女性審神者の名前です。
菜の花「この本丸で俺たちと話すのって違和感ないの?」
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~薬研side~
「よし、これで怪我の手当ての手順は完璧に覚えられたな」
人体図鑑や薬品の成分表を参考書にしつつ、無事に研修を終えた薙が安堵の溜息をついた。これで薙が出陣した時、もしくは俺が本丸にいない間に怪我人が出てしまった時に充分役に立てるはずだ。
「ちゃんと覚えられて、良かった」
「これまで怪我人の面倒を見れるのは俺だけだったし、こっちも助かる」
「これで、役に立てるね」と微笑んだ薙に俺も微笑みを返す。
薙はまだ自分が実力不足なのを理解していて、薙なりにそれをカバーしようとしているのは知っている。俺だけじゃない、皆もだ。だが俺から見れば、香を使わずに済むようになったのは大進歩でも、記憶を全て取り戻していないのもあって自信がないようにも見える。これは仕方ないことだし、それでも大将に「ゆっくりでいい」と言われていても思うことはあるだろう。
「薙、薬研、いるー?」
障子越しに加州から声が掛かる。障子の向こうには人影が2つ。大和守も一緒だった。
「一緒におやつ食べない?岩融と今剣がクッキーを焼いてくれたんだよ」
「お、いいな。いただくぜ」
時刻は昼過ぎ。夕餉までまだ時間があって小腹が空いていたから助かった。大将が抹茶味の菓子が好きなのもあってか、その味と他の色をしたものもある。どうやらココア味らしい。
「うん、美味いな」
俺たちが手合わせをするようになってから稽古をする男士が増えて、昼餉だけでは足りなくなることが増えてきた。燭台切や歌仙、長谷部と薙でおやつや軽食を作ろうとなって、それを知った者たちが作ってみたいと参加することも多くなった。それで今日は岩融と今剣が作ったようだ。
最初に作ったのは俺たち粟田口で作った蒸しパン。燭台切からアドバイスをもらって黒豆入りにしたりきなこ味にしたりして、腹持ちも良くて好評だった。今度は鳴狐も一口サイズのいなり寿司も作りたいらしく、最近では具は何を入れれば良いか歌仙たちと話し合っていると聞く。そこから他の料理にも使えるような食材を考えて、せっかく作るならば大豆も栽培してみようか、という話にもなっているらしい。
大所帯になってきたこの本丸では自給自足が重要になる。元々長谷部も栽培する作物を増やした方が良いのでは、と大将に進言したと言っていたし、実際に昨日から畑の範囲を広げている。大将の師匠の本丸にいる俺は既に収穫量が増えたり、早く成長する薬品の開発に成功していると聞いているし、俺も出来るだけ間に合うように研究を進めているところだ。おかげで遅くまで起きていて寝不足になる日もあるが、薙が夜食を差し入れしてくれたりもするし、そこも本当に助かっている。
「今日は俺たち粟田口は非番だが、兄弟は何をしているんだ?皆に迷惑を掛けてないか?」
「大丈夫だよ。蜻蛉切と獅子王と一緒にしゃぼん玉で遊んだりしてる。あとは陸奥守が双六やってるかな。外で遊んでる奴らは小狐丸や鶯丸も見てるし。安心して」
「助かる。いつもありがとうな」
「一期がいてももちろんだけど、いない間は特に俺たちが見守らないとね。薬研も怪我をすれば診てくれるし、お互い様ってことで」
「薬研は開発に専念してね」
「あぁ」と答えて薙と手当て道具やら何やらを片付ける。
「……」
兄弟の話になった時から、薙は何かを考えているのか会話に参加せずに無言でいる。
「薙、どうした?」
「ずっと、思い出したことを…考えてたの」
「…というと?」
「前にね、こっそり…薙刀を使っていたら、不動くんに見られちゃって。動きが舞に見えた、って言われたの。そこから、巫女服を着た女の人が…薙刀だった頃の、私を使って豊作祈願の祭事を…していたんだろうな、って」
「それなら“薙様のおかげで豊作だった”ってのも分かるかも」
見えた景色が田んぼや畑だったと言っているからきっとそうだろう。
薙刀だった頃に豊作祈願の祭事を行っていたならば、その神社と脇差になってから奉納された神社は同じかもしれない。その考えは大将も薙も同じらしいが、やはり肝心の神社が何処なのかまでは辿り着いていない。
「それなら今年からは薙が豊作祈願をやってみたらどうだ?」
「でも、それって…石切丸さんの仕事じゃ…?」
「うーん、合同やるとか?」
「そーね。石切丸は病気治癒のご利益がある刀剣だし、ちょっと意味は変わるけど石切丸は作物が病気に罹らないように、薙は豊作祈願で役割は充分だと思うよ」
皆が大好きなスイカ、様々な料理に使える大根やキャベツはそろそろ植える時期でちょうどいい。「石切丸と話してみよう」となったが、俺は薬品の研究をしなくちゃならないからここまでだ。
「手伝えることがあったら、声を掛けてね」と言ってくれた薙に頷いて本を手にした。
「よし、これで怪我の手当ての手順は完璧に覚えられたな」
人体図鑑や薬品の成分表を参考書にしつつ、無事に研修を終えた薙が安堵の溜息をついた。これで薙が出陣した時、もしくは俺が本丸にいない間に怪我人が出てしまった時に充分役に立てるはずだ。
「ちゃんと覚えられて、良かった」
「これまで怪我人の面倒を見れるのは俺だけだったし、こっちも助かる」
「これで、役に立てるね」と微笑んだ薙に俺も微笑みを返す。
薙はまだ自分が実力不足なのを理解していて、薙なりにそれをカバーしようとしているのは知っている。俺だけじゃない、皆もだ。だが俺から見れば、香を使わずに済むようになったのは大進歩でも、記憶を全て取り戻していないのもあって自信がないようにも見える。これは仕方ないことだし、それでも大将に「ゆっくりでいい」と言われていても思うことはあるだろう。
「薙、薬研、いるー?」
障子越しに加州から声が掛かる。障子の向こうには人影が2つ。大和守も一緒だった。
「一緒におやつ食べない?岩融と今剣がクッキーを焼いてくれたんだよ」
「お、いいな。いただくぜ」
時刻は昼過ぎ。夕餉までまだ時間があって小腹が空いていたから助かった。大将が抹茶味の菓子が好きなのもあってか、その味と他の色をしたものもある。どうやらココア味らしい。
「うん、美味いな」
俺たちが手合わせをするようになってから稽古をする男士が増えて、昼餉だけでは足りなくなることが増えてきた。燭台切や歌仙、長谷部と薙でおやつや軽食を作ろうとなって、それを知った者たちが作ってみたいと参加することも多くなった。それで今日は岩融と今剣が作ったようだ。
最初に作ったのは俺たち粟田口で作った蒸しパン。燭台切からアドバイスをもらって黒豆入りにしたりきなこ味にしたりして、腹持ちも良くて好評だった。今度は鳴狐も一口サイズのいなり寿司も作りたいらしく、最近では具は何を入れれば良いか歌仙たちと話し合っていると聞く。そこから他の料理にも使えるような食材を考えて、せっかく作るならば大豆も栽培してみようか、という話にもなっているらしい。
大所帯になってきたこの本丸では自給自足が重要になる。元々長谷部も栽培する作物を増やした方が良いのでは、と大将に進言したと言っていたし、実際に昨日から畑の範囲を広げている。大将の師匠の本丸にいる俺は既に収穫量が増えたり、早く成長する薬品の開発に成功していると聞いているし、俺も出来るだけ間に合うように研究を進めているところだ。おかげで遅くまで起きていて寝不足になる日もあるが、薙が夜食を差し入れしてくれたりもするし、そこも本当に助かっている。
「今日は俺たち粟田口は非番だが、兄弟は何をしているんだ?皆に迷惑を掛けてないか?」
「大丈夫だよ。蜻蛉切と獅子王と一緒にしゃぼん玉で遊んだりしてる。あとは陸奥守が双六やってるかな。外で遊んでる奴らは小狐丸や鶯丸も見てるし。安心して」
「助かる。いつもありがとうな」
「一期がいてももちろんだけど、いない間は特に俺たちが見守らないとね。薬研も怪我をすれば診てくれるし、お互い様ってことで」
「薬研は開発に専念してね」
「あぁ」と答えて薙と手当て道具やら何やらを片付ける。
「……」
兄弟の話になった時から、薙は何かを考えているのか会話に参加せずに無言でいる。
「薙、どうした?」
「ずっと、思い出したことを…考えてたの」
「…というと?」
「前にね、こっそり…薙刀を使っていたら、不動くんに見られちゃって。動きが舞に見えた、って言われたの。そこから、巫女服を着た女の人が…薙刀だった頃の、私を使って豊作祈願の祭事を…していたんだろうな、って」
「それなら“薙様のおかげで豊作だった”ってのも分かるかも」
見えた景色が田んぼや畑だったと言っているからきっとそうだろう。
薙刀だった頃に豊作祈願の祭事を行っていたならば、その神社と脇差になってから奉納された神社は同じかもしれない。その考えは大将も薙も同じらしいが、やはり肝心の神社が何処なのかまでは辿り着いていない。
「それなら今年からは薙が豊作祈願をやってみたらどうだ?」
「でも、それって…石切丸さんの仕事じゃ…?」
「うーん、合同やるとか?」
「そーね。石切丸は病気治癒のご利益がある刀剣だし、ちょっと意味は変わるけど石切丸は作物が病気に罹らないように、薙は豊作祈願で役割は充分だと思うよ」
皆が大好きなスイカ、様々な料理に使える大根やキャベツはそろそろ植える時期でちょうどいい。「石切丸と話してみよう」となったが、俺は薬品の研究をしなくちゃならないからここまでだ。
「手伝えることがあったら、声を掛けてね」と言ってくれた薙に頷いて本を手にした。
