女性審神者の名前です。
梅「審神者として出来ることは全てやらなきゃ」
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~審神者side~
源清麿様からの説明を終え、詳細が書かれた書類をもらった私たちは正式に連合メンバーとなった。まだ試験的なので、これからどうなっていくのかは私たち次第でもあるし、出陣や遠征の頻度にもよるだろう。きっと改善点もあるはず。
「せっかく集まったんだ、交流を深める為にも茶屋にでも行かんか」
連合の指揮者となる師匠の提案に皆が笑顔で頷く。
歴防のシステムや空間は不思議なもので、審神者やその近侍、そして歴防関係者だけが入れる小さな下町のようなエリアがある。歴防関係者は昼になればそこで食事を摂るし、コミュニケーションもとれる良い場所だ。現世で例えるならば、和と洋を融合させた京都の街の一角、と表現すれば良いだろうか。ここにも万屋があって、歴防を訪れたついでに寄り道をする審神者も多い。
「儂の奢りだ、皆好きなものを頼むといい」
無邪気に「わ~い」と喜ぶ紬ちゃんに、私も「やったね~」と紬ちゃんに合わせてみる。一期さんも微笑んで見守ってくれていた。
「パフェにする!」
早く食べたいとばかりに、紬ちゃんが今が旬の苺を使ったパフェの写真を指でぺしぺしと叩く。お菊様に「落ち着きなさい」と言われても「苺!」と嬉しそうだ。私の横にいる一期さんはイントネーションが異なるとはいえ、今度は自分の名前を連呼された感覚になっているのか、ちょっとだけ恥ずかしそうに微笑んだ。
「いちごさんもパフェにする?」
目を輝かせて尋ねる紬ちゃんに皆で声に出して笑ってしまった。蜻蛉切さんは必至に笑いを堪えている。
「では、私は苺大福にしましょう」
流石個性豊かな弟たちがいるだけある。スマートに紬ちゃんに合わせて苺大福を選んだ一期さんに、お菊様も合わせて苺大福を選び、私は芋羊羹にした。
「蜻蛉切、お主は何にするんだ?」
「じ、自分は…」
耳が赤い。これはつまり。
「そうかそうか、お主も苺パフェがいいのか」
「主殿っ、大声で言わないで下されっ…」
否定していないからそういうことなんだと思う。「お揃いー!」とはしゃぐ紬ちゃんを撫でながら、次郎太刀様が「このことはアタシたちだけの秘密にすればいいじゃなーい」と笑っている。…フォローになってないと思う。
「儂はおはぎにするとするかの」
「主殿…!」
一方の小豆様は、スイーツ好きなだけあって楽しく悩んでいた。紫ちゃんが「良ければ分け合いましょうか」と、うぐいす餅と冬季限定の栗入りのどら焼きを選ぶ。
綾菜さんも次郎太刀様も抹茶のパフェとほうじ茶のわらび餅を選んでいた。
「…して、遥」
それぞれが注文したものが届いたところで、師匠が私を見る。
「遥の本丸に新しく顕現した刀剣の話を聞いたが、様子はどうだ?」
「落ち着きつつあります。お香も紫ちゃんから教わったものから通常のものに戻りました」
「そうか。難儀だったな」
「少しずつではありますが、記憶は取り戻しているようです。ただ、神社に奉納されていた期間が相当長かったようで、前の主様までは思い出せていません」
「そうなんですね…」
白山様から届いた報告書には、前の主様と共に過ごしていた時期より神社にいた頃の方が遥かに長いとの見解だった。何かそれを思い出すきっかけがあれば良いけれど、そこが手探りなのは今も変わらない。全ては薙次第。
「それと、その者の代わりに交流する動物の付喪神は無事に顕現させられたか?」
「はい、遊玄様のアドバイスのおかげで」
「へぇ~、動物の付喪神なんてあるんだねぇ。何を顕現させたんだい?」
「ハムスターです」
「何だいそのハムスターってのは。聞いたことがないねぇ」
ピンとこない様子の次郎太刀様に紬ちゃんが可愛らしく説明をしてくれた。「アタシにとって小さいものはみんな爪楊枝」と返していてちょっと笑ってしまった。私の本丸の次郎太刀さんも性格などはほとんど同じなので、きっと彼がもふ丸を見た時もそう言うのかもしれない。
「おばーちゃん、わたしもハムスター飼いたい~」
「もっとお姉さんになったらね」
「どれぐらいおねーちゃんになったらいいのー?」
良くある純粋無垢な問いに、私だったらどう返せば良いのか暫し悩む。お菊様も少し考えて、「制服が着れるようになったらいいわよ」と答えてなるほど、と思った。中学生になったら、というわけだ。
「清麿も言うておったが、儂も動物の付喪神も興味がある。こんのすけもおるが、必要ならば他の審神者に広めても良いかもしれんな」
その点は私がしっかりとマスターしておかなければ難しい話。…とはいえ、白山様ももふ丸を調査をしていたし、歴防から何か聞かれる可能性があるかもしれない。復習をしておいた方が良さそうだ。
話をしている間に溶けてしまったパフェをすする紬ちゃんが、帰りに動物図鑑を買いたいと言い出して、2人はこのエリアで買い物が決まったようだ。ちなみに蜻蛉切様は既に完食している。
様々な話に花を咲かせる中、師匠が巾着を持って席を立つ。会計をする様子ではなかったので、少しタイミングをずらして私も席を離れた。
「…見られたか」
「遊玄様、タバコはお控え下さいと言っているではありませんか。せめて本丸だけにして下さい」
「軽いのに変えたぞ?」
「そういう問題ではありません」
はぁ、と溜息をついてスタンド灰皿を挟んで座る。
タバコって銘柄を変えると匂いが変わるんだな…。
そんなことを思いながら行き交う人々を眺める。外とはいえ、こうして師匠と2人になるのはどれぐらい振りだろう。
「遥、儂らは師弟関係ではあるが、身内でもある。今は普通で良いのだぞ」
「…うん」
「儂も長く生きているが、こうして遥と共に審神者として過ごせるのは幸せだと思っておる。お前も酒を飲める年齢になって、楽しみ方も変わってきた。それは一生変わらん。それは覚えておいてくれ」
「…うん、私も審神者になれて良かったよ。現世と比べればそう簡単になれるものでもない中で、大変だけど充実してる毎日を過ごせてるし。…それに、家族の中で私が1番身近だし、こうしてタバコの吸い過ぎを注意出来るからね~」
「ははは、これは一本取られたな」
私の本丸でも師匠の本丸でも一部しか知らないけれど、元々師匠と私は血縁関係にあって、親等は離れている。だからこそ、親族の中で私に審神者の素質があると知った時は安心もした。それからだ。私が審神者になろうと決めたのは。
「薙の様子が落ち着いたら、おじさんの本丸に顔を出しに行くから」
「あぁ、待っとるぞ。…さて、皆のところに戻るか。区切りがついたら解散にするぞ」
「うん」
遊玄様の手から香るタバコの匂いは、不思議と銘柄が変わっても同じだ。小さい頃に手を繋いでくれた時を思い出して、一生忘れられない香りだろうな、と気付けば少しだけ小さくなっていた師匠の背中を見つめた。
源清麿様からの説明を終え、詳細が書かれた書類をもらった私たちは正式に連合メンバーとなった。まだ試験的なので、これからどうなっていくのかは私たち次第でもあるし、出陣や遠征の頻度にもよるだろう。きっと改善点もあるはず。
「せっかく集まったんだ、交流を深める為にも茶屋にでも行かんか」
連合の指揮者となる師匠の提案に皆が笑顔で頷く。
歴防のシステムや空間は不思議なもので、審神者やその近侍、そして歴防関係者だけが入れる小さな下町のようなエリアがある。歴防関係者は昼になればそこで食事を摂るし、コミュニケーションもとれる良い場所だ。現世で例えるならば、和と洋を融合させた京都の街の一角、と表現すれば良いだろうか。ここにも万屋があって、歴防を訪れたついでに寄り道をする審神者も多い。
「儂の奢りだ、皆好きなものを頼むといい」
無邪気に「わ~い」と喜ぶ紬ちゃんに、私も「やったね~」と紬ちゃんに合わせてみる。一期さんも微笑んで見守ってくれていた。
「パフェにする!」
早く食べたいとばかりに、紬ちゃんが今が旬の苺を使ったパフェの写真を指でぺしぺしと叩く。お菊様に「落ち着きなさい」と言われても「苺!」と嬉しそうだ。私の横にいる一期さんはイントネーションが異なるとはいえ、今度は自分の名前を連呼された感覚になっているのか、ちょっとだけ恥ずかしそうに微笑んだ。
「いちごさんもパフェにする?」
目を輝かせて尋ねる紬ちゃんに皆で声に出して笑ってしまった。蜻蛉切さんは必至に笑いを堪えている。
「では、私は苺大福にしましょう」
流石個性豊かな弟たちがいるだけある。スマートに紬ちゃんに合わせて苺大福を選んだ一期さんに、お菊様も合わせて苺大福を選び、私は芋羊羹にした。
「蜻蛉切、お主は何にするんだ?」
「じ、自分は…」
耳が赤い。これはつまり。
「そうかそうか、お主も苺パフェがいいのか」
「主殿っ、大声で言わないで下されっ…」
否定していないからそういうことなんだと思う。「お揃いー!」とはしゃぐ紬ちゃんを撫でながら、次郎太刀様が「このことはアタシたちだけの秘密にすればいいじゃなーい」と笑っている。…フォローになってないと思う。
「儂はおはぎにするとするかの」
「主殿…!」
一方の小豆様は、スイーツ好きなだけあって楽しく悩んでいた。紫ちゃんが「良ければ分け合いましょうか」と、うぐいす餅と冬季限定の栗入りのどら焼きを選ぶ。
綾菜さんも次郎太刀様も抹茶のパフェとほうじ茶のわらび餅を選んでいた。
「…して、遥」
それぞれが注文したものが届いたところで、師匠が私を見る。
「遥の本丸に新しく顕現した刀剣の話を聞いたが、様子はどうだ?」
「落ち着きつつあります。お香も紫ちゃんから教わったものから通常のものに戻りました」
「そうか。難儀だったな」
「少しずつではありますが、記憶は取り戻しているようです。ただ、神社に奉納されていた期間が相当長かったようで、前の主様までは思い出せていません」
「そうなんですね…」
白山様から届いた報告書には、前の主様と共に過ごしていた時期より神社にいた頃の方が遥かに長いとの見解だった。何かそれを思い出すきっかけがあれば良いけれど、そこが手探りなのは今も変わらない。全ては薙次第。
「それと、その者の代わりに交流する動物の付喪神は無事に顕現させられたか?」
「はい、遊玄様のアドバイスのおかげで」
「へぇ~、動物の付喪神なんてあるんだねぇ。何を顕現させたんだい?」
「ハムスターです」
「何だいそのハムスターってのは。聞いたことがないねぇ」
ピンとこない様子の次郎太刀様に紬ちゃんが可愛らしく説明をしてくれた。「アタシにとって小さいものはみんな爪楊枝」と返していてちょっと笑ってしまった。私の本丸の次郎太刀さんも性格などはほとんど同じなので、きっと彼がもふ丸を見た時もそう言うのかもしれない。
「おばーちゃん、わたしもハムスター飼いたい~」
「もっとお姉さんになったらね」
「どれぐらいおねーちゃんになったらいいのー?」
良くある純粋無垢な問いに、私だったらどう返せば良いのか暫し悩む。お菊様も少し考えて、「制服が着れるようになったらいいわよ」と答えてなるほど、と思った。中学生になったら、というわけだ。
「清麿も言うておったが、儂も動物の付喪神も興味がある。こんのすけもおるが、必要ならば他の審神者に広めても良いかもしれんな」
その点は私がしっかりとマスターしておかなければ難しい話。…とはいえ、白山様ももふ丸を調査をしていたし、歴防から何か聞かれる可能性があるかもしれない。復習をしておいた方が良さそうだ。
話をしている間に溶けてしまったパフェをすする紬ちゃんが、帰りに動物図鑑を買いたいと言い出して、2人はこのエリアで買い物が決まったようだ。ちなみに蜻蛉切様は既に完食している。
様々な話に花を咲かせる中、師匠が巾着を持って席を立つ。会計をする様子ではなかったので、少しタイミングをずらして私も席を離れた。
「…見られたか」
「遊玄様、タバコはお控え下さいと言っているではありませんか。せめて本丸だけにして下さい」
「軽いのに変えたぞ?」
「そういう問題ではありません」
はぁ、と溜息をついてスタンド灰皿を挟んで座る。
タバコって銘柄を変えると匂いが変わるんだな…。
そんなことを思いながら行き交う人々を眺める。外とはいえ、こうして師匠と2人になるのはどれぐらい振りだろう。
「遥、儂らは師弟関係ではあるが、身内でもある。今は普通で良いのだぞ」
「…うん」
「儂も長く生きているが、こうして遥と共に審神者として過ごせるのは幸せだと思っておる。お前も酒を飲める年齢になって、楽しみ方も変わってきた。それは一生変わらん。それは覚えておいてくれ」
「…うん、私も審神者になれて良かったよ。現世と比べればそう簡単になれるものでもない中で、大変だけど充実してる毎日を過ごせてるし。…それに、家族の中で私が1番身近だし、こうしてタバコの吸い過ぎを注意出来るからね~」
「ははは、これは一本取られたな」
私の本丸でも師匠の本丸でも一部しか知らないけれど、元々師匠と私は血縁関係にあって、親等は離れている。だからこそ、親族の中で私に審神者の素質があると知った時は安心もした。それからだ。私が審神者になろうと決めたのは。
「薙の様子が落ち着いたら、おじさんの本丸に顔を出しに行くから」
「あぁ、待っとるぞ。…さて、皆のところに戻るか。区切りがついたら解散にするぞ」
「うん」
遊玄様の手から香るタバコの匂いは、不思議と銘柄が変わっても同じだ。小さい頃に手を繋いでくれた時を思い出して、一生忘れられない香りだろうな、と気付けば少しだけ小さくなっていた師匠の背中を見つめた。