女性審神者の名前です。
沈丁花「わしに何が起こったがか教えとーせ…」
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~薙side~
「大丈夫です、このエリアは皆さん部屋にいらっしゃいます」
斥候もとい、偵察係のもふ丸が廊下の曲がり角でちょこんと辺りの様子を窺う。冬は皆温かい部屋で過ごしているので、遭遇する確率は低そうだ。冬以外は縁側でお茶を楽しんだり、庭で遊ぶ刀剣が多いと聞いているから、顕現がこの季節で良かった。
清光くんと話していた通り、厠に行く男士と遭遇するのが不安材料だ。数ある厠の中でそのうちの1カ所の前を通らなければならず、万が一の場合は長曽祢さんか安定くんがフォローしてくれることになっている。
「ここには粟田口は何振りいるの?」
「えーと」と指折り数える安定くん。それに私と長曽祢さんも加わって12振りだと伝えた。一期さんが旅に出ているとも既に話してある。
「思ってたより多いなぁ。びっくり」
「でも、秘蔵っ子の俺がいち兄を驚かせられるのもピッタリかも」と悪戯っぽい笑顔を見せた。
「よし、先に進もう」
この辺りはこっそり進む方が不自然なので、いつも通りに歩いていく。
長曽祢さん情報では、部屋で過ごすことの少ない刀剣は皆稽古場にいるけれど、厠に向かう以外にもお茶が足りなくなって厨に向かう者もいるから油断は出来ない、とのことだ。
「お前ら、何をしてる」
びくっと肩が跳ねた。恐る恐る振り返ると、そこには帳簿を片手に眉を顰めて私たちを見る長谷部さんがいた。
部屋にいるんじゃなかったの…?!
あぁ、ばれてしまった。信濃くんは彼が誰なのかと、私の後ろからこっそり長谷部さんを見ている。懐を狙われている気がしなくもないけれど、そこは考えないでおく。
長谷部さん、察して下さい。
そう視線を送るとさすがは長谷部さん、やれやれ、といった様子で状況を理解してくれた。
「先程石切丸と数珠丸が茶を取りに厨に行った。ここを通るなら早く行くといい」
「長谷部、助かる」
長曽祢さんが小声で礼を述べて先に進む。
そして稽古場に近付いてきたところで、打ち合わせ通りの会話を始める。
「やっぱり寒い時は手合わせだよね」
「あぁ、粟田口の連中と手合わせするのも悪くないな」
一期さんがいない間に強くなろうと努力する粟田口たちに自分たちも負けていられない、という体で会話を進めていく(実際にそうだけど)。
稽古場へと一歩一歩進むにつれて聞こえてくる粟田口の皆の声。他にも陸奥守や蜻蛉切さんの掛け声がする。
「ダメだよ、その手」
「まだまだっ!」
どうやら今は乱ちゃんと薬研くんで手合わせしているようで、激しく木刀がぶつかり合う音にかなり白熱しているのが分かる。
「では長曽祢さん、お願いします」
「おうっ」
長曽祢さんが先頭に立って、その後ろをクラッカーを持った私と安定くんが続く。更にその後ろには信濃くんが待機。
「精が出るな。おれも混ぜてくれ」
「おうっ、いいぜ!」
「よし、それなら俺たちは一旦休憩だ」
一休みしていた厚くんに薬研くんが続いて、そのやり取りを少しだけ遠巻きで聞いていた私と安定くんが頷き合って長曽祢さんの横に滑り込んでクラッカーを鳴らす。そしてその間からひょっこり信濃くんが姿を現した。
「お前…もしかして信濃か?!」
「藤四郎の中でも秘蔵っ子、信濃藤四郎参上っ!」
皆から、特に粟田口から歓声が上がる。あっという間に囲まれた信濃くんを、長曽祢さんと安定くんで遠巻きに見つめた。彼らを長曽祢さんはとても優しい目つき。でもその中に寂しげな色も見える。
弟さんがまだ顕現してないんだっけ…。
「弟さんも早く顕現するといいですね」なんて薄っぺらいことは言えない。私を顕現させる時は脇差を、と話していたようだし、もしかしたら弟の顕現を妨げてしまったんじゃないかと思ってしまう。私はそんなことを言える立場ではない。
「そっちも無事に終わったみたいね」
そこに燭台切さんたちを驚かせてきた清光くんたちがやって来て、これ以上考えなくても済むと内心ほっとした。
信濃くんは今剣ちゃんや岩融さんなど、クラッカーの音を聞きつけて来た男士たちと挨拶をしている。粟田口の今日の稽古はここまでとなって、早速兄弟水入らずで過ごすようだ。長曽祢さんたちは言葉通りこれから手合わせをするらしい。
「では、薙と僕は主様に報告して来ます」
「うん、よろしくね」
そうして主様に報告すると、「良かった」と嬉しそうにこんのすけを撫でた。
「大丈夫です、このエリアは皆さん部屋にいらっしゃいます」
斥候もとい、偵察係のもふ丸が廊下の曲がり角でちょこんと辺りの様子を窺う。冬は皆温かい部屋で過ごしているので、遭遇する確率は低そうだ。冬以外は縁側でお茶を楽しんだり、庭で遊ぶ刀剣が多いと聞いているから、顕現がこの季節で良かった。
清光くんと話していた通り、厠に行く男士と遭遇するのが不安材料だ。数ある厠の中でそのうちの1カ所の前を通らなければならず、万が一の場合は長曽祢さんか安定くんがフォローしてくれることになっている。
「ここには粟田口は何振りいるの?」
「えーと」と指折り数える安定くん。それに私と長曽祢さんも加わって12振りだと伝えた。一期さんが旅に出ているとも既に話してある。
「思ってたより多いなぁ。びっくり」
「でも、秘蔵っ子の俺がいち兄を驚かせられるのもピッタリかも」と悪戯っぽい笑顔を見せた。
「よし、先に進もう」
この辺りはこっそり進む方が不自然なので、いつも通りに歩いていく。
長曽祢さん情報では、部屋で過ごすことの少ない刀剣は皆稽古場にいるけれど、厠に向かう以外にもお茶が足りなくなって厨に向かう者もいるから油断は出来ない、とのことだ。
「お前ら、何をしてる」
びくっと肩が跳ねた。恐る恐る振り返ると、そこには帳簿を片手に眉を顰めて私たちを見る長谷部さんがいた。
部屋にいるんじゃなかったの…?!
あぁ、ばれてしまった。信濃くんは彼が誰なのかと、私の後ろからこっそり長谷部さんを見ている。懐を狙われている気がしなくもないけれど、そこは考えないでおく。
長谷部さん、察して下さい。
そう視線を送るとさすがは長谷部さん、やれやれ、といった様子で状況を理解してくれた。
「先程石切丸と数珠丸が茶を取りに厨に行った。ここを通るなら早く行くといい」
「長谷部、助かる」
長曽祢さんが小声で礼を述べて先に進む。
そして稽古場に近付いてきたところで、打ち合わせ通りの会話を始める。
「やっぱり寒い時は手合わせだよね」
「あぁ、粟田口の連中と手合わせするのも悪くないな」
一期さんがいない間に強くなろうと努力する粟田口たちに自分たちも負けていられない、という体で会話を進めていく(実際にそうだけど)。
稽古場へと一歩一歩進むにつれて聞こえてくる粟田口の皆の声。他にも陸奥守や蜻蛉切さんの掛け声がする。
「ダメだよ、その手」
「まだまだっ!」
どうやら今は乱ちゃんと薬研くんで手合わせしているようで、激しく木刀がぶつかり合う音にかなり白熱しているのが分かる。
「では長曽祢さん、お願いします」
「おうっ」
長曽祢さんが先頭に立って、その後ろをクラッカーを持った私と安定くんが続く。更にその後ろには信濃くんが待機。
「精が出るな。おれも混ぜてくれ」
「おうっ、いいぜ!」
「よし、それなら俺たちは一旦休憩だ」
一休みしていた厚くんに薬研くんが続いて、そのやり取りを少しだけ遠巻きで聞いていた私と安定くんが頷き合って長曽祢さんの横に滑り込んでクラッカーを鳴らす。そしてその間からひょっこり信濃くんが姿を現した。
「お前…もしかして信濃か?!」
「藤四郎の中でも秘蔵っ子、信濃藤四郎参上っ!」
皆から、特に粟田口から歓声が上がる。あっという間に囲まれた信濃くんを、長曽祢さんと安定くんで遠巻きに見つめた。彼らを長曽祢さんはとても優しい目つき。でもその中に寂しげな色も見える。
弟さんがまだ顕現してないんだっけ…。
「弟さんも早く顕現するといいですね」なんて薄っぺらいことは言えない。私を顕現させる時は脇差を、と話していたようだし、もしかしたら弟の顕現を妨げてしまったんじゃないかと思ってしまう。私はそんなことを言える立場ではない。
「そっちも無事に終わったみたいね」
そこに燭台切さんたちを驚かせてきた清光くんたちがやって来て、これ以上考えなくても済むと内心ほっとした。
信濃くんは今剣ちゃんや岩融さんなど、クラッカーの音を聞きつけて来た男士たちと挨拶をしている。粟田口の今日の稽古はここまでとなって、早速兄弟水入らずで過ごすようだ。長曽祢さんたちは言葉通りこれから手合わせをするらしい。
「では、薙と僕は主様に報告して来ます」
「うん、よろしくね」
そうして主様に報告すると、「良かった」と嬉しそうにこんのすけを撫でた。
