女性審神者の名前です。
沈丁花「わしに何が起こったがか教えとーせ…」
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~陸奥守side~
「戻って来たぜよ!」
とある日の朝、わしは本丸に戻って来た。どれぐらい振りやろうか。本丸の空気を大きく吸い込んで、懐かしいこの雰囲気に戻って来たことを実感する。既に朝礼は終わったらしい。
「陸奥守じゃねぇか!」
「やっと帰って来たか」
その場に残っていた和泉守や長谷部、加州と大和守に「久しぶりじゃのう!」と嬉しい再会を味わったのも束の間、「早く主に挨拶して来い」と長谷部に急かされて主の部屋へ向かう。
「おっ、戻ったか」
先客がおった。鶴丸やった。
「おまさんが主の部屋におるなんて珍しいのぉ」
「まぁな」
にやにやとしとってその場を去った奴は相変わらずやった。まーた何かを企んじゅうがじゃろうか。
「主、入るぜよ!」
「おかえり、陸奥守!」
文机から身を乗り出して嬉しそうに迎えてくれた主が、わしの新しい戦装束をまじまじと見る。「カッコイイ」「陸奥守らしい」と褒めてくれた。
「お土産話を聞きたいところだけど、ちょっとだけ作業があってね。陸奥守もまずは一休みしたらどう?」
「あぁ、そうさせてもらうぜよ」
優しい言葉とは裏腹に、主も鶴丸と似たような笑みを浮かべちょる。どういうことやろうか。主は悪だくみをせん人やき、良う分からん。
「元気に帰って来たようだな。主は何か言っていたか?」
わしがおらん間に、階段の前で他の新選組連中が合流しちょった。長曽祢とは前の主自慢で揉めたこともあったけんど、こいつが旅から戻って来てからはそれが一切のうなった。わしも旅をして新選組が活躍しちょった時代を見てきたし、互いに成長したということや。
「喜んでくれたぜよ。土産話を聞きたい言いよったけんど、ちっくと作業があるらしくてのぅ」
「ならば一局どうだ?陸奥守がいない間は蜻蛉切や村正に相手になってもらってたんだ」
「村正と?あやつも将棋が打てたんか、意外じゃのう」
「あれだけに、面白い手を打ってくる。だいぶ楽しませてもらったぞ」
「ほんなら着替えて来るき、ちっくと待っちょってくれ」
「おう」と準備に向かった長曽祢と、万屋に行く和泉守と堀川と一旦別れ、加州と大和守と一緒に廊下を歩く。すれ違う男士たちに「おかえり」を言われる度に帰って来たんやと実感する。
「実はさ、陸奥守がいない間に新しく顕現した脇差がいるんだよね。長曽祢さんと将棋を打つ前に会ってみたら?」
「そりゃえいのぉ。名前は何ていうがか?」
「“薙”っていうよ」
「“薙”か。聞いたことのない名前じゃのう」
名前からして刀派はなさそうじゃな。薙刀直しをされたから“薙”なのか、演練で会うた巴形や静形のように、集合体の存在故にこれといった名前がないのか不思議じゃ。
「わぁ~」
廊下を曲がったところで、いつの間にか降り始めていた雪に大和守が嬉しそうに駆けてゆく。「もー、はしゃぎすぎー」と呆れ気味の加州もどこか嬉しそうだ。
「雪を見るがは久しぶりやねぇ。積もる降り方をしちゅう」
雪にはしゃぐ短刀たちを横目に部屋の障子を開ける。
「あっ、バカ!」
「そこちがっ!」
「は?」
わけが分からず視線を部屋に移すと、見たことのない女人が固まっとった。そうして顔を真っ赤にしてすくっと立ち、すたすたとわしのところに来て…
バチーンッ!
平手打ちを食らって庭に吹っ飛ばされた。
そしてピシャンッと障子が閉まった。
「おんしの右手は世界を狙えるぜよ…」
本人に聞こえるわけでもないにそう呟いて、平手打ちを喰ろうた左頬を押さえる。首もちっくと痛うなったわしに、周りも何事かと集まって来た。御手杵と鯰尾がわしの傍にしゃがんで頬を見る。
「何か今すっげぇ音したけど、大丈夫かー?」
「…というより、何があったんですか?」
「あー、何て言うか…」
「加州、わしに何が起こったがか教えとーせ…」
大和守が襖越しに声を掛けると、「薙は今ボディークリーム塗ってます~!」と女人のものとは異なる声が返ってきた。
「あー、なるほど」
つまりはこうじゃ。わしが隣の自分の部屋と間違えて薙の部屋に入って、そのタイミングが悪かったということらしい。
「…とりあえず、手入部屋行きます?」
「旅で強うなったわしにこの程度では問題ないぜよ…」
今度こそ自分の部屋に入る。龍馬がお龍と接しちょったのは遠目から見よったが、わしが人の姿を得て親しゅうしちょる女人は主だけ。これから先どう接していったらえいのかも分からん。薙にどう謝ったらえいのかも分からん。
着替えてから音を立てんように部屋を出て長曽祢たちのとこへ向かうと、既に噂は広まっちょって「おまえらしい」と長曽祢にからかわれた。
「なーんで女人なんじゃろなぁ」
「そこはおれたちも分からん」
ぱちり、と最初の一手を打つ。ここはいつもと変わらない手じゃ。
「ですが、さっきので薙さんにはポテンシャルがあるってのは分かりましたね」
「ポテ…?」
ポテンシャルは潜在能力、つまり薙には刀剣として強くなれる可能性があるということ。確かにあの平手打ちは凄かった。
将棋の駒に例えるなら、薙はどれになるがやろうか。ぼんやりと考えもって盤を見つめた。
「戻って来たぜよ!」
とある日の朝、わしは本丸に戻って来た。どれぐらい振りやろうか。本丸の空気を大きく吸い込んで、懐かしいこの雰囲気に戻って来たことを実感する。既に朝礼は終わったらしい。
「陸奥守じゃねぇか!」
「やっと帰って来たか」
その場に残っていた和泉守や長谷部、加州と大和守に「久しぶりじゃのう!」と嬉しい再会を味わったのも束の間、「早く主に挨拶して来い」と長谷部に急かされて主の部屋へ向かう。
「おっ、戻ったか」
先客がおった。鶴丸やった。
「おまさんが主の部屋におるなんて珍しいのぉ」
「まぁな」
にやにやとしとってその場を去った奴は相変わらずやった。まーた何かを企んじゅうがじゃろうか。
「主、入るぜよ!」
「おかえり、陸奥守!」
文机から身を乗り出して嬉しそうに迎えてくれた主が、わしの新しい戦装束をまじまじと見る。「カッコイイ」「陸奥守らしい」と褒めてくれた。
「お土産話を聞きたいところだけど、ちょっとだけ作業があってね。陸奥守もまずは一休みしたらどう?」
「あぁ、そうさせてもらうぜよ」
優しい言葉とは裏腹に、主も鶴丸と似たような笑みを浮かべちょる。どういうことやろうか。主は悪だくみをせん人やき、良う分からん。
「元気に帰って来たようだな。主は何か言っていたか?」
わしがおらん間に、階段の前で他の新選組連中が合流しちょった。長曽祢とは前の主自慢で揉めたこともあったけんど、こいつが旅から戻って来てからはそれが一切のうなった。わしも旅をして新選組が活躍しちょった時代を見てきたし、互いに成長したということや。
「喜んでくれたぜよ。土産話を聞きたい言いよったけんど、ちっくと作業があるらしくてのぅ」
「ならば一局どうだ?陸奥守がいない間は蜻蛉切や村正に相手になってもらってたんだ」
「村正と?あやつも将棋が打てたんか、意外じゃのう」
「あれだけに、面白い手を打ってくる。だいぶ楽しませてもらったぞ」
「ほんなら着替えて来るき、ちっくと待っちょってくれ」
「おう」と準備に向かった長曽祢と、万屋に行く和泉守と堀川と一旦別れ、加州と大和守と一緒に廊下を歩く。すれ違う男士たちに「おかえり」を言われる度に帰って来たんやと実感する。
「実はさ、陸奥守がいない間に新しく顕現した脇差がいるんだよね。長曽祢さんと将棋を打つ前に会ってみたら?」
「そりゃえいのぉ。名前は何ていうがか?」
「“薙”っていうよ」
「“薙”か。聞いたことのない名前じゃのう」
名前からして刀派はなさそうじゃな。薙刀直しをされたから“薙”なのか、演練で会うた巴形や静形のように、集合体の存在故にこれといった名前がないのか不思議じゃ。
「わぁ~」
廊下を曲がったところで、いつの間にか降り始めていた雪に大和守が嬉しそうに駆けてゆく。「もー、はしゃぎすぎー」と呆れ気味の加州もどこか嬉しそうだ。
「雪を見るがは久しぶりやねぇ。積もる降り方をしちゅう」
雪にはしゃぐ短刀たちを横目に部屋の障子を開ける。
「あっ、バカ!」
「そこちがっ!」
「は?」
わけが分からず視線を部屋に移すと、見たことのない女人が固まっとった。そうして顔を真っ赤にしてすくっと立ち、すたすたとわしのところに来て…
バチーンッ!
平手打ちを食らって庭に吹っ飛ばされた。
そしてピシャンッと障子が閉まった。
「おんしの右手は世界を狙えるぜよ…」
本人に聞こえるわけでもないにそう呟いて、平手打ちを喰ろうた左頬を押さえる。首もちっくと痛うなったわしに、周りも何事かと集まって来た。御手杵と鯰尾がわしの傍にしゃがんで頬を見る。
「何か今すっげぇ音したけど、大丈夫かー?」
「…というより、何があったんですか?」
「あー、何て言うか…」
「加州、わしに何が起こったがか教えとーせ…」
大和守が襖越しに声を掛けると、「薙は今ボディークリーム塗ってます~!」と女人のものとは異なる声が返ってきた。
「あー、なるほど」
つまりはこうじゃ。わしが隣の自分の部屋と間違えて薙の部屋に入って、そのタイミングが悪かったということらしい。
「…とりあえず、手入部屋行きます?」
「旅で強うなったわしにこの程度では問題ないぜよ…」
今度こそ自分の部屋に入る。龍馬がお龍と接しちょったのは遠目から見よったが、わしが人の姿を得て親しゅうしちょる女人は主だけ。これから先どう接していったらえいのかも分からん。薙にどう謝ったらえいのかも分からん。
着替えてから音を立てんように部屋を出て長曽祢たちのとこへ向かうと、既に噂は広まっちょって「おまえらしい」と長曽祢にからかわれた。
「なーんで女人なんじゃろなぁ」
「そこはおれたちも分からん」
ぱちり、と最初の一手を打つ。ここはいつもと変わらない手じゃ。
「ですが、さっきので薙さんにはポテンシャルがあるってのは分かりましたね」
「ポテ…?」
ポテンシャルは潜在能力、つまり薙には刀剣として強くなれる可能性があるということ。確かにあの平手打ちは凄かった。
将棋の駒に例えるなら、薙はどれになるがやろうか。ぼんやりと考えもって盤を見つめた。
