。」
「やった!」
徐々に増えてきた交通量に、リヴァイの運転する車は徐々にスピードを落としていった。辺りは夕日とブレーキランプに包まれて赤く染まっている。
「…渋滞ですね。」
「ああ、この時間はいつも混む。」
「そうなんですかー。」
ふわり、と頭が揺れるような感覚に陥る。リヴァイの普段の言動は決して粗暴で紳士的とはとは言い難い。そんな彼の印象とは正反対に彼の運転は穏やかで、リヴァイの運転する助手席に座っているといつだってこの感覚が襲ってくる。
「…オリヴィア。」
「……うん、」
「………。」
「…おきてます、よお。」
重い瞼を必死に持ち上げて眠らないよう必死に抵抗するオリヴィアの頭にリヴァイの大きな手が乗せられる。その温かな手のひらの心地よさに思わず瞼を落とせば、共に意識も遠くなっていった。
「オリヴィア。」
わたしを呼ぶその凛とした声は普段よりもほんの少しだけ優しさを含んでいる。彼がわたしの名を呼ぶ時だけ変化するその声色を嬉しく思い、思わずにやけそうになる頬を引き締めてその呼びかけに答える。
「はい、リヴァイ兵長。」
プーっとなるクラクションの音にオリヴィアの意識はゆっくりと覚醒する。
「ん、」
「…起きたか。」
「…また、寝ちゃった。ごめ、なさい。」
「別に最初から期待なんかしてねえよ。」
「あう。…まだ渋滞、してるんですね。」
アームレストに置かれている彼の腕にそっと触れる。彼の筋張った腕が、オリヴィアは好きだった。
「ああ。どうやら工事中らしい。」
「そ、ですか。お疲れ様です、へ、ちょ…」
「あ?」
唐突に、昔の敬称で呼ぶものだから前を向いていた視線を彼女に向ければ、ヘラリと安心しきったような笑みを向けられた。
「兵長、すき。だいすきです、リヴァイさん。」
「寝ぼけてんのか…。」
「…おなか、すいた。」
「…」
「…すう。」
安らげる場所
それは今も昔も変わらず貴方の隣。
「おい、起きろ。」
「ふあ、ん、おはよございます…ってあれ、ここ、どこですか…」
「ホテルだ。さっさと来い」
「え、あれ?なんで?」
「お前が悪い。」
「お腹、すいた」
「あぁ、俺もだ。だからさっさと食わせろ。」