■円香の想い。
円香は、見た目が女の子みたいな男子です。
身長も小柄で163センチで細身なので、本当によく女の子に間違われます。
しかも、なかなか可愛い顔立ちをしているので、電車で痴〇に遭ってってしまったことも…。
実は、眞白はすっかり忘れている…というか、眞白にとっては日常の一コマに過ぎないことだったので、本人は全く覚えていないのですが、
中学時代、眞白がまだヤンチャだった頃に、円香と関わってたりします。
あれは、円香も眞白も中学2年生のときの夕暮れ時。
当時、円香は学校帰りに自転車でピアノのレッスンに通っていたのですが、見知らぬ男が後をずっとついてくる気配を感じ取りました。
怖くなった円香は一生懸命に自転車を漕いで逃げたのですが、相手も自転車に乗っていて大人の男性で体力もあり、なかなか撒くことができません。
必死で逃げているうちに知らない町まで行ってしまい、追い詰められて行き着いた先は、ピアノ教室とは全く逆方向の見たこともない場所で、
ひと気のない廃墟の工場のようなところでした。
もちろん、円香も男の子。
その男がヘラヘラしながら近づいてきたところを、なんとか必死で応戦しました。
でも、相手が一枚上手で、とうとう手を掴まれて万事休す!
そこへ、その男を後ろから思い切り飛び蹴りした男子が登場しました。
それが、眞白です。
男は、前方にすっ飛び悶絶。
危機一髪で円香は救われたのでした。
その廃墟の工場は、眞白や仲間が『パーク』と呼び、たまり場にしている場所でした。
「なあ、気持ち悪いオッサン、次はなに喰らいたい?もっと痛いのいっとく?」
平然と無表情で言い放った眞白に男は怯え、
「おーい、しばらくこの下品なオッサンで遊ぶか!」
わざと他の仲間数人に向けて眞白が声を上げた瞬間、男は慌てて逃げ去りました。
震えて立ち尽くす円香に近づいた眞白は相変わらず無表情のままで、
「どこまで着いて行ったら、自分ち分かる?」
そう言って、円香を自宅付近まで送り届けたのでした。
去り際にきちんとお礼を伝えた円香にも、
短く「…ん。」と返しただけで、すぐに踵を返して『パーク』に戻った眞白(このときの眞白は今よりもずっと、知らない人には無愛想でしたのでね笑
自転車をついて歩く円香の横をほぼ無言で歩き、円香の顔や姿をほとんど見ていない眞白でしたが、
円香は、眞白の姿やその横顔をしっかりと目に焼き付けていました。
時が過ぎ、同じ高校で眞白と再会を果たし、しかも同じクラスメイトだという奇遇。
円香のテンションは上がりまくりでしたが、
当の眞白は全く覚えておらず、他のクラスメイトに対する反応と同じだったので、
円香自身、照れくささもあり、あのときのことは言わずに黙っておくことにしました。
それにしても、眞白の当時のヤンチャさはどこへやら。
学年で首席を争うほどの学力の持ち主であるということに、内心でものすごく驚きながらも、
無骨な優しさは変わっていないな…と嬉しくなる円香なのでした。
円香にとって中学2年生のあの夕暮れの時の出来事は、
すごく怖かったけれど、眞白との思い出として宝物になっているようです。
本編のお話とプラスαで楽しんでもらえたら嬉しいです♡