召喚魔法
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パキ、ポキと乾いた音が耳を打った。
【いつまでそこにいるつもりだ…。俺を出し抜こうと思ってんのか?】
『ぎざまぁぁぁぁ!』
ブスブスと煙を出しながら体勢を低くし、鬼は突っ込んできた。
繰り出される爪の攻撃をまるで舞を舞うかのようにひらりひらりとかわしていく。
【単調な攻撃、思考の無さ…戦いには無かんな…】
鬼が男に切りかかるが、それをいなし地面に叩きつける。
ドゴン!!
地鳴りがするような音が轟き、地にひびが入る。
『がはっ…ゴフ…』
【もう仕舞か…あっけない…所詮は…格が違ぇんだよ…】
ゴキンっと鈍い音がした。男が鬼の肩関節を砕いた音であった。
『あ”あ”あ”--!!』
断末魔の声がし、表情は引きつる娘と義勇。
【暫くそこにいろ…】
こちらに近づいてくる男に義勇は姉の着物を強く掴む。
【お前達には何もしねぇよ…。すれば、マスターは泣くからな…。さて…】
パチンと指を鳴らすと、炎の壁が現れ二人と男を包む。
【俺の名はイフリート。見ての通り炎の化身だ。そこらの化け物と一緒にしてくれるなよ。お前たちの事はマスターからお願いされた。助けてやってくれってな…】
「マスターって…」
【これをくれた奴の事だ】
娘の手にしっかりと握られた勾玉を指した。
「これは、あの子が…。!あの子なの…?」
【ああ、マスターは悲しい鎖に縛られている。そして以前は無かった力にも覚醒している。その力はちと厄介でな…。俺達はこれ以上…マスターが泣くのを見たくねぇんだ】
ついっと瞼を伏せるイフリートに娘は言葉にしがたい感情が胸を埋め尽くす。
「貴方は…その方が愛おしいのですね…」
「姉さん…」
「私は肉親と言える人はもう、弟の義勇しかいないの。失いたくないキ気持ちは私も分かりますから…」
「蔦子姉さん…」
ぎゆっと抱きしめてくれる温かな温もり。少し震えてもいた。
大丈夫だよ…蔦子姉さん。俺、何もできないけど傍にいるから。
【俺に会った事や、今起きた事は決して人に話すな。口止め…というのか。約束できるか…】
「もし、約束を破ればどうなるの…」
【お前達を消すしかなくなる。だが、それの決断をさせてくれるなよ…。一度絆を結んだ者を手にかけるのは引ける…】
「大丈夫です。貴方やあの子の事は誰にも言いません。命の恩人を裏切る様な事は出来ません。お約束します。誰にも他言致しません」
「俺も、約束する…」
【すまんな…!】
背筋に殺気を感じ、右手を薙ぐとゴトリと右腕が落ちた。
【…人…いや、常人を超えた者か…】
炎の壁が左右に分かれると、一人の人間が武器を手に立っていた。
【やるなぁ…人間…】
「首を狙ったのだがな」
【俺は鬼じゃねぇ。お前が言う鬼ならそこに…】
ついっと視線を動かせば、そこにいた筈の鬼はいない。
【隠れたか…だが…】
切り落とされた腕を燃やすと、落とされた腕に炎が上がり、腕を再生させた。
【しゃらくせぇ…】
イフリートの足元が赤く光りだす。
【よせ…イフリート。この場を焼け野原のするつもりか…】
ピチョン…コポン…。
背筋が氷つ様な気配を感じ、鱗滝はその気配と匂いに覚えがあった。
珀がお守りと渡してくれた勾玉より感じた気配と同じであったからだ。
すうっと姿が色濃く現れる。
無数の水滴が浮かび、瑠璃色の瞳に鋭い爪。伝説上に語られる【龍】の形をしていた。
【邪魔をするな…リヴァイアサン】
【お前は少々、やり過ぎる所がある。冷静がお前には足りぬ】
【うるせぇ…。手っ取り早くて良いじゃねぇか…】
【こちらにはこちらのやり方があるのだ…。まずはそれをすべきではないか…】
【まどろっこしい…】
【ひとまず、この者に託してはどうか…】
二つの視線が鱗滝に向く。
「鬼が出たのだろう…」
【なり損ないの事か…】
「なり損ない…か…」
【人にも、獣にも、化け物にもなれぬ者だ。あれは…】
【イフリート、それ以上はならぬ…。人に聞かせて良いものではない】
【……ふん…】
【主を常人ではないと感じておる。ここは主に任せても良いか?】
「構わんが…」
ちらりとイフリートを見る。
【あれのことは気にする事はない。我が言っておく故、すまんな】
「いや…」
チャキっと刀を持ち直し、気配と匂いを探る。
そこか…。
音もなく地を蹴り間合いを詰めていく。
鬼も鱗滝に気が付き、爛 れる腕の再生は完了してらず、血肉を落としながら攻撃に構えた。
「水の呼吸 一の型 水面切…」
真横に流れる刀の軌道に水の陰影が浮かんだ。
首を切られた鬼は鈍い音を立てながら、砂の様に消えていった。
【哀れなものだな…】
【人ならざる者の末路は常に虚しいものよ…】
【いつまでそこにいるつもりだ…。俺を出し抜こうと思ってんのか?】
『ぎざまぁぁぁぁ!』
ブスブスと煙を出しながら体勢を低くし、鬼は突っ込んできた。
繰り出される爪の攻撃をまるで舞を舞うかのようにひらりひらりとかわしていく。
【単調な攻撃、思考の無さ…戦いには無かんな…】
鬼が男に切りかかるが、それをいなし地面に叩きつける。
ドゴン!!
地鳴りがするような音が轟き、地にひびが入る。
『がはっ…ゴフ…』
【もう仕舞か…あっけない…所詮は…格が違ぇんだよ…】
ゴキンっと鈍い音がした。男が鬼の肩関節を砕いた音であった。
『あ”あ”あ”--!!』
断末魔の声がし、表情は引きつる娘と義勇。
【暫くそこにいろ…】
こちらに近づいてくる男に義勇は姉の着物を強く掴む。
【お前達には何もしねぇよ…。すれば、マスターは泣くからな…。さて…】
パチンと指を鳴らすと、炎の壁が現れ二人と男を包む。
【俺の名はイフリート。見ての通り炎の化身だ。そこらの化け物と一緒にしてくれるなよ。お前たちの事はマスターからお願いされた。助けてやってくれってな…】
「マスターって…」
【これをくれた奴の事だ】
娘の手にしっかりと握られた勾玉を指した。
「これは、あの子が…。!あの子なの…?」
【ああ、マスターは悲しい鎖に縛られている。そして以前は無かった力にも覚醒している。その力はちと厄介でな…。俺達はこれ以上…マスターが泣くのを見たくねぇんだ】
ついっと瞼を伏せるイフリートに娘は言葉にしがたい感情が胸を埋め尽くす。
「貴方は…その方が愛おしいのですね…」
「姉さん…」
「私は肉親と言える人はもう、弟の義勇しかいないの。失いたくないキ気持ちは私も分かりますから…」
「蔦子姉さん…」
ぎゆっと抱きしめてくれる温かな温もり。少し震えてもいた。
大丈夫だよ…蔦子姉さん。俺、何もできないけど傍にいるから。
【俺に会った事や、今起きた事は決して人に話すな。口止め…というのか。約束できるか…】
「もし、約束を破ればどうなるの…」
【お前達を消すしかなくなる。だが、それの決断をさせてくれるなよ…。一度絆を結んだ者を手にかけるのは引ける…】
「大丈夫です。貴方やあの子の事は誰にも言いません。命の恩人を裏切る様な事は出来ません。お約束します。誰にも他言致しません」
「俺も、約束する…」
【すまんな…!】
背筋に殺気を感じ、右手を薙ぐとゴトリと右腕が落ちた。
【…人…いや、常人を超えた者か…】
炎の壁が左右に分かれると、一人の人間が武器を手に立っていた。
【やるなぁ…人間…】
「首を狙ったのだがな」
【俺は鬼じゃねぇ。お前が言う鬼ならそこに…】
ついっと視線を動かせば、そこにいた筈の鬼はいない。
【隠れたか…だが…】
切り落とされた腕を燃やすと、落とされた腕に炎が上がり、腕を再生させた。
【しゃらくせぇ…】
イフリートの足元が赤く光りだす。
【よせ…イフリート。この場を焼け野原のするつもりか…】
ピチョン…コポン…。
背筋が氷つ様な気配を感じ、鱗滝はその気配と匂いに覚えがあった。
珀がお守りと渡してくれた勾玉より感じた気配と同じであったからだ。
すうっと姿が色濃く現れる。
無数の水滴が浮かび、瑠璃色の瞳に鋭い爪。伝説上に語られる【龍】の形をしていた。
【邪魔をするな…リヴァイアサン】
【お前は少々、やり過ぎる所がある。冷静がお前には足りぬ】
【うるせぇ…。手っ取り早くて良いじゃねぇか…】
【こちらにはこちらのやり方があるのだ…。まずはそれをすべきではないか…】
【まどろっこしい…】
【ひとまず、この者に託してはどうか…】
二つの視線が鱗滝に向く。
「鬼が出たのだろう…」
【なり損ないの事か…】
「なり損ない…か…」
【人にも、獣にも、化け物にもなれぬ者だ。あれは…】
【イフリート、それ以上はならぬ…。人に聞かせて良いものではない】
【……ふん…】
【主を常人ではないと感じておる。ここは主に任せても良いか?】
「構わんが…」
ちらりとイフリートを見る。
【あれのことは気にする事はない。我が言っておく故、すまんな】
「いや…」
チャキっと刀を持ち直し、気配と匂いを探る。
そこか…。
音もなく地を蹴り間合いを詰めていく。
鬼も鱗滝に気が付き、
「水の呼吸 一の型 水面切…」
真横に流れる刀の軌道に水の陰影が浮かんだ。
首を切られた鬼は鈍い音を立てながら、砂の様に消えていった。
【哀れなものだな…】
【人ならざる者の末路は常に虚しいものよ…】