女性審神者の名前です。
沈丁花「わしに何が起こったがか教えとーせ…」
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~薙side~
「せっかくの機会だ、薙も飲めるか試してごらんよ」
「さぁさぁ」と日本酒を勧めてくる次郎太刀さん。「無理に飲むことないからねー」と清光くんに言われつつお猪口に注がれた日本酒をちびり、と飲んでみた。
「喉…が、熱…い…」
「おぉ、それは飲めるクチってことだ!さ、じゃんじゃん飲みな!陸奥守は飲んでるかい?」
「飲みゆーよ。せっかく次郎太刀が来たがやき、わしも一献もらうとするかのぅ」
「そーら飲め飲め!」
宴というのはこういう場なのか、と引き続きちびちびと飲む。お猪口が空いたのを見逃さない次郎太刀さんにおかわりを注がれて、今度は一口を増やして飲んでみる。
うん、美味しい。
今まで神社にいた頃は供えられているだけだった。どんな味なのか気になってはいたけれど、こんなに美味しいものだったのか。
あぁ、思い出した。
境内には立派な桜があって、その下で皆が花見をしていて、その時に飲んでいたものこそ日本酒だった。花見をしていたのは何となく覚えていたけれど、今の場とは異なる雰囲気だった。確か…
「豊、作…祈願」
「ん?何か思い出した?」
それを話す。「あぁ、お花見の元はね」と由来を教えてくれた。
元々お花見で愛でていたのは梅だったこと、それが徐々に桜に移り変わって、一部の庶民の間では豊作祈願の為に行われていたものだという。桜の下に神様を呼び、食べ物でもてなして祈願していた地域があったと教えてくれた(諸説あり)。
「田植えの時期が近かったから、それで薙がいた神社でもそれが行われていたのかもね」
「なるほど」
「わしゃそこまで見ちょらんかったなぁ。ためになったぜよ」
けれど、他にも何かしていた気がするのだ。その時よりもっと前の時代に。
脳がぴり、と痛む。その後に見えたのは、巫女服を着た女性が薙刀を持って田んぼに立つ姿だった。
「…?」
もっと何か思い出せないか眉間に指を当てても見えた光景はこれだけ。記憶なのは確かだけれど、それが何だったのかまでは思い出せない。
「前に薙のおかげで今年も豊作だった、って話してたよね。それと関係あるんじゃない?」
「そ、うか…も」
思い出したい気持ちとこの時間を楽しみたい気持ちが混ざり合う。ひとまず水を飲んで少しだけ外の風に当たることにした。
「ふぅ…」
宴の間でも雪は降り続けていて、一面が真っ白だ。試しに手を沈めてみると、結構な量が積もっていた。これは雪遊びにちょうど良さそうだ。
お香のおかげで体調はかなり落ち着いた。今日はお香を焚いていない。念の為にお香は部屋にあるけれど、このまま使わずに済むように回復してほしいと思う。
そうしてぼんやりしていた私に声が掛かる。
「風邪を引くぞ」
大倶利伽羅さんだった。顕現してからこれまで見掛けたことはあっても、話したことはない。
「使え」
ぱさりと布が掛けられる。「奴の布団が出来上がるまで使え」とだけ言って厨に戻ってしまった。
優しい人なんだな…。
これで本当に風邪を引いてしまっては大倶利伽羅さんに申し訳ない。すっと立って大広間に戻ると…
「次郎さんこの日本酒の銘柄何~?すっごく美味し~い!」
主様が出来上がっていた。陸奥守も席を外す前よりご機嫌になってる気がする。私がいないほんの十数分の間にどれだけ飲んだのだろう。
「おぉ、もんて来たか!飲み直いとーせ!」
「薙ぃ~…。しゃぶしゃぶ…食べたい、です…」
「……」
私はどうすれば良いのかと、助けを求めるように清光くんに視線を送る。「諦めて」と首を横に振られて、どうしようもないことを悟った。
ひとまず主様に水を勧めて陸奥守には無理やり飲ませてみたものの、当然それだけで落ち着くはずもなく。徳利を向けてきた和泉守さんに応えてお猪口を差し出し、それを飲み切ったら今度はご丁寧にお酌に来てくれた鯰尾くんの分も飲めば記憶云々どころではなくなって、「いかに主様と陸奥守の酒の量を減らすか」で頭がいっぱいになっていった。
「せっかくの機会だ、薙も飲めるか試してごらんよ」
「さぁさぁ」と日本酒を勧めてくる次郎太刀さん。「無理に飲むことないからねー」と清光くんに言われつつお猪口に注がれた日本酒をちびり、と飲んでみた。
「喉…が、熱…い…」
「おぉ、それは飲めるクチってことだ!さ、じゃんじゃん飲みな!陸奥守は飲んでるかい?」
「飲みゆーよ。せっかく次郎太刀が来たがやき、わしも一献もらうとするかのぅ」
「そーら飲め飲め!」
宴というのはこういう場なのか、と引き続きちびちびと飲む。お猪口が空いたのを見逃さない次郎太刀さんにおかわりを注がれて、今度は一口を増やして飲んでみる。
うん、美味しい。
今まで神社にいた頃は供えられているだけだった。どんな味なのか気になってはいたけれど、こんなに美味しいものだったのか。
あぁ、思い出した。
境内には立派な桜があって、その下で皆が花見をしていて、その時に飲んでいたものこそ日本酒だった。花見をしていたのは何となく覚えていたけれど、今の場とは異なる雰囲気だった。確か…
「豊、作…祈願」
「ん?何か思い出した?」
それを話す。「あぁ、お花見の元はね」と由来を教えてくれた。
元々お花見で愛でていたのは梅だったこと、それが徐々に桜に移り変わって、一部の庶民の間では豊作祈願の為に行われていたものだという。桜の下に神様を呼び、食べ物でもてなして祈願していた地域があったと教えてくれた(諸説あり)。
「田植えの時期が近かったから、それで薙がいた神社でもそれが行われていたのかもね」
「なるほど」
「わしゃそこまで見ちょらんかったなぁ。ためになったぜよ」
けれど、他にも何かしていた気がするのだ。その時よりもっと前の時代に。
脳がぴり、と痛む。その後に見えたのは、巫女服を着た女性が薙刀を持って田んぼに立つ姿だった。
「…?」
もっと何か思い出せないか眉間に指を当てても見えた光景はこれだけ。記憶なのは確かだけれど、それが何だったのかまでは思い出せない。
「前に薙のおかげで今年も豊作だった、って話してたよね。それと関係あるんじゃない?」
「そ、うか…も」
思い出したい気持ちとこの時間を楽しみたい気持ちが混ざり合う。ひとまず水を飲んで少しだけ外の風に当たることにした。
「ふぅ…」
宴の間でも雪は降り続けていて、一面が真っ白だ。試しに手を沈めてみると、結構な量が積もっていた。これは雪遊びにちょうど良さそうだ。
お香のおかげで体調はかなり落ち着いた。今日はお香を焚いていない。念の為にお香は部屋にあるけれど、このまま使わずに済むように回復してほしいと思う。
そうしてぼんやりしていた私に声が掛かる。
「風邪を引くぞ」
大倶利伽羅さんだった。顕現してからこれまで見掛けたことはあっても、話したことはない。
「使え」
ぱさりと布が掛けられる。「奴の布団が出来上がるまで使え」とだけ言って厨に戻ってしまった。
優しい人なんだな…。
これで本当に風邪を引いてしまっては大倶利伽羅さんに申し訳ない。すっと立って大広間に戻ると…
「次郎さんこの日本酒の銘柄何~?すっごく美味し~い!」
主様が出来上がっていた。陸奥守も席を外す前よりご機嫌になってる気がする。私がいないほんの十数分の間にどれだけ飲んだのだろう。
「おぉ、もんて来たか!飲み直いとーせ!」
「薙ぃ~…。しゃぶしゃぶ…食べたい、です…」
「……」
私はどうすれば良いのかと、助けを求めるように清光くんに視線を送る。「諦めて」と首を横に振られて、どうしようもないことを悟った。
ひとまず主様に水を勧めて陸奥守には無理やり飲ませてみたものの、当然それだけで落ち着くはずもなく。徳利を向けてきた和泉守さんに応えてお猪口を差し出し、それを飲み切ったら今度はご丁寧にお酌に来てくれた鯰尾くんの分も飲めば記憶云々どころではなくなって、「いかに主様と陸奥守の酒の量を減らすか」で頭がいっぱいになっていった。
