女性審神者の名前です。
沈丁花「わしに何が起こったがか教えとーせ…」
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~薙side~
念の為今日も昼餉は部屋で食べて、石切丸さんと今剣くん、岩融さんと一緒に鳴狐さん特製のいなり寿司をいただいた。甘いおあげの中にワサビ入りの酢飯の組み合わせがすごく美味しくてついつい食べ過ぎてしまった。そんな私に食欲が戻ったこと、体調が良くなっていると皆が安心してくれて、それが嬉しかった。これも人の身を得なければ沸かなかった気持ちだと思う。
暫く皆と話した後、解散となって部屋で皆が書いてくれた短冊を眺める。雪が降ってきて慌てて取り込んだものを乾かすのも兼ねて机に並べて1枚1枚文字をなぞるようにじっくりと読んでいく。
“美味しいお酒とつまみを用意して待ってるよん”
お酒は神社にいた頃にお供えされたことがあったけど、私は飲めるのだろうか。日本酒と甘酒ぐらいしか知らないけれど、今はきっといろんなお酒があるんだろう。
次郎太刀さんたちとお酒を飲む機会があったら色々知れるかな?
記憶を取り戻すきっかけにもなるかもしれない。
こうして皆と過ごすようになって思い出したことはまだまだ少ない。けれど石切丸さんと神社の話が出来るようになったのは嬉しいし、皆がいた時代の話を聞くのは楽しい。刀派の話も新鮮だ。
「薙、入ってもいい?」
そこに、安定くんから声が掛かる。私の代わりにもふ丸が大丈夫だと返事をすると、「失礼しまーす…」とちょっと遠慮気味に障子が開く。もちろん清光くんも一緒で、その隣には入っても良いものか、居心地が悪そうに視線を私から逸らしている陸奥守吉行がいた。事の成り行きを聞いて事故だったと知ったとはいえ、彼を見ると自然と眉間に皺が寄ってしまう。
「あー、やっぱそうなるよね~…」
「う…」
何とも言えない空気。もふ丸があたふたと私と陸奥守を交互に見ている。
「ひ、ひとまず寒いですから皆さん入って下さいっ。薙もそれでいいですね?」
せっかく来てくれたのだし、寒い思いはさせたくない。こくりと頷いた時、何となく陸奥守を見たら目が合ってしまってお互い気まずそうに目を逸らした。障子が開いて薄まったお香の香りがふわりと広がる。
「ほら、陸奥守、さっき練習したでしょ。その時の陸奥守は何処に行っちゃったのさ」
良く考えてみれば、お互いの顔をちゃんと見るのはこれが初めて。恐る恐る陸奥守を見ると、彼も同じ表情で私を見た。
「あー、その…、すまんかった」
「俺たちからももう1回謝るよ。陸奥守を薙が女性だって驚かせたくて隠してたのも原因だからさ」
「そうそう、先に僕たちが紹介してればこんなことにならなかったし…」
そう、これは事故。大切なことだから何回でも言うけど、これは事故。こんな経験はないし、気持ちを切り替えたら良いのか分からない。
「薙はまだどうしたら良いのか分からないみたいです」
「そっか。じゃあ、お詫びで買って来たお菓子を置いてくから、後でもふ丸と食べて」
何だろうと3振りから受け取った袋を見てみると、前に私が美味しいと伝えたものばかりが揃っていた。
「それじゃあ、僕たちはこれで…」
「皆さん、ちょっと待って下さい」
「ん?」
「それならお茶をしようと、薙が」
「え、えいのか?」
遠慮気味に皆を見渡して頷く。起こってしまったことは仕方ないと思うことにして、交流する機会にすればこの気持ちもきっと落ち着く。このままだと埒が明かない。
「僕お茶を用意して来るね。ちょっと待ってて」
安定くんにそれを任せて、乾いた分から短冊を重ねていく。この時にいなかった陸奥守がにかっと笑顔を見せた。この笑顔はどこか憎めないものがある。
「やっぱりみんなは仲間思いやね。伝わってくるぜよ」
「わしも書きたかったのぅ」と短冊を重ねて1カ所にまとめる作業を見やった。
「もし陸奥守もいたら、何て書いてた?」
「そうやねぇ…」
主様からは陸奥守は懐が深くて、常にその先を見据えていて、真っ直ぐな性格と聞いている。そんな言葉を書いてくれていたのだろうか。
「“いつか薙が見よった世界を教えて欲しい”、じゃろうか」
私が見ていた世界…?
今私が陸奥守に話せることは、神社にいた頃のほんの少しの記憶だけ。正直陸奥守が指す“世界”と言えるものかは分からないけれど、それでも陸奥守は興味を持ってくれるだろうか。
「今のところ神社に奉納されていた頃のことしか思い出せていませんが、それで良ければ」
「奉納されちょった頃の話か!わしもそがな話はほとんど聞いたことがないき、教えとーせ!」
「分かりました、安定くんが戻って来たら話しましょう。もしかしたら薙も何か他のことを思い出すかもしれません」
「うん、そだね」
しばらくして安定くんがお茶を持って来てくれて、湯呑を両手で包んで目を閉じた。
念の為今日も昼餉は部屋で食べて、石切丸さんと今剣くん、岩融さんと一緒に鳴狐さん特製のいなり寿司をいただいた。甘いおあげの中にワサビ入りの酢飯の組み合わせがすごく美味しくてついつい食べ過ぎてしまった。そんな私に食欲が戻ったこと、体調が良くなっていると皆が安心してくれて、それが嬉しかった。これも人の身を得なければ沸かなかった気持ちだと思う。
暫く皆と話した後、解散となって部屋で皆が書いてくれた短冊を眺める。雪が降ってきて慌てて取り込んだものを乾かすのも兼ねて机に並べて1枚1枚文字をなぞるようにじっくりと読んでいく。
“美味しいお酒とつまみを用意して待ってるよん”
お酒は神社にいた頃にお供えされたことがあったけど、私は飲めるのだろうか。日本酒と甘酒ぐらいしか知らないけれど、今はきっといろんなお酒があるんだろう。
次郎太刀さんたちとお酒を飲む機会があったら色々知れるかな?
記憶を取り戻すきっかけにもなるかもしれない。
こうして皆と過ごすようになって思い出したことはまだまだ少ない。けれど石切丸さんと神社の話が出来るようになったのは嬉しいし、皆がいた時代の話を聞くのは楽しい。刀派の話も新鮮だ。
「薙、入ってもいい?」
そこに、安定くんから声が掛かる。私の代わりにもふ丸が大丈夫だと返事をすると、「失礼しまーす…」とちょっと遠慮気味に障子が開く。もちろん清光くんも一緒で、その隣には入っても良いものか、居心地が悪そうに視線を私から逸らしている陸奥守吉行がいた。事の成り行きを聞いて事故だったと知ったとはいえ、彼を見ると自然と眉間に皺が寄ってしまう。
「あー、やっぱそうなるよね~…」
「う…」
何とも言えない空気。もふ丸があたふたと私と陸奥守を交互に見ている。
「ひ、ひとまず寒いですから皆さん入って下さいっ。薙もそれでいいですね?」
せっかく来てくれたのだし、寒い思いはさせたくない。こくりと頷いた時、何となく陸奥守を見たら目が合ってしまってお互い気まずそうに目を逸らした。障子が開いて薄まったお香の香りがふわりと広がる。
「ほら、陸奥守、さっき練習したでしょ。その時の陸奥守は何処に行っちゃったのさ」
良く考えてみれば、お互いの顔をちゃんと見るのはこれが初めて。恐る恐る陸奥守を見ると、彼も同じ表情で私を見た。
「あー、その…、すまんかった」
「俺たちからももう1回謝るよ。陸奥守を薙が女性だって驚かせたくて隠してたのも原因だからさ」
「そうそう、先に僕たちが紹介してればこんなことにならなかったし…」
そう、これは事故。大切なことだから何回でも言うけど、これは事故。こんな経験はないし、気持ちを切り替えたら良いのか分からない。
「薙はまだどうしたら良いのか分からないみたいです」
「そっか。じゃあ、お詫びで買って来たお菓子を置いてくから、後でもふ丸と食べて」
何だろうと3振りから受け取った袋を見てみると、前に私が美味しいと伝えたものばかりが揃っていた。
「それじゃあ、僕たちはこれで…」
「皆さん、ちょっと待って下さい」
「ん?」
「それならお茶をしようと、薙が」
「え、えいのか?」
遠慮気味に皆を見渡して頷く。起こってしまったことは仕方ないと思うことにして、交流する機会にすればこの気持ちもきっと落ち着く。このままだと埒が明かない。
「僕お茶を用意して来るね。ちょっと待ってて」
安定くんにそれを任せて、乾いた分から短冊を重ねていく。この時にいなかった陸奥守がにかっと笑顔を見せた。この笑顔はどこか憎めないものがある。
「やっぱりみんなは仲間思いやね。伝わってくるぜよ」
「わしも書きたかったのぅ」と短冊を重ねて1カ所にまとめる作業を見やった。
「もし陸奥守もいたら、何て書いてた?」
「そうやねぇ…」
主様からは陸奥守は懐が深くて、常にその先を見据えていて、真っ直ぐな性格と聞いている。そんな言葉を書いてくれていたのだろうか。
「“いつか薙が見よった世界を教えて欲しい”、じゃろうか」
私が見ていた世界…?
今私が陸奥守に話せることは、神社にいた頃のほんの少しの記憶だけ。正直陸奥守が指す“世界”と言えるものかは分からないけれど、それでも陸奥守は興味を持ってくれるだろうか。
「今のところ神社に奉納されていた頃のことしか思い出せていませんが、それで良ければ」
「奉納されちょった頃の話か!わしもそがな話はほとんど聞いたことがないき、教えとーせ!」
「分かりました、安定くんが戻って来たら話しましょう。もしかしたら薙も何か他のことを思い出すかもしれません」
「うん、そだね」
しばらくして安定くんがお茶を持って来てくれて、湯呑を両手で包んで目を閉じた。
