3-2 いや待て、余計に不自然になったか?

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    ――ピコン。

  • 瀬名 眞白

    …、

  • 再び鳴る通知音に、スマホの画面をタップする。

  • 武藤 勝生

    【ちょっと、原作本を借りに行きたいんだよね。】

  • 瀬名 眞白

    【「原作本」?】

  • 武藤 勝生

    【うん。ラッキーなことに、借りられることになってさ。】

  • 瀬名 眞白

    【ふーん?】

  • 武藤 勝生

    【眞白もバイトばっかりしてないで、たまには気分転換しようよ。】

  • 瀬名 眞白

    【図書館とか行く感じ?】

  • 武藤 勝生

    【ううん。違う。】

  • 瀬名 眞白

    【原作本借りるんだろ?】

  • 瀬名 眞白

    【どこよ?図書館じゃねーの?】

  • 武藤 勝生

    【鷹野先生の家。】

  • 瀬名 眞白

    っ、え――?!

  • 追加で飲んだ水を吹き出しそうになるのをかろうじて堪えて、一気に喉奥に流し込む。

  • 瀬名 眞白

    (え、なんだよ…鷹野の家って、いきなりなんで?!)

  • 瀬名 眞白

    (どういう話の流れでそうなった?!)

  • スマホ画面の向こう側で混乱している俺の姿なんて、勝生は気づきもしないだろう。

  • 武藤 勝生

    【眞白が都合つかないようなら、】

  • 武藤 勝生

    【僕一人で行くからいいんだけどさ。】

  • 瀬名 眞白

    【行く】

  • 今までにない速さでメッセージを返す。

  • 瀬名 眞白

    ……

  • けど、さすがにあまりにも不自然な気がしたから、

  • 瀬名 眞白

    【気分転換も必要だしな】

  • 瀬名 眞白

    【休みの日に寝てばっかなのも、あれだし】

  • 瀬名 眞白

    【やっぱほら、夏休みだし】

  • 誤魔化すように慌てて追送。

  • 瀬名 眞白

    ……、

  • 瀬名 眞白

    (いや待て、余計に不自然になったか?)

  • 武藤 勝生

    【お。行くか!】

  • 武藤 勝生

    【じゃ、決まりな!】

  • どうやら俺の焦りに気付かないままの勝生は即レス。

  • 嬉しそうな様子が、文末の「!」から伝わった。

  • 瀬名 眞白

    …はあー…マジか…。

  • 瀬名 眞白

    いやもう、俺が嬉しいって…。

  • その後、数回やり取りをしてから、スマホをリュックのサイドポケットに入れて一息つく。

  • 瀬名 眞白

    やべー…鷹野の家とか…、

  • テンション爆上がりだろうが!

  • 瀬名 眞白

    っしゃ、残りの時間も頑張るか。

  • 今からもうワクワクしまくっている。

  • 休憩時間が終わるまでにまだあと20分も残っているのに、足取り軽く店内に戻った俺は、商品整理のタスクをこなし始めた。

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