フェードアウトしたい
【√カントー】
まさかの夜逃げみたいに引っ越して来たのはなんとなんとカントー地方のマサラタウン。
そりゃ、ポケジョブも荷物を纏めたりするだけしか使えないよね。ふむふむと思いながらも父親の仕事が気になる。なんでいきなりガラルからカントーなの?
「いやぁ、オーキド博士にデータとか色々と含めてのシステムについて相談って言うかヘッドハンティングされちゃった」
それってポケモン図鑑のアップデートやらポケモンの生態やら色々なデータをどうにかこうにかするヤツじゃん!? エリートってやつだったんだ。あんまり家に居ないから知らなかったよ。
それにしてもまっしろマサラは子供の数少ない。そして学校はあるんだけどちっさい。あれだ田舎の少数の学校って感じ。私しか居ないんだけど。先生とマンツーマンはちょっとダルいとでも言うと思ったか! めっちゃ自由だわ。
ただ田舎の子供の生態って知ってる? あまり娯楽無くて自然の中で走り回るんだよ。大人しい子でもね。つまり都会から来た大人しい子供で運動音痴なタイプって幻のポケモン並に珍しい。
そうだね、私の事だね。凄く授業中だけど「ポケモンいるよ? いかなくて大丈夫? 今グラウンドにポッポの大群来てるよ?」って言われる。大丈夫です授業してください。
こうね、マンツーマンだから授業速度が早くなったりするとやることが早く終わって授業に見せかけた自由時間になる。一応転生者としてね、算数とか国語とかで遅れはとらない。この世界独特なものと体育ぐらいしか遅れないの。むしろ体育は私の運動音痴過ぎて心配になるぐらいらしい。大丈夫です、日常生活に支障は無いので。ただ走ったり苦手なだけで。
だからね、体育をね、散歩にしなくていいんだよ。「泳がせたら溺れる!!」って叫ばないで。多分溺れるだろうけど。遅いけど走れるし。遅いだけなんだって、だから抱き上げなくで大丈夫です! …………え、八歳を軽々抱き上げるってゲームでもスーパーマサラ人かよ…………。
そんなこんなで基本的に大人しいので授業が進みに進んで、年間で教える授業が終わってしまった。体育? あれはただの散歩の時間になってしまった。先生達が私のことをか弱い存在として認識してしまったのだ。スーパーマサラ人にとって私はか弱い赤ちゃんみたいなものらしい。いや、さすがに赤ちゃんよりは頑丈だけど、未知の生物なんだろうな。マサラタウン超人しかいない。
そんな授業が終わってしまった私はどうしてるかと言うと、
「ここは自由に使って構わんからの」
オーキド研究所にあるグリーンさんが使ってた子供部屋に通されてる。なんでぇ???
なんでも何も大人しくて近場の草むらに突っ込んだり町に入ってきたポケモンを追っかけ回さないからなんだけど。簡単に言えば目を離しても(部屋の中なら)大丈夫な子だから。
それにしてもアニポケ仕様なんだな。子供部屋に付いてる大きめの窓から研究所の所有地が見えるんだけどアニポケで見た色んなポケモンがのびのびと生活してる。
うわー、本当に沢山のポケモンがいる。さすがにサトシみたいに色んな地方に行ってる訳じゃないからカントーとジョウトで見るようなポケモンが多いんだろうな。色々ポケモンシリーズやったからどの地方にどのポケモンが出てたか曖昧だけど。
持ってきていたカバンを下ろして抱きしめていたミミッキュを放牧する。そしてカバンからお絵描き用のノートと筆箱を取り出す。筆箱に入ってるのは色鉛筆。数は少ない12色。
私がお絵描きの準備をしていればミミッキュが椅子を窓際に持ってきてくれる。さすが私のパートナー、わかってるぅ!
くっ、いくらノートに下敷き入れようとめちゃくちゃ描きにくい。行儀が悪いけど靴脱いで体育座りして足を土台にしよ。
おー、ナゾノクサ達が水場近くに沢山いる。池からトサキントが顔だして…………あ、水鉄砲。威力強くて転がってったんだけど。え、見てるの楽しいんだけど。
「へぇ、上手いな」
「へ?」
夢中で描いてたら隣から声がしてマヌケな声を出してしまった。
誰だと思ってキョロキョロしても見えるのは服だけ。あ、これ隣って言うか上から覗かれてるやつだ。身長差というか体格差か。子供と大人の違いってやつ。
視線を上に向ける。
「ひょぇ!?」
そこにいたのは思いもしてなかった人物達でさらにマヌケな声が出た。
整った顔がおふたつあるのですが???
まずはツンツンした茶髪のお兄さん。これは絶対に声かけた方。身近に居たのがキバナさんだった私だったけど、まだ未来のキバナさんを見てないからか、身長高いって思う。勝ち気気味に見えるのは眉が上がり気味だからだろうか、グリーンさんイケメンですね。
そしてそのイケメンの隣には無表情で見下ろすイケメン。
グリーンさんは分かる。使ってないってオーキド博士言ってたけど元々はグリーンさんの部屋だからね。レッドさんは…………グリーンさんに連れてこられたのかな? 逃げられ防止か分からないけど腰に穴抜けの紐結ばれてる。勝手に山籠りされたくないんだろう。
「他に描いたの有るのか?」
「え」
「………………」
「おい、レッド。勝手に人の荷物漁るな!」
「ひぇ」
私を置いて二人で会話が進んでいくし、慣れたように人のカバンを漁るレッドさん。これがロケット団を壊滅させた手腕なんだろうか。いや、別にレッドさん漁ったのゴミ箱とかだけど。マチスのジムのスイッチは許さん。
あの、それよりミミッキュさん? 私のパートナーのミミッキュさんはどこですか。何で二人来てた教えてくれなかったの?
(ここまで)
レジェンド達(13歳ぐらい)が妹分として可愛がる。可愛がるがあまりにも運動出来ないので庇護欲がわき出てくる。
オーキド博士監修の子供向け近くにいるポケモン図鑑のイラスト描いたりすることになる。
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【√ホウエン】
お父さんの引っ越しではるばる来たぜホウエン地方のカナズミシティ!
そしてすぐさまトネクサシティに直行だ!
なんでぇ????
いや、理由はお父さんがエリートなシステムエンジニアだったからなんだけど。ヘッドハンティングされたのがデボンコーポレーションってだけなんだけど。始めはデボンコーポレーションのシステムがどうたらこうたらだったのに、トネクサシティの宇宙ステーションでシステム見ることになったらしい。
なんでぇ?????
会社のシステムと宇宙ステーションのシステムってかなり違うと思うんだけど。いや、システムとか詳しくないから分かんないから違わないかもしれないけど。それにしてもトネクサシティって分かる? 特に何もないんだよ。周りが海だから物流とか交通は船が基本。たまに水に狂った人間が泳いで渡ってる。
そんな感じだから遊ぶ場所もなく、引っ越してくる子供が大人しくてお絵描きしてる子供だと既に出来上がってる仲良しグループには入れない。
完全なるぼっちな訳だけど、まあ、基本的にお絵描きとか物作りが好きな自分にとって気にはならない。なのでのんびりとお絵描きノートが入ってる肩掛けカバンを持ってミミッキュとおてて繋いで海辺と言うか砂浜に来た。本日はのんびりと砂浜で風景画である。トネクサの良いところほドククラゲ達が多いからかクラブ達が居ないこと。お陰で砂浜でのんびりできる。
「なんでぇ????」
なんでなんだろう。私は今空の上である。ペリッパーに咥えられて。なんで? ミミッキュちゃんは縫いぐるみの真似して私にへばりついてる。
なんかあったか知らないけど、何故か私に沢山のペリッパーが群がった。なんで? よく分からずに見てたらペリッパーに咥えられて今ここ状態。ミミッキュは全部のペリッパー相手にしてたら私と離れ離れになる可能性があるのでだっこちゃん人形みたいに私に抱きついてるし、私も恐怖で抱き締めてる。
そしたら突然ミミッキュちゃんが
「なんでぇぇええ?!??!」
突然のことにペリッパーは私を放り出す訳で。そうなると強制フリーフォール。死を覚悟するね。
さらば今世! と思っていたらピタッと止まった。えぇ~?? ってなってれば目の前には厳ついポケモン。生き物らしくない鉱物のような体に浮遊してる。あ、伝ポケ並の捕獲率を設定されてるポケモンの進化した姿ですね。なんでここにいるとかサイコパワー使えたねとか、そんなことより圧倒的に占める安心感。
「ひっ、うえぇ…………ぐすっ」
涙がボロボロ出てくる。そんな私を背中…………背中、なのか? に乗せてどこかに運ぶメタグロス。ついたのはトネクサシティの端にある一軒家。
サイコパワーで扉を開けて入っていく。一応大きめな扉だったけどよく入れたなメタグロス。
「おかえりメタグロス。…………可愛いお客さんまで連れて来たんだね」
あ、あああああっ! おまっ、お前は石マニアさんじゃないかっ!!!!
(ここまで)
石マニアさんことダイゴさん(15歳ぐらい)と仲良くお茶する仲になる。オタクの語りトークをきちんと聞いてくれるし否定しない夢主に執着するようになる。
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次のページは√カントーと√ホウエンのその後でガラルに夢主が旅行に来た時にキバナさんに見つかったらってやつです。
発狂済みキバナさんで短い話です。興味ない方はここまで。
以下人物紹介
夢主(リージョンフォーム)
【√カントー】
マサラタウンであまりにも大人しい子供として有名。実は夢主は知らないが運動音痴具合はポケモン世界の運動音痴とは格が違うのを知らない。だから先生達は夢主の命の為に体育が散歩になった。
レジェンド達に妹分として可愛がられるし、まあ、色々とあって宝みたいに扱われる。グリーンからはイーブイの卵、レッドからは御三家の卵を渡される。そして生まれたらレジェンド達にバトル仕込まれてセコムとされる。
仕事に追われないがレジェンド達のマネージャーみたいな立ち位置になる。囲われてるの気づいて。
【√ホウエン】
一応同い年の子供いるのにぼっちになってしまったが気にしてない。
群がって来たペリッパーはトネクサシティのワルガキがちょっかいかけ怒ってた群れ。子供の見分け付かなかったので夢主が襲われた。
夢主もオタクだったのでオタクトークしたくなる気持ちも布教もわかる。拒否や否定の悲しさもわかる。あと話を聞くの好きだからダイゴさんの話を聞くのは苦じゃない。だから執着されるんだよ。
ダイゴさんからセコムとして色違いダンバルを貰うことになる。ちなみにバトルはダイゴさんがしてくれて立派なメタグロスになるしキーストーンにメタグロスナイトまで貰う。
「なんでぇ?????」ってなってる。大富豪の御曹司に貢がれる立場になってるんだよ!
【各√共通】
ポケモンリーグからの要請でガラル行きになった人に付いてくことになった。
ちょっと時間が取られるとのことで一人で懐かしのナックルシティへ行くことに。(フラグが立つ)
グリーンさん(13歳ぐらい)
トキワジムリーダーしてるしレジェンド扱いされてる。久々に実家に顔出したら姉にちっさい子が引っ越して来たって言うし研究所に居るって言うから見に来た。
絵の上手さにびっくりする。プロじゃん! ってなってる。
あまりの夢主の運動音痴っぷりに庇護欲がわく。俺が守ってやらないと…………!
実家に帰る率が高くなった。
レッドさん(13歳ぐらい)
たまにはお前も家に帰れってグリーンさんに引っ張ってこられた。逃亡防止に穴抜けの紐をくくりつけられる。
帰ったら珍しいポケモンがいたし絵が上手い子がいてどんなポケモン描いてるか気になった。このイヌヌワンって何?
夢主の運動音痴っぷりを見て心配になる。ベビィポケモンよりか弱くない??? ちょっと夢主の弱さにビビる。ベビィポケモンより優しくしなきゃってなりお世話するように。それ人間ですよ。
下山率が上がった。
ピカチュウの卵じゃないのは
ダイゴさん(15歳ぐらい)
チャンピオンにはまだなってないぐらい。父親に反抗してトネクサシティに住んでる。
この度メタグロスが女の子拾ってきた。紳士なので泣き止むまでお世話した。石の話をしても嫌がらないしちゃんと聞いてくれたので好感度が上がった。
その後も話を聞いてくれるしいつも一人でいるからお家にお招きして…………って感じで執着度を自ら上げていく。
御曹司ってのもあるけどトレーナーとしての稼ぎもあって貢ぐのが苦じゃないし、高級なものは嫌がられたので様子見ながら少しずつ値段上げていってる。
キバナさん(10歳の姿)
まだ発狂はしてないけど宝が無くなり安否もわかんない。プライベートの精神が不安定になる。
もうちょいしたら
10年後に出会えるよ!
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以下ifルートで10年後キバナさんと再開した話
ナックルシティが夕日に照され燃えるように染まる。その風景を外壁上から眺めながらキバナは思考を濁らせる。
その表情は“キバナ様”と呼ばれる男のそれとはまるで真逆の、この世界全てに絶望したような、そんな暗いものだ。
歴史ある街、最強のジムリーダーの居る街。ドラゴンが見守る街。様々な呼ばれ方があれど、何よりキバナにとって皮肉が効いていると思っている呼び名がナックルシティにはある。
宝物庫を守るドラゴンが居る街。
そのことを考えただけでキバナの呼吸は乱れる。喉がひきつり呼吸がしにくくなる。
なぁにがドラゴンだ、宝物庫だ。自分が一番守りたかった宝は居なくなり、無事なのかすら情報も無く、有名になれば向こうから連絡があればと思い呼び掛けようとすれば上からストップがかかる。
アイドルやモデルじゃねぇんだぞっ! 何度自分の
「ハハッ……は、は…………」
嘲笑うような声がぷつりと途切れて流れる壊れかけの電子機器のようにキバナから発せられる。小さなそれは辺りに広がることもなく、すぐに消えていく。
あの日、宝が消えた時からキバナの世界は変わってしまった。まだ一年は我慢出来た。チャンピオンリーグの邪魔をしたくないだろう、なんて不安になろうとも楽観出来ていた。
しかしリーグが終わればそれは出来なかった。何故、どうして、疑問。それよりもチャンピオンになれなかった姿に失望したのか、何か事件にあったのか、不安に恐怖。何も言わずに離れていった怒りだって勿論あったし、失望もあった。それでも無くしたくない、会いたい、言ってしまえば愛していたから忘れられなかった。小さな記憶も、壊れた紙粘土細工だって捨てられなかった。
明るいインフルエンサーでガラル最強のジムリーダーであるキバナなんて役を降りてしまえば、そこにあるのは宝を求める泣きわめくドラゴンしか居ない。そんなことはキバナしか知らないこと。
ドラゴンは総じて執着が強い。個が強いからか大切なものを隠して守って側に置いておきたいらしい。自身をドラゴンと称するキバナにとってもそれが当てはまった。
あの大切な宝を手にする為にキバナは手を尽くす。欠片でも構わなかった、今は。だからこそ、いつ手にしてもいいように
濁らせた思考を綺麗な上澄みに切り替えようとした時、下から懐かしいような、初めて聞くような、声が聞こえた。
それはキバナが見た幻覚なのかもしれなかったが、そこに居たのはキバナが探していた宝だった。綺麗なまま大きく、まるでキバナに
カバンに付けられたボールホルダーの数は、一個以上あるが、その内にある一個にあのポケモンがいるとすれば厄介なのはキバナは知っている。
警戒されないように静かに出したフライゴンに飛び乗り下へと降りる。小さな路地しか繋がってない、子供の頃によく遊んだデッドスペースである小さな広場なんて
「懐かしいなぁ、ここよくキバナさんと遊んだんだよなぁ」なんて口に出す。幻覚でも何でも良かった。
何時起こるか分からない緊急事態用に配布された使い捨て用のモンスターボールをロックする装置を起動させ、背後から近付く。
警戒され逃げられるのは、嫌なので。そもそもキバナに逃がす気は無いが。
子供の頃より成長はしてるが、大人になって子供の頃に有った差は性別も体格差もあり広がっていた。覆い被されば姿を隠せるほどに小さなそれに近付く。
カバンのボールホルダーに装置を取り付け、まだ聞いていたい可愛い声を出させないように手で塞ぐ。
離れないように装置を取り付けた腕を回して抱き締める。
「
宝の名前を呼べば、その大きく見開いた目に蕩けたようなドラゴンの笑顔があった。
□□□□□
以下人物紹介
キバナさん(20歳)
ドラゴンストーム。原作軸丁度終了したぐらいの姿。
発狂しちゃってプライベートは暗く鬱っていると言うか、いつか手にする夢主の為に部屋を調えてた。もし亡くなってたら骨の欠片を大事に大事に抱き抱えて生きていくつもりだった。骨なら逃げたりしないから安心感は抜群。でも生きてたから不安感が抜群の方だった。
この後めちゃくちゃ
多分このキバナさんは自分の一部を無くしてるような喪失感が酷かったんだと思う。だからこその発狂。
夢主(18歳)
知り合いに付いてきて地元に一旦帰郷。ちょっと一人だけの自由時間出来たので小さな頃の秘密基地みたいに使ってた場所に来た。
なつかし~とか言ってたら突然後ろから口塞がれて抱き締められて恐怖。さらに声かけられて見たら、なんか、色気だだもれの忘れてるだろうと思ってたキバナさん。
色々とキャパオーバーして気絶したら、気付いたら
助けが来るまでキバナさんにベタベタされ、愛でられる。ここでキバナさんの精神状態のヤバさに気づく。
各√の人達
めっちゃキレる。伝を使って見付ける。
多分見付けるのに一週間ぐらいかかるんじゃないかな。
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