ナナカマド
夢主設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「アサギー!」
心地良い鳥のさえずりを邪魔する耳障りな声。
────あ~……来た。
嫌々ながら体を起こし、声が聞こえた窓の向こうを盗み見る。決してばれないように覗いたつもりが、鬼の形相をした人物と目が合ってしまった。
────やべっ。
すぐに隠れるも、さらに怒鳴り声が響く。
────バレてる……。
ならばしかたない、と恐る恐る窓を開け顔を覗かせた。
「……こんな朝早くからなんなの、サク姉」
「何が朝早く、よ。もうとっくに昼間だっての。今日は任務があるって言ったでしょ」
────あちゃ~……すっかり忘れてた。
それが顔に出ていたのか、サク姉はため息をひとつ吐き「待ってるから準備して」とだけ言って壁にもたれる。だらだらと支度を済ませて玄関を開けると、サク姉がわたしの額を小突いた。
「遅い」
「い……って」
昔からそうだ。サク姉はなにかと行動の遅いわたしをこうやって叱る。
────なんだかんだわたしもそのやり取りが心地良いなんて……絶対に言えないけど。
「今日は火影様から任務の話があるって昨日も言ったのに。私も一緒に行くことになったんだからしっかりしなさいよ」
「……え、マジ?」
サク姉と3歳も年の差があるわたしみたいな下忍が、中忍と任務に出るだなんて。
「なんで?」
ただただ不思議に思って言葉が口を突いて出る。するとサク姉は「それを今日聞きに行くんでしょ」と言った。
そうして火影亭へ────。
「なぜこのメンバーかと疑問に思っているだろうが……」
「うんうん、なんで?」
「コラ! アンタは礼儀って言葉知らないわけ?」
「俺もなんでか気になるってーばよ~……ッいて!」
サク姉がわたしとナルトにーちゃんに喝を入れ、それを見た綱手様はため息を吐きながら続きを話す。
「ま、単純に忍が足りていない。それにアサギはまだ下忍だが、力自体は今のナルトに匹敵すると評判だしな」
「へへっ。ナルトにーちゃんより強いかもよ、わたし」
「んな……っ! 俺がこんなガキンチョに負けるわけねーだろ!? 俺も下忍だけど!」
「はいはい、黙る」
再びわたし達の頭にサク姉の鉄拳が降り注ぎ、2人して頭を押さえてうずくまった。
────ただでさえ馬鹿力なんだから、ほんと加減してほしい……。
じゃなきゃいつか本当にわたしの頭がかち割れてしまう。
綱手様からの任務説明も終わり、今回の任務はただ我愛羅に直接巻物を渡せばいいということを知った。任務の準備をし終え、再び3人で集まった時────。
ナルトにーちゃんが口を開いた。
「そーいやよ、お前なんで中忍試験受けてねぇんだ? 受ける資格は持ってんだろ」
「えー? めんどくさいから」
それ以上もそれ以下もない。本当にめんどくさくて、試験の日はばっくれた。
「ほんともったいないわよねー。この子昔っからなのよ。才能あるのにアカデミーも真面目に出席しなかったし」
「そーなのか? 俺はほら……まだお前と知り合ったばっかだからさ」
そんな雑談を繰り広げながら里を出る。
確かにわたしはまだナルトにーちゃんと知り合って間もない。
けどわたしにはわかる。
皆はああやって言ってくれてるみたいだけど、わたしなんてナルトにーちゃんの足元にも及ばない。同じ下忍なのに、才能があるのはナルトにーちゃんの方だ。
それが悔しくてナルトにーちゃんに負けないように密かに修行してたりする、なんて……。
────死んでも、2人には言えないな。
わたしはこのままでいい。不真面目で、努力なんて言葉が似合わない奴がいい。けどいつか、いつか絶対に超えてやる。
そんな人を見つけたからわたしは日々、確実に力をつけ、上を目指す。
いつか、中忍試験でやり合うことになったら……──。