女性審神者の名前です。
梅「審神者として出来ることは全てやらなきゃ」
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~堀川side~
主さんが作ったお香がようやく出来上がって、早速焚いてしばらく薙さんの様子を見てみると、顔色がだいぶ良くなってきたように見えた。上がったり下がっていたりした熱も落ち着いて、今日は微熱だ。
「薙さん、今日はそこの窓から景色を眺めてみませんか?」
僕が持って来た羽織を肩に掛けて、ゆっくりと窓際に立った。
「…!」
話せていたらきっと感嘆の声を上げていたのかもしれない。目を輝かせてあちこちを見ている。そして「あの木は何?」と言ったように丘の上に立つ大木を指した。
「あれは桜ですよ。満開になったら皆でお花見をするんです。きっとその頃には体調が良くなっているでしょうし、今年からは薙さんも一緒に参加しましょうね!」
コクコクと嬉しそうに頷く。どうやら桜と花見は知っているみたいだ。
「お、薙じゃないか」
下から声がして見てみると、箒を片手にこちらに手を振る薬研さんの姿があった。それに「薙さん?!」と反応して乱さんが死角から顔を出して大きく手を振る。「元気になったら色んなお話しようねー!」と満面の笑みだ。その一方で薙さんは目が点になっている。僕に向けた視線は「男の子…?」と少し混乱した色を見せていた。
「驚かせてすまないなー、薙。コイツはれっきとした男だー。戦になるとすげぇんだぞー」
「もうっ、余計なこと言わないでよー!」
「ハハハッ」と笑う薬研さんに可愛らしく怒る乱さん。本当のことだけに僕もどう反応したら良いのか分からない。それでも薙さんは小さく手を振って嬉しそうにしている。順応力も兼ね備えているようだ。
それから2振りを見て次々と粟田口の短刀たちが顔を見せてくれて、各々が「早く元気になってくれよなー!」とか、「美味しいお茶をお淹れします!」などと声を掛けてくれた。薙さんは皆に伝わるように大きく頷いてみせて、僕からは「そろそろ安静にしなきゃならないのでー!」と伝えてゆっくりと窓を閉める。
「良かったですね、薙さん」
にっこりと笑って頷く薙さんは皆から元気をもらったようだ。夕べは燭台切さんと歌仙さんとも話したと聞いたから、少しずつ皆と話す機会を設けることはやっぱり効果的みたいだ。
「おやつを買っておいたんだ。みんなで食べよう!」
執務が一段落した主さんも加わって、動物図鑑を見ながら楽しい時間を過ごす。この時に薙さんが「犬と猫を見たことがある気がする」と教えてくれた。鳥もいくつか分かるらしい。
“脇差になってから、緑が多いところで過ごしていたかもしれません”
少しずつ、本当に少しずつだけど記憶が戻っているみたいで自分のことのように嬉しい。刺激しないように話を聞いていると、緑の多いところを歩いていた様子がフラッシュバックしたらしい。そして、衣紋掛けに掛けてある服を着ていたことも思い出したようだった。ただ、どうしてこの服なのかは思い出せないみたいだ。
「ゆっくりでいいからね」
「お話の途中申し訳ありませんが、主様、紫 様からメールが届いております」
「はーい」
「ちょっと席を外すね」と執務室に戻り、引き続き僕と2振りで動物図鑑を眺める。
「それにしても、お香を変えた途端に薙さんの調子が良くなりましたね」
ニッコリと笑った。体が軽くなって、頭がスッキリした感じがするという。本当に驚くぐらい順調だ。でも、お香を焚かれたこの部屋から出られるようになるまでには時間が掛かりそうだ。
そこで階段を上る音と、「しーっ」と厚くん声も聞こえた。すぐにパタパタと階段を下りる音がして、こんのすけが何事かと襖を開けると、そこには手紙らしきものと小さな和柄の袋が見えた。「ふふっ」と主さんが持って来てくれて、それは薙さんへの手紙だった。この字は粟田口の短刀たちだろう。多分、さっき会えなかった子たちが書いたんだと思う。
“なぎさんと一緒にあそびたいです”
“しゃぼん玉がきれいです”
“おはじきがきれいです”
“鬼ごっこも楽しいですよ”
他にも色々と寄せ書きのように書かれていた。その下には一期さんの字で“薙殿の一刻も早い回復を祈っております”と締めくくられていた。一緒に置かれていた袋の中身は飴玉。色とりどりでキレイだ。食べるのが勿体ないといった様子で眺めた後、青い飴玉を取り出して僕の瞳と見比べた。そうして包装を剥がして僕の口元に差し出す。
えーと、これは「あーん」ってこと…?
かぁっと顔が赤くなるのが自分でも分かった。首を傾げる薙さんに、思いきって口を開けると優しく口に入れてくれた。にこにこと笑う薙さんと、顔を真っ赤にして食べる僕。しっかりと主さんとこんのすけに見られて、主さんは「あらまぁ」とニヤける口元を押さえている。
「あっ、主さんっ、紫さんからのメールはどんな内容だったんですかっ…!」
「ふふっ、お香のことだったよ。薙、私にも1つちょうだい?」
今度は主さんと飴玉を見比べて、紫色の飴玉を口に入れた。こんのすけも欲しそうにしていたから、こんのすけには赤い飴玉をあげていた。薙さんはオレンジ色のものをパクリと食べた。やっぱりにこにことしている。
薙さんには敵わないかも…?
飴は甘かったけど、何味までかは覚えていない。
主さんが作ったお香がようやく出来上がって、早速焚いてしばらく薙さんの様子を見てみると、顔色がだいぶ良くなってきたように見えた。上がったり下がっていたりした熱も落ち着いて、今日は微熱だ。
「薙さん、今日はそこの窓から景色を眺めてみませんか?」
僕が持って来た羽織を肩に掛けて、ゆっくりと窓際に立った。
「…!」
話せていたらきっと感嘆の声を上げていたのかもしれない。目を輝かせてあちこちを見ている。そして「あの木は何?」と言ったように丘の上に立つ大木を指した。
「あれは桜ですよ。満開になったら皆でお花見をするんです。きっとその頃には体調が良くなっているでしょうし、今年からは薙さんも一緒に参加しましょうね!」
コクコクと嬉しそうに頷く。どうやら桜と花見は知っているみたいだ。
「お、薙じゃないか」
下から声がして見てみると、箒を片手にこちらに手を振る薬研さんの姿があった。それに「薙さん?!」と反応して乱さんが死角から顔を出して大きく手を振る。「元気になったら色んなお話しようねー!」と満面の笑みだ。その一方で薙さんは目が点になっている。僕に向けた視線は「男の子…?」と少し混乱した色を見せていた。
「驚かせてすまないなー、薙。コイツはれっきとした男だー。戦になるとすげぇんだぞー」
「もうっ、余計なこと言わないでよー!」
「ハハハッ」と笑う薬研さんに可愛らしく怒る乱さん。本当のことだけに僕もどう反応したら良いのか分からない。それでも薙さんは小さく手を振って嬉しそうにしている。順応力も兼ね備えているようだ。
それから2振りを見て次々と粟田口の短刀たちが顔を見せてくれて、各々が「早く元気になってくれよなー!」とか、「美味しいお茶をお淹れします!」などと声を掛けてくれた。薙さんは皆に伝わるように大きく頷いてみせて、僕からは「そろそろ安静にしなきゃならないのでー!」と伝えてゆっくりと窓を閉める。
「良かったですね、薙さん」
にっこりと笑って頷く薙さんは皆から元気をもらったようだ。夕べは燭台切さんと歌仙さんとも話したと聞いたから、少しずつ皆と話す機会を設けることはやっぱり効果的みたいだ。
「おやつを買っておいたんだ。みんなで食べよう!」
執務が一段落した主さんも加わって、動物図鑑を見ながら楽しい時間を過ごす。この時に薙さんが「犬と猫を見たことがある気がする」と教えてくれた。鳥もいくつか分かるらしい。
“脇差になってから、緑が多いところで過ごしていたかもしれません”
少しずつ、本当に少しずつだけど記憶が戻っているみたいで自分のことのように嬉しい。刺激しないように話を聞いていると、緑の多いところを歩いていた様子がフラッシュバックしたらしい。そして、衣紋掛けに掛けてある服を着ていたことも思い出したようだった。ただ、どうしてこの服なのかは思い出せないみたいだ。
「ゆっくりでいいからね」
「お話の途中申し訳ありませんが、主様、
「はーい」
「ちょっと席を外すね」と執務室に戻り、引き続き僕と2振りで動物図鑑を眺める。
「それにしても、お香を変えた途端に薙さんの調子が良くなりましたね」
ニッコリと笑った。体が軽くなって、頭がスッキリした感じがするという。本当に驚くぐらい順調だ。でも、お香を焚かれたこの部屋から出られるようになるまでには時間が掛かりそうだ。
そこで階段を上る音と、「しーっ」と厚くん声も聞こえた。すぐにパタパタと階段を下りる音がして、こんのすけが何事かと襖を開けると、そこには手紙らしきものと小さな和柄の袋が見えた。「ふふっ」と主さんが持って来てくれて、それは薙さんへの手紙だった。この字は粟田口の短刀たちだろう。多分、さっき会えなかった子たちが書いたんだと思う。
“なぎさんと一緒にあそびたいです”
“しゃぼん玉がきれいです”
“おはじきがきれいです”
“鬼ごっこも楽しいですよ”
他にも色々と寄せ書きのように書かれていた。その下には一期さんの字で“薙殿の一刻も早い回復を祈っております”と締めくくられていた。一緒に置かれていた袋の中身は飴玉。色とりどりでキレイだ。食べるのが勿体ないといった様子で眺めた後、青い飴玉を取り出して僕の瞳と見比べた。そうして包装を剥がして僕の口元に差し出す。
えーと、これは「あーん」ってこと…?
かぁっと顔が赤くなるのが自分でも分かった。首を傾げる薙さんに、思いきって口を開けると優しく口に入れてくれた。にこにこと笑う薙さんと、顔を真っ赤にして食べる僕。しっかりと主さんとこんのすけに見られて、主さんは「あらまぁ」とニヤける口元を押さえている。
「あっ、主さんっ、紫さんからのメールはどんな内容だったんですかっ…!」
「ふふっ、お香のことだったよ。薙、私にも1つちょうだい?」
今度は主さんと飴玉を見比べて、紫色の飴玉を口に入れた。こんのすけも欲しそうにしていたから、こんのすけには赤い飴玉をあげていた。薙さんはオレンジ色のものをパクリと食べた。やっぱりにこにことしている。
薙さんには敵わないかも…?
飴は甘かったけど、何味までかは覚えていない。