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一度は冷たい水に晒されていた身体は、ようやく安定する。 心臓の鼓動も、さっきまでの慌ただしさから少しずつ落ち着きを取り戻しつつあった。
目の前には、不思議そうに自分を見つめる青年がいる。
翡翠色の瞳は、どこか探るようにじっとメイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェを見つめていた。
私は助けられたんだ。その事実を改めて自覚し、メイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェは静かに口を開いた。
「助けてくれて、本当にありがとうございます」
しっかりと二人を見つめ、ぺこりと頭を下げる。
一瞬の静寂。
「おいおい、そこまで改まらなくても」
翡翠色の青年が、少し驚いたように目を瞬かせる。
「いや、当然のことをしただけだし」
そう言いながら、わずかに視線を逸らし、鼻をかく。その仕草に、メイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェは少しだけ肩の力を抜いた。
「それで、アンタの名前は?」
「……え?」
「さっきの衝撃で、記憶が飛んだってことは……ないよな?」
まるで探るような口調に、彼女はハッとして背筋を伸ばした。
「いえ、ちゃんと覚えてます!」
慌てて答え、改めて名乗る。
「私は、メイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェです」
「メイルシェ……ジュリディアーヌ・ルーシェな」
青年は軽く頷き、ふっと口角を上げる。
「俺はソラ・フェーヴ!この村の騎士団だ」
誇らしげに胸を張り、堂々と名乗る姿は、どこか自信に満ちている。
メイルシェがそちらに目を向けると、いつの間にか紅い髪の人物が腕を組み、静かに佇んでいた。軽く肩をすくめた彼は、視線を彼女に向ける。
「俺はアズ・ルージュだ。皆にはアズキって呼ばれてる」
落ち着いた口調と、どこか冷静な雰囲気。
「ソラさん、アズキさん……」
彼女は、改めて二人の名前を口にした。
「“さん”とかいらないし、もっと気楽に接してくれていいって」
ソラが笑いながら言うと、アズキもわずかに頷いた。
「で? アンタ、どこから来たんだ?」
——そう、それが一番の問題だった。
彼女は一瞬、言葉に詰まる。
「……それが……私にも、よく分からなくて……」
嘘じゃない。けれど、どう説明すればいいのか——。
戸惑っていると、ソラとアズキが一瞬だけ視線を交わした。
「まあ、そりゃそうか。いきなり空から落ちてきたんだしな」
「私、空から……?」
「そうそう、空に穴が空いてドボーーーン!って」
「ここに落ちてくる前に過ごしてた場所とか、記憶とかあるのか?」
彼女は考えながら、ふと腰の重みに気づいた。手を伸ばし、そこにあったのは——
「……水筒?」
冷たい金属の感触が、指先に伝わる。
確かに、森に入るときに持っていたはずのもの。
ソラがその水筒をじろりと覗き込む。
「随分と珍しいモノ持ってるな。何に使うんだ?」
「これ? これは飲水とかを運べる容器で、水筒ってものなんだけど……」
「飲水を運ぶ容器……アクアポットのことか?」
「だろうな。俺たちの国では、それをそのまま持ってる奴は珍しい」
「それ、スイトウ……だっけ?」
慎重に言葉を選びながら、探るような口調で。
「私たちの世界では水筒って言うんだよ」
「ん〜? 聞いたことないよな……スイトウを持つ種族か……」
「水筒を持つ種族?」
彼女は、思わずソラの言葉をオウム返しする。彼女にとって、それはただの「飲み物を入れる容器」でしかない。
なのに、ソラたちはまるで「異国の珍しい文化圏の品」を見るような反応をしている。
そう思った次の瞬間――
「俺はそら豆の民で、アズキはあずき豆の民」
彼女は固まり、自分の常識を寄せ集めた。
どうしても、「豆の民」と聞いて、彼女の頭の中にはお店に並ぶ豆類がちらついてしまう。
そら豆、あずき……
でも、目の前のソラとアズキはどう見ても人間。豆の形をしているわけでもないし、植物のような特徴も見当たらない。
思考が追いつかず、困惑していると——
「食べる方の豆じゃないけど、俺たちの種族のことな」
——食べる方の豆じゃない。そう言われても、違和感は拭えない。
「そら豆の民」「あずき豆の民」。
(……つまり、彼らの“種族”ってこと?)
種族、という概念。メイルシェにとって、それは民族や国籍のようなものを指す言葉だった。
けれど、彼らにとって「豆の民」は——そういうものではなく、もっと根本的な「生き物としての分類」を意味している。
「まさか、アンタは違うのか?」
その問いに、彼女は息を呑んだ。
これまで「人間」として生きてきた。ずっと、それが当たり前だった。
けれど——この世界の常識は違うの?
そら豆の民、あずき豆の民……
じゃあ、私は? ここにいる彼らとは違う?
じゃあ私は、何者?
今度こそ、どう説明すればいいのか——
何かを思い出そうとすると、クラっと立ちくらみがした。
目の前には、不思議そうに自分を見つめる青年がいる。
翡翠色の瞳は、どこか探るようにじっとメイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェを見つめていた。
私は助けられたんだ。その事実を改めて自覚し、メイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェは静かに口を開いた。
「助けてくれて、本当にありがとうございます」
しっかりと二人を見つめ、ぺこりと頭を下げる。
一瞬の静寂。
「おいおい、そこまで改まらなくても」
翡翠色の青年が、少し驚いたように目を瞬かせる。
「いや、当然のことをしただけだし」
そう言いながら、わずかに視線を逸らし、鼻をかく。その仕草に、メイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェは少しだけ肩の力を抜いた。
「それで、アンタの名前は?」
「……え?」
「さっきの衝撃で、記憶が飛んだってことは……ないよな?」
まるで探るような口調に、彼女はハッとして背筋を伸ばした。
「いえ、ちゃんと覚えてます!」
慌てて答え、改めて名乗る。
「私は、メイルシェ・ジュリディアーヌ・ルーシェです」
「メイルシェ……ジュリディアーヌ・ルーシェな」
青年は軽く頷き、ふっと口角を上げる。
「俺はソラ・フェーヴ!この村の騎士団だ」
誇らしげに胸を張り、堂々と名乗る姿は、どこか自信に満ちている。
メイルシェがそちらに目を向けると、いつの間にか紅い髪の人物が腕を組み、静かに佇んでいた。軽く肩をすくめた彼は、視線を彼女に向ける。
「俺はアズ・ルージュだ。皆にはアズキって呼ばれてる」
落ち着いた口調と、どこか冷静な雰囲気。
「ソラさん、アズキさん……」
彼女は、改めて二人の名前を口にした。
「“さん”とかいらないし、もっと気楽に接してくれていいって」
ソラが笑いながら言うと、アズキもわずかに頷いた。
「で? アンタ、どこから来たんだ?」
——そう、それが一番の問題だった。
彼女は一瞬、言葉に詰まる。
「……それが……私にも、よく分からなくて……」
嘘じゃない。けれど、どう説明すればいいのか——。
戸惑っていると、ソラとアズキが一瞬だけ視線を交わした。
「まあ、そりゃそうか。いきなり空から落ちてきたんだしな」
「私、空から……?」
「そうそう、空に穴が空いてドボーーーン!って」
「ここに落ちてくる前に過ごしてた場所とか、記憶とかあるのか?」
彼女は考えながら、ふと腰の重みに気づいた。手を伸ばし、そこにあったのは——
「……水筒?」
冷たい金属の感触が、指先に伝わる。
確かに、森に入るときに持っていたはずのもの。
ソラがその水筒をじろりと覗き込む。
「随分と珍しいモノ持ってるな。何に使うんだ?」
「これ? これは飲水とかを運べる容器で、水筒ってものなんだけど……」
「飲水を運ぶ容器……アクアポットのことか?」
「だろうな。俺たちの国では、それをそのまま持ってる奴は珍しい」
「それ、スイトウ……だっけ?」
慎重に言葉を選びながら、探るような口調で。
「私たちの世界では水筒って言うんだよ」
「ん〜? 聞いたことないよな……スイトウを持つ種族か……」
「水筒を持つ種族?」
彼女は、思わずソラの言葉をオウム返しする。彼女にとって、それはただの「飲み物を入れる容器」でしかない。
なのに、ソラたちはまるで「異国の珍しい文化圏の品」を見るような反応をしている。
そう思った次の瞬間――
「俺はそら豆の民で、アズキはあずき豆の民」
彼女は固まり、自分の常識を寄せ集めた。
どうしても、「豆の民」と聞いて、彼女の頭の中にはお店に並ぶ豆類がちらついてしまう。
そら豆、あずき……
でも、目の前のソラとアズキはどう見ても人間。豆の形をしているわけでもないし、植物のような特徴も見当たらない。
思考が追いつかず、困惑していると——
「食べる方の豆じゃないけど、俺たちの種族のことな」
——食べる方の豆じゃない。そう言われても、違和感は拭えない。
「そら豆の民」「あずき豆の民」。
(……つまり、彼らの“種族”ってこと?)
種族、という概念。メイルシェにとって、それは民族や国籍のようなものを指す言葉だった。
けれど、彼らにとって「豆の民」は——そういうものではなく、もっと根本的な「生き物としての分類」を意味している。
「まさか、アンタは違うのか?」
その問いに、彼女は息を呑んだ。
これまで「人間」として生きてきた。ずっと、それが当たり前だった。
けれど——この世界の常識は違うの?
そら豆の民、あずき豆の民……
じゃあ、私は? ここにいる彼らとは違う?
じゃあ私は、何者?
今度こそ、どう説明すればいいのか——
何かを思い出そうとすると、クラっと立ちくらみがした。
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