女性審神者の名前です。
沈丁花「わしに何が起こったがか教えとーせ…」
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~薙side~
時系列順かどうかは分からないけれど、私が思い出したこと、白山さんが教えてくれたことも合わせるとこうだ。
私が緑の多いところを歩いていたというのは、神社の鎮守の刀剣として存在していて、そこが境内の一部だったこと。
「薙を大事に抱えて走っていた男性の向かった先こそがその神社で、それに驚いていたのが当時の神主様です。ただ、どうして薙が神社に行くことになったのかは思い出せていません」
本来ならば、亡くなるまでお傍にいれたはず。亡くなられたから神社に奉納されたのではないと私の中の何かが言っている。それならば前の主様と由縁のある誰かの元に委ねられるはずだから。
「そして、その神社で焼身になりました。話せないのはそれが原因だろうと白山さんが仰っていました」
これは白山さんの報告書にあったことだけど、どうやら私は焼身になった後も存在し続けていた可能性が高い、ということ。あとは思い出したことを話すことしか出来ない。
緑の中をのんびり歩いたこともあれば、社の前でぼんやりと座っていたこともあったこと、お供え物のおにぎりがとても美味しそうだったこと。その参拝者は毎日決まった時間に来ていたから、その時は必ず待っていたこと。境内を散歩して、参拝者や遊びに来た子供たちを見守っていたこと。
…思い出した。
“そろそろお社に戻らないと”
境内を散歩していた時のこと。いつも通りに過ごしていた私がそこに戻ると、社の前で小さな子が泣いていた。
“母ちゃん、母ちゃん…”
母親を亡くしたようだった。思えば何となく、神社に来る前から子どもと接する機会があったみたいで、その子への接し方は自然だったと思う。隣に座って、頭を撫でてただひたすら泣き止むのを待った。その時だ。
“だれか、いる…?”
“…!”
姿は見えども、私のことは感じたようだ。その子に私の声が届かないと分かっていても、「私はここにいるよ」と微笑んだら、その子は泣き止んで笑顔を見せて、その子が帰る時に鳥居まで見送ったんだっけ。
「それから、その子は毎日のように薙のところに来ていました。その日に起こったことなどを教えてくれたそうです。そして、それを聞いたその子の父親も時々一緒に来るようになって、薙のおかげで今年も豊作だったと教えてくれたのだとか」
「待って、薙のおかげで豊作だったって、どういうこと?」
「気になるとこやね。本来は本殿におる神様に感謝する思うがやけんど」
「その神社って、五穀豊穣のご利益があるところだとしても、不思議だよね」
「うーん」と皆が首を傾げる。私も良く分からないながらに主様からいただいた日記に箇条書きでまとめておく。
「鶴丸さん以外にも同じく神社に奉納されていた石切丸さんと話をしたんですが、参拝客を見守ったりと同じような過ごし方をしていたようですね」
「境内から出れんとなると、どうしてもそうなってしまうんじゃな」
「鶴丸は稀に見える子どもがいたって話してたけど、薙はどうだったのかな」
「思い出せていないだけで、もしかしたら見える子はいたかもしれませんね」
時々父親と訪れていた子は、花だったりどんぐりだったり、色々持って来てくれたこともあったっけ。
そうして見守っていくうちに、子どもは大人になって子が生まれ、親となったその子が父親が亡くなったと報告しに来たりと、親子代々に渡って私のところに来てくれた。きっとあの子の教えが継がれていたのだろう。私が焼身になる時まで続いていたのかもしれない。
“逃げられるなら逃げてほしい”
“そして無事に生き延びてほしい”
その言葉が甦って頭がびりっと痛む。炎に包まれる様が映像のように頭の中で流れ、涙が溢れてきて頬を伝った。
「薙、大丈夫?!」
「すまん、話させすぎてしもうたか?!」
ふるふると首を振る。
そっか、私は焼身になった時はこういう気持ちだったんだ…。
もふ丸が私の肩まで乗って来て頬を舐める。優しくて、ふわふわなもふ丸を撫でてティッシュで目を押さえた。
それでも“音”は聞こえてくる。銃声のような、けれどそれよりもっと強力な音、それと爆発する音。今の私にはそれをそのまま皆に伝えるしかない。
「…戦争かもしれん」
「戦争って、あの?!」
「あくまでもこりゃわしの予想やけんど、その音は多分爆撃機や思う」
「ってことは、空襲…」
様々な憶測が飛び交う中、廊下から慌ただしい足音が聞こえてきた。
「薙、入るよ!」
主様だった。息を切らしたまま部屋に入って来て髪を梳くように撫でる。
「薙の霊力が乱れてるのを感じたの。大丈夫?!」
肩を震わせながら頷いて、代わりに清光くんが経緯を伝えた。冷めかけたお茶を飲みつつ、私が落ち着くまで背中を撫でてくれた主様の手は少し冷えている。今はそれが少し心地よかった。
時系列順かどうかは分からないけれど、私が思い出したこと、白山さんが教えてくれたことも合わせるとこうだ。
私が緑の多いところを歩いていたというのは、神社の鎮守の刀剣として存在していて、そこが境内の一部だったこと。
「薙を大事に抱えて走っていた男性の向かった先こそがその神社で、それに驚いていたのが当時の神主様です。ただ、どうして薙が神社に行くことになったのかは思い出せていません」
本来ならば、亡くなるまでお傍にいれたはず。亡くなられたから神社に奉納されたのではないと私の中の何かが言っている。それならば前の主様と由縁のある誰かの元に委ねられるはずだから。
「そして、その神社で焼身になりました。話せないのはそれが原因だろうと白山さんが仰っていました」
これは白山さんの報告書にあったことだけど、どうやら私は焼身になった後も存在し続けていた可能性が高い、ということ。あとは思い出したことを話すことしか出来ない。
緑の中をのんびり歩いたこともあれば、社の前でぼんやりと座っていたこともあったこと、お供え物のおにぎりがとても美味しそうだったこと。その参拝者は毎日決まった時間に来ていたから、その時は必ず待っていたこと。境内を散歩して、参拝者や遊びに来た子供たちを見守っていたこと。
…思い出した。
“そろそろお社に戻らないと”
境内を散歩していた時のこと。いつも通りに過ごしていた私がそこに戻ると、社の前で小さな子が泣いていた。
“母ちゃん、母ちゃん…”
母親を亡くしたようだった。思えば何となく、神社に来る前から子どもと接する機会があったみたいで、その子への接し方は自然だったと思う。隣に座って、頭を撫でてただひたすら泣き止むのを待った。その時だ。
“だれか、いる…?”
“…!”
姿は見えども、私のことは感じたようだ。その子に私の声が届かないと分かっていても、「私はここにいるよ」と微笑んだら、その子は泣き止んで笑顔を見せて、その子が帰る時に鳥居まで見送ったんだっけ。
「それから、その子は毎日のように薙のところに来ていました。その日に起こったことなどを教えてくれたそうです。そして、それを聞いたその子の父親も時々一緒に来るようになって、薙のおかげで今年も豊作だったと教えてくれたのだとか」
「待って、薙のおかげで豊作だったって、どういうこと?」
「気になるとこやね。本来は本殿におる神様に感謝する思うがやけんど」
「その神社って、五穀豊穣のご利益があるところだとしても、不思議だよね」
「うーん」と皆が首を傾げる。私も良く分からないながらに主様からいただいた日記に箇条書きでまとめておく。
「鶴丸さん以外にも同じく神社に奉納されていた石切丸さんと話をしたんですが、参拝客を見守ったりと同じような過ごし方をしていたようですね」
「境内から出れんとなると、どうしてもそうなってしまうんじゃな」
「鶴丸は稀に見える子どもがいたって話してたけど、薙はどうだったのかな」
「思い出せていないだけで、もしかしたら見える子はいたかもしれませんね」
時々父親と訪れていた子は、花だったりどんぐりだったり、色々持って来てくれたこともあったっけ。
そうして見守っていくうちに、子どもは大人になって子が生まれ、親となったその子が父親が亡くなったと報告しに来たりと、親子代々に渡って私のところに来てくれた。きっとあの子の教えが継がれていたのだろう。私が焼身になる時まで続いていたのかもしれない。
“逃げられるなら逃げてほしい”
“そして無事に生き延びてほしい”
その言葉が甦って頭がびりっと痛む。炎に包まれる様が映像のように頭の中で流れ、涙が溢れてきて頬を伝った。
「薙、大丈夫?!」
「すまん、話させすぎてしもうたか?!」
ふるふると首を振る。
そっか、私は焼身になった時はこういう気持ちだったんだ…。
もふ丸が私の肩まで乗って来て頬を舐める。優しくて、ふわふわなもふ丸を撫でてティッシュで目を押さえた。
それでも“音”は聞こえてくる。銃声のような、けれどそれよりもっと強力な音、それと爆発する音。今の私にはそれをそのまま皆に伝えるしかない。
「…戦争かもしれん」
「戦争って、あの?!」
「あくまでもこりゃわしの予想やけんど、その音は多分爆撃機や思う」
「ってことは、空襲…」
様々な憶測が飛び交う中、廊下から慌ただしい足音が聞こえてきた。
「薙、入るよ!」
主様だった。息を切らしたまま部屋に入って来て髪を梳くように撫でる。
「薙の霊力が乱れてるのを感じたの。大丈夫?!」
肩を震わせながら頷いて、代わりに清光くんが経緯を伝えた。冷めかけたお茶を飲みつつ、私が落ち着くまで背中を撫でてくれた主様の手は少し冷えている。今はそれが少し心地よかった。
