女性審神者の名前です。
梅「審神者として出来ることは全てやらなきゃ」
空欄の場合はデフォルト名になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~審神者side~
―今日は白山様がこの本丸に来る日。薙を顕現させた時振りに審神者服に着替えてその時を待っていた。
「主、白山吉光が参りました」
「どうぞ、お入り下さい」
「失礼いたします」
丁寧に手土産を持って来てくれた。白山と山姥切長義かららしく、皆で食べようとなってお茶を淹れに下へ向かう。薙も手伝ってくれて、3人で文机を囲んだ。しばし歴防について話した後、いよいよ本題に入る。
「では、薙殿の状態と情報を調査させていただきます」
通信機と呼ぶキツネを薙の膝に乗せて集中する。緊張している様子に「大丈夫だよ」と優しく声を掛けた。
「霊力を辿りましたが、顕現時よりたいぶ安定しているようですね。現在使用している香は紫殿から情報を得た原料で作られたものと伺っております。あと2日間使用後、普段の香に戻して問題はありません。既に遥殿からの霊力の注入及び式札の使用は不要です。香さえあれば、下の階で過ごしてみるのも良いかもしれません」
「そうですか。良かった…」
流石に審神者でも全てが分かるわけではないから、同じ刀剣からお墨付きをもらえて安心した。もうしばらく式札だけでも使うべきかと考えていたけれど、香だけで済むとなれば顕現したての頃の霊力の乱れが嘘のように思える。
あとは、薙が刀剣だった頃の情報だ。歴防に問い合わせても不明だった薙の過去。白山なら何かしら記憶を戻す糸口が見つかるかもしれない。それを祈りながら2振りを見守る。
「元薙刀、現脇差。該当多数。霊力と合わせて情報収集を行います。…これは」
「白山様?」
「わたくしと似ています。遥殿から事前にいただいた情報通り、間違いなく薙殿は神社に奉納されておりました。同じく奉納された大太刀の刀剣と似た霊力の強さから、長きに渡って神社にあったと推定いたします。わたくしと同じく神とより系譜になり、薙殿は鎮守の役割を担っていたようです」
鎮守は特定の建造物や地域を守る神様のこと。つまり、神社とそこに祀られている神様を守っていたということにもなる。緑の多いところを歩いていたと話していたから、恐らく鎮守の森のことだと思う。まさか薙がそこまで神格のある刀剣だったとは。
「では、薙の前の主様は…」
「残念ながら、神社で得た霊力が強すぎて奉納前を辿ることが出来ません。ですが、遥殿が仰る通り、焼身になったことは間違いありません。そして、刀装は奉納される為のものではなさそうです。焼身になった後、何らの形で別の場所へ移されたものと思われます。わたくしたち刀剣が下げ渡される等で別の場所へ移された例はありますが、霊力を辿る限り、神社から他の神社へ移された形跡はありません。よって、薙殿の前のあるじさまは不明です」
「そう、ですか…」
それ以前の過去は薙本人が記憶を取り戻すしか手はない。鯰尾や骨喰のように完全に記憶を取り戻せない可能性もあるけれど、せめて前の主に関わる記憶が戻れば充分に辿り着ける可能性は充分にある。今回はそれに至らなかったものの、情報は充分得られたと思う。
「それと薙殿が話せないのは、焼身になったのが原因と思われます。記憶と連動しているようですので、ある程度記憶を取り戻すことが出来れば解決すると思われます。しかし、それは薙殿次第でもあります。記憶が戻れば良いのですが…」
薙が目を伏せる。何故1番大切な時期の記憶が失われたままなのか自分でも分からない葛藤があるんだと思う。
「その件に関しては、強い刺激を与えない程度に様々なものを見聞きすることをお勧めいたします。難しいかもしれませんが、何かを見て思い出す可能性もあります」
「分かりました…」
「薙殿、もどかしいかもしれませんがどうか焦らないで下さい。わたくしも薙殿が良い方向へと向かうよう祈っております」
「ありがとうございます」と口が動く。けれど小声のような小さな動きだ。もふ丸もこんのすけも心配そうに薙を見つめていた。
「では、わたくしはこれで」
「ありがとうございました。お見送りさせて下さい。…薙、ちょっと待っててね」
もふ丸とこんのすけに薙を任せ、執務室を出る。階段を下りた先には前田と平野、秋田がいた。
「白山兄さま、このような形になってしまったとはいえ、久々にお会い出来たのです。少しお話しして行きませんか?いち兄も他の兄弟たちも楽しみにしておりました」
「…そうですね。ただ任務をこなすだけでは情報収集に支障が出る可能性があります。兄弟たちとの交流も大事ですね」
「分かった。白山様が歴防に戻られる時は声を掛けてくれる?」
「はい!」
秋田が嬉しそうに白山の手を引いて行く。きっと粟田口の部屋に行って兄弟水入らずの時間を過ごすのだろう。きっと他の短刀たちも今日の為にお菓子などを用意しているのかもしれない。
薙にきょうだいがいたら、楽しい時間を過ごせたのかな。
ただ白山がお香が焚かれた部屋から出る時間を長めにするようアドバイスももらえたし、最初に使ったお香になれば薬研が話していたように下での生活を始めてみるのも良いかもしれない。その方がきっと生活もしやすいはず。
それを薙に伝えるとコクリと頷いて微笑んだ。もふ丸もいるからきっと大丈夫。何より皆優しいのだから、薙も楽しく過ごせるだろう。
―今日は白山様がこの本丸に来る日。薙を顕現させた時振りに審神者服に着替えてその時を待っていた。
「主、白山吉光が参りました」
「どうぞ、お入り下さい」
「失礼いたします」
丁寧に手土産を持って来てくれた。白山と山姥切長義かららしく、皆で食べようとなってお茶を淹れに下へ向かう。薙も手伝ってくれて、3人で文机を囲んだ。しばし歴防について話した後、いよいよ本題に入る。
「では、薙殿の状態と情報を調査させていただきます」
通信機と呼ぶキツネを薙の膝に乗せて集中する。緊張している様子に「大丈夫だよ」と優しく声を掛けた。
「霊力を辿りましたが、顕現時よりたいぶ安定しているようですね。現在使用している香は紫殿から情報を得た原料で作られたものと伺っております。あと2日間使用後、普段の香に戻して問題はありません。既に遥殿からの霊力の注入及び式札の使用は不要です。香さえあれば、下の階で過ごしてみるのも良いかもしれません」
「そうですか。良かった…」
流石に審神者でも全てが分かるわけではないから、同じ刀剣からお墨付きをもらえて安心した。もうしばらく式札だけでも使うべきかと考えていたけれど、香だけで済むとなれば顕現したての頃の霊力の乱れが嘘のように思える。
あとは、薙が刀剣だった頃の情報だ。歴防に問い合わせても不明だった薙の過去。白山なら何かしら記憶を戻す糸口が見つかるかもしれない。それを祈りながら2振りを見守る。
「元薙刀、現脇差。該当多数。霊力と合わせて情報収集を行います。…これは」
「白山様?」
「わたくしと似ています。遥殿から事前にいただいた情報通り、間違いなく薙殿は神社に奉納されておりました。同じく奉納された大太刀の刀剣と似た霊力の強さから、長きに渡って神社にあったと推定いたします。わたくしと同じく神とより系譜になり、薙殿は鎮守の役割を担っていたようです」
鎮守は特定の建造物や地域を守る神様のこと。つまり、神社とそこに祀られている神様を守っていたということにもなる。緑の多いところを歩いていたと話していたから、恐らく鎮守の森のことだと思う。まさか薙がそこまで神格のある刀剣だったとは。
「では、薙の前の主様は…」
「残念ながら、神社で得た霊力が強すぎて奉納前を辿ることが出来ません。ですが、遥殿が仰る通り、焼身になったことは間違いありません。そして、刀装は奉納される為のものではなさそうです。焼身になった後、何らの形で別の場所へ移されたものと思われます。わたくしたち刀剣が下げ渡される等で別の場所へ移された例はありますが、霊力を辿る限り、神社から他の神社へ移された形跡はありません。よって、薙殿の前のあるじさまは不明です」
「そう、ですか…」
それ以前の過去は薙本人が記憶を取り戻すしか手はない。鯰尾や骨喰のように完全に記憶を取り戻せない可能性もあるけれど、せめて前の主に関わる記憶が戻れば充分に辿り着ける可能性は充分にある。今回はそれに至らなかったものの、情報は充分得られたと思う。
「それと薙殿が話せないのは、焼身になったのが原因と思われます。記憶と連動しているようですので、ある程度記憶を取り戻すことが出来れば解決すると思われます。しかし、それは薙殿次第でもあります。記憶が戻れば良いのですが…」
薙が目を伏せる。何故1番大切な時期の記憶が失われたままなのか自分でも分からない葛藤があるんだと思う。
「その件に関しては、強い刺激を与えない程度に様々なものを見聞きすることをお勧めいたします。難しいかもしれませんが、何かを見て思い出す可能性もあります」
「分かりました…」
「薙殿、もどかしいかもしれませんがどうか焦らないで下さい。わたくしも薙殿が良い方向へと向かうよう祈っております」
「ありがとうございます」と口が動く。けれど小声のような小さな動きだ。もふ丸もこんのすけも心配そうに薙を見つめていた。
「では、わたくしはこれで」
「ありがとうございました。お見送りさせて下さい。…薙、ちょっと待っててね」
もふ丸とこんのすけに薙を任せ、執務室を出る。階段を下りた先には前田と平野、秋田がいた。
「白山兄さま、このような形になってしまったとはいえ、久々にお会い出来たのです。少しお話しして行きませんか?いち兄も他の兄弟たちも楽しみにしておりました」
「…そうですね。ただ任務をこなすだけでは情報収集に支障が出る可能性があります。兄弟たちとの交流も大事ですね」
「分かった。白山様が歴防に戻られる時は声を掛けてくれる?」
「はい!」
秋田が嬉しそうに白山の手を引いて行く。きっと粟田口の部屋に行って兄弟水入らずの時間を過ごすのだろう。きっと他の短刀たちも今日の為にお菓子などを用意しているのかもしれない。
薙にきょうだいがいたら、楽しい時間を過ごせたのかな。
ただ白山がお香が焚かれた部屋から出る時間を長めにするようアドバイスももらえたし、最初に使ったお香になれば薬研が話していたように下での生活を始めてみるのも良いかもしれない。その方がきっと生活もしやすいはず。
それを薙に伝えるとコクリと頷いて微笑んだ。もふ丸もいるからきっと大丈夫。何より皆優しいのだから、薙も楽しく過ごせるだろう。