女性審神者の名前です。
菜の花「この本丸で俺たちと話すのって違和感ないの?」
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~薙side~
神社から戻り、インターホンを鳴らせば主様が「おかえり」と出迎えてくれた。
「え、薙?!」
神社からこの家に戻るまでに涙の跡が消えるはずもなく、少し目を赤くしている私を見て主様がそこをなぞった。主様と視線を合わせてゆっくりと頷いてみせる。
「…思い出せたことがあったんだね」
「はい」
主様も泣きそうになりながらも優しく抱きしめてくれた。
「どげんしたと?」
なかなかリビングに戻って来ない私たちが気になった博多くんがひょっこり顔を出す。その上に乱ちゃんも続いた。
「何があったの?!」
私の顔を見てぎょっとした乱ちゃんが主様ごと私に抱きつく。「大丈夫だよ」と乱ちゃんの頭に頬を寄せて微笑んだ。
「まずはリビングに行こうか」
そうしてそちらに戻ると、みんなはテーブルでお寿司のパンフレットを囲んでいた。右では乱ちゃんが腕を組み、左では主様が私の手を引いて、石切丸さんはそんな私たちを優しく見守りつつ続く。みんなが「おかえり」と笑顔で声を掛けてくれたのも一瞬で、やっぱり私を見るなり驚いている。お母様が「蒸しタオルを用意するわ」と急いで洗面所へ向かった。
「楽しい時間なのに、水を差してしまって申し訳ありません」
主様が話し方もすっかり自然になった私をソファーに座らせてくれて、早く話を聞きたいと言わんばかりに博多くんと乱ちゃんが前に座る。小夜くんもおずおずとそれに続いた。
「私は紅葉薙 。前の主様が付けて下さった名前です」
恐らく美しく色づいた紅葉を見て名付けて下さったであろうことも付け足す。
「そして、前の主様も女性です」
ぱぁっとみんなの顔が輝く。けれど、そのお方が誰なのかまでは分からないことを伝えると、みんなが当てはまる人を考え始めた。ここにいる刀剣は活躍していた時代はばらばらだ。地域も違う。私の前の主様と薙刀だった頃の私が過ごしていたのは関東で間違いないので、そこは大きな手掛かりだろうと話し合った。
「…“万が一の時は頼むぞ”、ですか」
「僕と同じく、戦乱の時代だったってことは考えられないかな」
顎に手を添えて一点を見つめる燭台切さんに首を傾げる。私が調べた限り、薙刀は武家の女性も護身や教養の1つで武芸としてそれを学び、城主の不在の時に万が一のことが起こった際は戦っていたと載っていた。違う時代には薙刀は嫁入り道具の1つとなったとも言われている。
「薙さんの前の主は武家の出身で、嫁入りした時に薙さんを脇差にしたと考えられないかい?」
「それは充分に考えられると思う」
不動くんは脇差になった私を守り刀にしたんじゃないかと言っていた。もしそれも事実であったら、戦わなければならない環境だった、ということ。
「あと、女の子が2人見えたって言ってたよね。その辺りはどう?」
「すみません、そこまでは…」
息女だったのか妹君だったのかが分かればそこも大きな手掛かりになるのに、全く分からない。あの時に見えた前の主様たちのやり取りが思い出せればどちらかなのか分かったかもしれない。
「…それでも薙さんが色々思い出せて、僕も嬉しいです」
「みんなに話すのも楽しみだね」とここでやっと笑顔になれた。
お母様が用意して下さった蒸しタオルを目に当ててそっと手を添えてみるとあっという間に腫れは治まった。記憶が戻ったおかげか、今まで治せなかった自分の怪我もある程度は治せるようになったみたいだ。
「よっし、薙のお祝いも兼ねていっぱい頼んじゃおう!薙、選んでいいよ!」
パンフレットを眺めてみると本当に色々ある。貝類だったり光り物だったり細巻きだったり、人数に合わせて様々な種類のセットがあれば、マグロの赤身や中トロだけのセットもある。
「私、これを食べてみたいです」
指したのはサーモンのセット。お刺身でしか食べたことがなかったから、炙ったり細巻きにしているものも気になる。
主様が通常の詰め合わせ、乱ちゃんと小夜くんがマグロのセットを、燭台切さんは気になっているという貝類のセットを、主様の甥君用に子ども向けのセットも選んだら、なかなかの量になってしまった。
「高うなってしもうたけど大丈夫と?」
「この子はあまり帰って来れないし、一緒に過ごせるならこれぐらい安いものよ」
主様と似た雰囲気で“スマートフォン”で注文を済ませたお母様。本丸でもパソコンを使って調べものをしたり買い物も出来るけれど、本当に便利なものだとつくづく思う。
主様の兄様たちは渋滞に巻き込まれてしまったようで、到着が少し遅れるらしい。それでもお寿司が届くまでには間に合うようで、みんなで食器や飲み物を用意して揃うのを待った。
神社から戻り、インターホンを鳴らせば主様が「おかえり」と出迎えてくれた。
「え、薙?!」
神社からこの家に戻るまでに涙の跡が消えるはずもなく、少し目を赤くしている私を見て主様がそこをなぞった。主様と視線を合わせてゆっくりと頷いてみせる。
「…思い出せたことがあったんだね」
「はい」
主様も泣きそうになりながらも優しく抱きしめてくれた。
「どげんしたと?」
なかなかリビングに戻って来ない私たちが気になった博多くんがひょっこり顔を出す。その上に乱ちゃんも続いた。
「何があったの?!」
私の顔を見てぎょっとした乱ちゃんが主様ごと私に抱きつく。「大丈夫だよ」と乱ちゃんの頭に頬を寄せて微笑んだ。
「まずはリビングに行こうか」
そうしてそちらに戻ると、みんなはテーブルでお寿司のパンフレットを囲んでいた。右では乱ちゃんが腕を組み、左では主様が私の手を引いて、石切丸さんはそんな私たちを優しく見守りつつ続く。みんなが「おかえり」と笑顔で声を掛けてくれたのも一瞬で、やっぱり私を見るなり驚いている。お母様が「蒸しタオルを用意するわ」と急いで洗面所へ向かった。
「楽しい時間なのに、水を差してしまって申し訳ありません」
主様が話し方もすっかり自然になった私をソファーに座らせてくれて、早く話を聞きたいと言わんばかりに博多くんと乱ちゃんが前に座る。小夜くんもおずおずとそれに続いた。
「私は
恐らく美しく色づいた紅葉を見て名付けて下さったであろうことも付け足す。
「そして、前の主様も女性です」
ぱぁっとみんなの顔が輝く。けれど、そのお方が誰なのかまでは分からないことを伝えると、みんなが当てはまる人を考え始めた。ここにいる刀剣は活躍していた時代はばらばらだ。地域も違う。私の前の主様と薙刀だった頃の私が過ごしていたのは関東で間違いないので、そこは大きな手掛かりだろうと話し合った。
「…“万が一の時は頼むぞ”、ですか」
「僕と同じく、戦乱の時代だったってことは考えられないかな」
顎に手を添えて一点を見つめる燭台切さんに首を傾げる。私が調べた限り、薙刀は武家の女性も護身や教養の1つで武芸としてそれを学び、城主の不在の時に万が一のことが起こった際は戦っていたと載っていた。違う時代には薙刀は嫁入り道具の1つとなったとも言われている。
「薙さんの前の主は武家の出身で、嫁入りした時に薙さんを脇差にしたと考えられないかい?」
「それは充分に考えられると思う」
不動くんは脇差になった私を守り刀にしたんじゃないかと言っていた。もしそれも事実であったら、戦わなければならない環境だった、ということ。
「あと、女の子が2人見えたって言ってたよね。その辺りはどう?」
「すみません、そこまでは…」
息女だったのか妹君だったのかが分かればそこも大きな手掛かりになるのに、全く分からない。あの時に見えた前の主様たちのやり取りが思い出せればどちらかなのか分かったかもしれない。
「…それでも薙さんが色々思い出せて、僕も嬉しいです」
「みんなに話すのも楽しみだね」とここでやっと笑顔になれた。
お母様が用意して下さった蒸しタオルを目に当ててそっと手を添えてみるとあっという間に腫れは治まった。記憶が戻ったおかげか、今まで治せなかった自分の怪我もある程度は治せるようになったみたいだ。
「よっし、薙のお祝いも兼ねていっぱい頼んじゃおう!薙、選んでいいよ!」
パンフレットを眺めてみると本当に色々ある。貝類だったり光り物だったり細巻きだったり、人数に合わせて様々な種類のセットがあれば、マグロの赤身や中トロだけのセットもある。
「私、これを食べてみたいです」
指したのはサーモンのセット。お刺身でしか食べたことがなかったから、炙ったり細巻きにしているものも気になる。
主様が通常の詰め合わせ、乱ちゃんと小夜くんがマグロのセットを、燭台切さんは気になっているという貝類のセットを、主様の甥君用に子ども向けのセットも選んだら、なかなかの量になってしまった。
「高うなってしもうたけど大丈夫と?」
「この子はあまり帰って来れないし、一緒に過ごせるならこれぐらい安いものよ」
主様と似た雰囲気で“スマートフォン”で注文を済ませたお母様。本丸でもパソコンを使って調べものをしたり買い物も出来るけれど、本当に便利なものだとつくづく思う。
主様の兄様たちは渋滞に巻き込まれてしまったようで、到着が少し遅れるらしい。それでもお寿司が届くまでには間に合うようで、みんなで食器や飲み物を用意して揃うのを待った。
