亡明の鎖
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「……サスケ君が、木ノ葉に帰って来てくれるなら」
そっとサスケ君から離れ、自身の首筋を露わにする。
チャクラを体外に出すことも可能ではあるが、ほぼ全てを渡すならこの方法が確実だった。
一番チャクラが通る首元と、一番チャクラが浸透しやすい粘膜。
「それなりの覚悟と信頼はあるってことか……ありがたくいただこう」
「んっ……!」
言うや否や、サスケ君は私の首元へ顔を寄せる。
刺すような鈍痛が何度か首元を這い、首筋を流れる吐息と混じって震える自分の声が辺りにこだました。
壁に背を預け、強く求められるように噛み付かれる
そんな時間がどれくらい続いただろうか。長いようにも感じたし、あっという間だったような気もする。
途中はチャクラ不足のためか、意識は朦朧とし、サスケ君に支えられていないと立つことすらままならない状態だった。
────サスケ…君……絶対…木ノ、葉……に……。
その思いだけが強かったのは覚えているのだが、気がつくと私はアジトの一角で倒れており、無残にも崩れ落ちた壁の向こうからは寂しげな月がぽつん、と浮かんでいた。
無論、サスケ君の姿はどこにも無い。
────私……生き、てる。
死ぬはずだった。あれだけのチャクラが奪われたんだもの。でも私は紛れもなく生きてる。
────サスケ君、もしかして……ううん、もしかしなくても最初から……。
あんなことを言ったくせに、最初から私のことを殺そうなんてきっと思ってなかったんだ。
────サスケ君には、まだ善が残ってる。完全に心をなくしちゃったのかと思ったけど、違う。
まだ私の知ってるサスケ君がいた。
それだけでなんだか嬉しくなったけれど、同時に彼はやはり木ノ葉へと戻る気がないということも悟り、複雑な心境に苛まれる。
異様に残る倦怠感に呑まれていると、遠くから私を探し出そうとする声が聞こえた。
それに応えるように力を振り絞って残り少ないチャクラを練り、空へ術を放つ。
────サスケ君……いつか、きっと。
私が……私達が、連れ戻す。必ず。
強い思いを胸に、駆けつけたナルトの背に身を預けた。今も感じる、サスケ君のチャクラに触れながら────。
ー完ー
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