女性審神者の名前です。
菜の花「この本丸で俺たちと話すのって違和感ないの?」
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~陸奥守side~
薙に風邪をうつしてしもうた。
「何を言うたらえいのか分からんが、ひとまず、うつしてしもうてすまん」
「気にしなくて、いいよ…」
「私も悪いし…」と咳と熱で辛そうにしちゅう薙から体温計を渡されて、その数字に手を額に当てた。38.5℃、かなりの体温じゃ。
前に主が寝込んだ時、体温を知ってしまうと余計にのうが悪うなった気がした、と聞いちゅうき、わしは敢えて体温を知らせんでおく。
「薙ぃ…」
もふ丸が頬を舐めちょるけんど、今は熱いだけやろう。そっと薙から離いた。もふ丸にはうつらんかったのは幸いで、小夜も山姥切も回復したし、他に風邪を引いちゅう男士はおらんし、これ以上流行らせるわけにもいかん。そりゃ薙も思うちゅうがじゃろう、ぼそりと呟く。
「私で、打ち止めに、する…」
「わしもそうなるように看病するき、薙はゆっくりしとーせ」
「薙ー、解熱剤持って来たぞー」
「入ってもえいぜよ」
少しだけ障子を開けて薬研が顔を出す。薙は助けを求めるような目をしちょったんやと思う。「今飲んでも構わないぜ」と苦笑されていた。
「起きるがも辛いじゃろう。触るのは許しとーせ」
「別に、怒らないよ…」
起きるがを手伝い、水の入ったコップを渡す。薙は顕現した直後にこの薬を飲みよったおかげかわしのように咽ることはなかった。
薙の目にじわりと涙が浮かぶ。
「わしに触られるががやっぱり嫌やったがか?!」
「違うよ…」
ふと伝えたい言葉が浮かんで喉まで出かかった。どいたのか聞かれたけんど、「なんちゃあない」とはぐらかしちょく。
「さ、横になりとーせ。…よっと」
割れ物を扱うように優しゅう薙を寝かせて掛け布団を掛ける。ちっくと起きちゅうだけでもひやかったがじゃろう。その温かさに微笑んだ。
そこに、障子の向こうから控えめな足音がした。あの特徴的な影は小夜。何かを置いた後に頷いた仕草が見えたき、きっと江雪と宗三もおるがやろう。そのままささっと行ってしもうて、代わりにわしが障子を開けると、そこには落ち着いた色合いの花瓶に優しい色の花が挿してあった。
「見とーせ。見舞いの花じゃ」
「小夜、くん…?」
「そうじゃ」
花に手を伸ばした薙の手元に花瓶を寄せる。振れるか触れんかぐらいの動きでその花をなぞった。
「キレイ…」
「元気になったら、何の花か小夜に聞いてみるとえい」
「うん…」
香の香りが薄まった。障子を開けた時に流れてしもうたがか思いきや、焚いちょった香が消えてしもうちょった。
しもうた、香はこれでなかったがか。
「薙、香がのうなったき、主からもろうて来るぜよ。待っちょれ」
「…陸奥」
小さく首を振った。潤んだ目が1振りになりたくないと言いゆう。
「僕が行って来ますっ」
「大丈夫か?あの階段は上れるか?」
「大丈夫です、主様のところへ向かっている途中で誰かに会うと思いますので、その方に手伝ってもらいます」
「ほんなら、まぁえいか。やけんど気ぃ付けて行くがやぞ」
「はいっ」と元気良く駆けて行った。
もふ丸にとって初めてのおつかい。同じ付喪神とはいえ、もふ丸からしてみたら薙は主に似たような存在や。役に立ちたい思う気持ちは分かる。
それにしたち、薙にそがな一面があったとはな。
わしが思うちょったことがばれたがか、「言わないで」と掛け布団で口元を隠いた。だが潤んじゅうその瞳は天井ではのう他の何かを見ゆう。
「炎に包まれている時の、記憶が…浮かんじゃうの」
「……」
「私を大切にしてくれた人たちは…無事だったのかなぁ…」
「薙…」
どいて自分が辛い思いをしちゅうのに人のことを思えるがか。積極的に粟田口の面倒を見よった姿といい、薙は自分より周りを優先する性格と見える。
「今は自分のことだけを考えるがよ。思いを馳せるがはいつでも出来るき、今は自分の体を心配するとえい」
「……」
前の主の影響か、神社におったのが長かったか。どちらかまではわしには分からん。それでも薙が優しい性格ながは良う伝わってきた。
「わしゃちゃんとここにおるき、ちっくと寝とーせ」
「うん…」
そう言われて安心したがか、うとうととしだして、じきに静かな寝息が聞こえてきた。
「わしをはり倒したおまさんはどこにいったがじゃ。早う治しとーせ」
薙に風邪をうつしてしもうた。
「何を言うたらえいのか分からんが、ひとまず、うつしてしもうてすまん」
「気にしなくて、いいよ…」
「私も悪いし…」と咳と熱で辛そうにしちゅう薙から体温計を渡されて、その数字に手を額に当てた。38.5℃、かなりの体温じゃ。
前に主が寝込んだ時、体温を知ってしまうと余計にのうが悪うなった気がした、と聞いちゅうき、わしは敢えて体温を知らせんでおく。
「薙ぃ…」
もふ丸が頬を舐めちょるけんど、今は熱いだけやろう。そっと薙から離いた。もふ丸にはうつらんかったのは幸いで、小夜も山姥切も回復したし、他に風邪を引いちゅう男士はおらんし、これ以上流行らせるわけにもいかん。そりゃ薙も思うちゅうがじゃろう、ぼそりと呟く。
「私で、打ち止めに、する…」
「わしもそうなるように看病するき、薙はゆっくりしとーせ」
「薙ー、解熱剤持って来たぞー」
「入ってもえいぜよ」
少しだけ障子を開けて薬研が顔を出す。薙は助けを求めるような目をしちょったんやと思う。「今飲んでも構わないぜ」と苦笑されていた。
「起きるがも辛いじゃろう。触るのは許しとーせ」
「別に、怒らないよ…」
起きるがを手伝い、水の入ったコップを渡す。薙は顕現した直後にこの薬を飲みよったおかげかわしのように咽ることはなかった。
薙の目にじわりと涙が浮かぶ。
「わしに触られるががやっぱり嫌やったがか?!」
「違うよ…」
ふと伝えたい言葉が浮かんで喉まで出かかった。どいたのか聞かれたけんど、「なんちゃあない」とはぐらかしちょく。
「さ、横になりとーせ。…よっと」
割れ物を扱うように優しゅう薙を寝かせて掛け布団を掛ける。ちっくと起きちゅうだけでもひやかったがじゃろう。その温かさに微笑んだ。
そこに、障子の向こうから控えめな足音がした。あの特徴的な影は小夜。何かを置いた後に頷いた仕草が見えたき、きっと江雪と宗三もおるがやろう。そのままささっと行ってしもうて、代わりにわしが障子を開けると、そこには落ち着いた色合いの花瓶に優しい色の花が挿してあった。
「見とーせ。見舞いの花じゃ」
「小夜、くん…?」
「そうじゃ」
花に手を伸ばした薙の手元に花瓶を寄せる。振れるか触れんかぐらいの動きでその花をなぞった。
「キレイ…」
「元気になったら、何の花か小夜に聞いてみるとえい」
「うん…」
香の香りが薄まった。障子を開けた時に流れてしもうたがか思いきや、焚いちょった香が消えてしもうちょった。
しもうた、香はこれでなかったがか。
「薙、香がのうなったき、主からもろうて来るぜよ。待っちょれ」
「…陸奥」
小さく首を振った。潤んだ目が1振りになりたくないと言いゆう。
「僕が行って来ますっ」
「大丈夫か?あの階段は上れるか?」
「大丈夫です、主様のところへ向かっている途中で誰かに会うと思いますので、その方に手伝ってもらいます」
「ほんなら、まぁえいか。やけんど気ぃ付けて行くがやぞ」
「はいっ」と元気良く駆けて行った。
もふ丸にとって初めてのおつかい。同じ付喪神とはいえ、もふ丸からしてみたら薙は主に似たような存在や。役に立ちたい思う気持ちは分かる。
それにしたち、薙にそがな一面があったとはな。
わしが思うちょったことがばれたがか、「言わないで」と掛け布団で口元を隠いた。だが潤んじゅうその瞳は天井ではのう他の何かを見ゆう。
「炎に包まれている時の、記憶が…浮かんじゃうの」
「……」
「私を大切にしてくれた人たちは…無事だったのかなぁ…」
「薙…」
どいて自分が辛い思いをしちゅうのに人のことを思えるがか。積極的に粟田口の面倒を見よった姿といい、薙は自分より周りを優先する性格と見える。
「今は自分のことだけを考えるがよ。思いを馳せるがはいつでも出来るき、今は自分の体を心配するとえい」
「……」
前の主の影響か、神社におったのが長かったか。どちらかまではわしには分からん。それでも薙が優しい性格ながは良う伝わってきた。
「わしゃちゃんとここにおるき、ちっくと寝とーせ」
「うん…」
そう言われて安心したがか、うとうととしだして、じきに静かな寝息が聞こえてきた。
「わしをはり倒したおまさんはどこにいったがじゃ。早う治しとーせ」
