亡明の鎖
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久しぶりに出会った彼は、随分と雰囲気が変わっていた。
「サスケ……君……?」
「アサギか。久しぶりだな」
以前より鋭さを増した目、憎しみを強く映す瞳、刺すような殺気……──。
少しずつ笑うことが増え、不器用ながらも私達と共に歩んで来たかつての彼の姿は、もうどこにも見当たらなかった。
────やっと……やっと会えたのに。
復讐に呑まれた彼はもう、こちら側へ戻って来る気配はない。
「どうした。お前もアイツらと同じだろう。〝仲間〟だとか〝絆〟だとか……オレはもう、そんなものは断ち切ったんだ」
気がつけば先程まで眼前数メートル先にいたサスケ君は、一瞬のうちに目の前まで歩みを進め、緊張して動けないでいる私の肩に手を回した。
その重みが、なぜか胸を強く締め付ける。
────サスケ君を救いたい、のに。
強く思っても、それは漠然としていて先が見えず、返す言葉も行動も見つからない。
「そうだな……お前を殺せば、オレはまた1つ〝大切な繋がり〟を断ち切ることになる」
いつの間に取り出したのか、首元に冷たい刃先を感じ、久しぶりに恐怖が全身を支配した。
サスケ君の実力は以前もそうだが、より飛躍的に伸びている。ナルトもすごく成長していたけど、きっとそれをより凌駕しているだろう。
────今のサスケ君には、誰も敵わない……。
それなのに彼はまだ、〝強さ〟を求める。
「……サスケ君、いいよ。私のこと殺してくれていい。だから……だからもう、木ノ葉に帰ろうよ……」
震える手で彼の背を抱く。
────初恋の人に……大切な、大好きな人にこれ以上闇を歩んで欲しくない。
腕に少しの力を込めた時、鼻で笑う彼の声が耳元を掠めた。
「そういえばお前には……チャクラを生み出し、他者へ分け与える力があったな」
この言葉が何を意味するか。それは嫌でもわかってしまった。
私の体はほとんどチャクラでできている。そう言ってしまうと変な感じもするが、体の中で常にチャクラが生み出されているのだ。
息をするように、鼓動が脈打つように、膨大なチャクラが生成される。放っておくと溢れ出て周りにまで影響を与えてしまうため、いつもは特注のグローブを着けて、チャクラ量を押さえていた。
もちろん、サスケ君が言っていた通り、私のチャクラは他者へ渡せる。それも一時的にではなく、半永久的に。
つまり私のチャクラを受け取れば、ほぼ永久的にチャクラの最大値が渡した分だけ上がり、渡せば渡すほどその人物は膨大なチャクラを得られることになる。
────でも、それでサスケ君が木ノ葉へ戻ってくれるのなら。
チャクラが膨大に生成されるとはいえ、それを一気に奪われてしまうと私の命はそこで絶える。けれどサスケ君の一部となり、また木ノ葉へと戻れるのなら、この身を差し出してもいいとさえ思えた。