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鷹野 光星俺は、晴蘭のどの生徒も…みんな大切だよ。
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落ち着いた笑顔で静かに告げた鷹野に、なんとなくホッとする。
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余計な気を遣ってほしくないし、これでいい。
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瀬名 眞白
だよなっ。

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瀬名 眞白
それでこそ、『みんなの鷹野』。

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我ながら良いフレーズを思いついたと自負しながら、三日月のように口角を持ち上げた笑顔を見せた。
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…だけど。
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鷹野 光星……
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鷹野はそれに対して目立った反応をすることなく、口を噤んだまま俺の額にそっと手を乗せた。
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瀬名 眞白
(…っ、わわ…、なんだっ…?)

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鷹野 光星…うん、
もう体温も下がったみたいだから、大丈夫だな。 -
瀬名 眞白
(び、びっくりした…)

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鷹野の柔らかな笑顔が俺の視界に映り込んで、額に触れていた大きな手がさらりと頭をひと撫でする。
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鷹野 光星治まってよかった。
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瀬名 眞白
っ、…

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瀬名 眞白
(――ヤバイ、これ…また熱中症がぶり返すんじゃ…?)

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そう思えてしまうくらい、ドキドキが加速する。
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鷹野 光星安心したよ。
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鷹野 光星熱中症の対応には慣れてるけど、
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鷹野 光星それでも、瀬名が目覚めてからの状態を見るまでは不安だったから。
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瀬名 眞白
鷹野…、勝生も、心配かけた。

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鼓動は鎮まらないままだが、ひとまずベッドの中から二人に小さく頭を下げる。
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瀬名 眞白
頭もだいぶスッキリしてきたし、体も楽。
もう大丈夫だから。
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武藤 勝生ほんと良かった…。マジで寿命が縮んだよ。
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武藤 勝生眞白はもともと暑がりだし、普段から暑さに慣れてないのもあったと思うけど、実は寝不足とかしてない?
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瀬名 眞白
「寝不足」?……したかも?

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実際は「したかも?」ではなく、昨日はほとんど眠れていなかった。
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プライベートで鷹野に会えると思ったら、まるで遠足に行く子どもみたいに楽しみすぎて。
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武藤 勝生寝不足してたら、熱中症になりやすいって聞いたことがある。
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鷹野 光星夏の疲れも少し出ているのかもしれない。
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瀬名 眞白
疲れなんてねーけどな…?

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鷹野 光星ほとんど毎日バイトしてるって、さっき武藤から聞いたぞ。
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鷹野 光星あまり無理するなよ?
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武藤 勝生そうだよ。
夏休み中にそんなにバイトして、『夏休み』じゃないじゃん。 -
瀬名 眞白
休みだからバイトすんだろーが。

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武藤 勝生そうだとしても、たまには休息も必要ってこと。
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武藤 勝生分かった?
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瀬名 眞白
……分かってる。

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鷹野に会えない寂しさを埋めるためにバイトを増やしているのだとはさすがに言えず、今は恭しく素直に返事をしておいた。
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