女性審神者の名前です。
撫子 太陽の当たる場所
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~紫 side~
皆さんこんにちは、先日演練で遥さんの本丸にお邪魔させていただいた、紫と申します。今回はわたしの番とのことなので、日常を含めてお話しさせていただきます。
遊玄 様や遥さんが少し話していたみたいですが、わたしは神社の家系で、実家も神社です。隠れたパワースポットとして一部の方には人気で、最近では御朱印集めが注目を浴びているのもあって参拝者が増えていると聞いています。
「えっと…」
ある日、歴防本部から配布されている全ての刀剣男士のデータリストを眺めていました。
わたしは経験の浅い審神者。顕現している刀剣男士の数は連合を組んでいる本丸と比べると圧倒的に少なく、本丸もそこまで広くはありません。遥さんの本丸にお邪魔する度、「いつかわたしもこの場所のような賑やかな本丸を築きたい」と強く願うものです。
粟田口はそれなりに顕現していますが、一期さんはもちろんのこと、鳴狐さんも顕現していません。まだまだ兄弟水入らずに過ごせるようになるには時間が掛かると覚悟しています。色々と考慮しながら、次に顕現させるべき刀種は何か悩む日々です。
“始まりの五振り”と称される男士は全振り顕現していたりと、打刀はある程度いるので打刀を顕現させるのは少し時間を空けることにしています。今は短刀の次に夜戦に強いとされている脇差を増やすべきか、顕現数の少ない太刀を増やすべきか考えています。大太刀も石切丸さんしかいませんし、槍と薙刀は1振りも顕現出来ていません。そこも悩みどころです。
「主、焦る必要はないんだよ」
リストと睨めっこしているわたしにお茶と芋羊羹を持って来てくれたのは“始まりの一振り”である歌仙さん。歌仙さんはこんなわたしを支えてくれて、執務に追われている時はわたしの代わりに男士のみんなをまとめてくれている大切な存在です。さすが雅を追求しているのもあってか、わたしの息抜きも兼ねて趣味の香道のことを尋ねてくれてたりもします。
歌仙さんは包丁の扱いが見ていて少し不安になる短刀が多いのもありますし、最初はふたりで過ごす時間が長かったということもあって、厨当番も率先して担当してくれています。もちろん歌仙さんにばかり負担を掛けるわけにはいかないのでわたしも手伝いますが、今のところほぼ毎日厨当番に入ってくれるのが堀川くんでもあります。余談ですが、この本丸に2番目に顕現したのが彼です。
「ですが…」
湯呑を手に視線を落とし、浮かんだのは小夜くん。遥さんの本丸に訪れたのをきっかけに他の男士と打ち解けてきて、「大丈夫」と言ってくれたとはいっても、やっぱり兄弟を顕現させたい気持ちは強いです。「悩んでいるから顕現に時間が掛かっているのではないか」と言われればそれまでですが、むやみやたらと顕現させるわけにはいかないと考えています。男士を顕現させるということは、それなりに覚悟も必要ですから。
“主さん、もうちょっと肩の力を抜いてもいいんじゃないですか?”
堀川くんにも時々そう言われます。けれど、清光くんと安定くんと、繋がりのある男士がいるとはいえ、きっと堀川くんも和泉守さんの顕現を心待ちにしていることでしょう。…それに、脱ぎたがりの村正さんのストッパー役になってくれるという蜻蛉切さんが不在なのは、何と言うか…少し…心許ないです。亀甲さんも同じ刀派の男士がいません。何かと張り合おうとするこの2振りを止めようとするのですが、上手く出来ないのが現状です。わたしがもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに…。
「よしよし」
しょんぼりするわたしの頭を優しく撫でてくれた歌仙さん。審神者になってすぐはこうされると涙が零れそうになっていましたが、いつまでもそうしているわけにはいきません。「ありがとうございます」と下手ながらに笑顔を見せられるようにはなりました。けれど、わたしの心情はとっくにばれているでしょうね。
「僕は厨に戻るけれど、大丈夫かい?」
「あっ、わたしも…」
「今日の夕餉の支度は前田と乱も手伝ってくれるし、後でお小夜も来てくれるんだ。こちらの心配はしないでおくれ」
「あ…」
「時には何も考えずに出来ること、やりたいことをするのも良いけれど、今の主はそういうわけにはいかないからね。顕現させる男士を決めるのは主にしか出来ないのだから、今はそこに集中してほしい」
「はい…」
そっと執務室から出て行った歌仙さんを見送った後、ぱちん、と両手で頬を叩いて再び端末に向かいました。
皆さんこんにちは、先日演練で遥さんの本丸にお邪魔させていただいた、紫と申します。今回はわたしの番とのことなので、日常を含めてお話しさせていただきます。
「えっと…」
ある日、歴防本部から配布されている全ての刀剣男士のデータリストを眺めていました。
わたしは経験の浅い審神者。顕現している刀剣男士の数は連合を組んでいる本丸と比べると圧倒的に少なく、本丸もそこまで広くはありません。遥さんの本丸にお邪魔する度、「いつかわたしもこの場所のような賑やかな本丸を築きたい」と強く願うものです。
粟田口はそれなりに顕現していますが、一期さんはもちろんのこと、鳴狐さんも顕現していません。まだまだ兄弟水入らずに過ごせるようになるには時間が掛かると覚悟しています。色々と考慮しながら、次に顕現させるべき刀種は何か悩む日々です。
“始まりの五振り”と称される男士は全振り顕現していたりと、打刀はある程度いるので打刀を顕現させるのは少し時間を空けることにしています。今は短刀の次に夜戦に強いとされている脇差を増やすべきか、顕現数の少ない太刀を増やすべきか考えています。大太刀も石切丸さんしかいませんし、槍と薙刀は1振りも顕現出来ていません。そこも悩みどころです。
「主、焦る必要はないんだよ」
リストと睨めっこしているわたしにお茶と芋羊羹を持って来てくれたのは“始まりの一振り”である歌仙さん。歌仙さんはこんなわたしを支えてくれて、執務に追われている時はわたしの代わりに男士のみんなをまとめてくれている大切な存在です。さすが雅を追求しているのもあってか、わたしの息抜きも兼ねて趣味の香道のことを尋ねてくれてたりもします。
歌仙さんは包丁の扱いが見ていて少し不安になる短刀が多いのもありますし、最初はふたりで過ごす時間が長かったということもあって、厨当番も率先して担当してくれています。もちろん歌仙さんにばかり負担を掛けるわけにはいかないのでわたしも手伝いますが、今のところほぼ毎日厨当番に入ってくれるのが堀川くんでもあります。余談ですが、この本丸に2番目に顕現したのが彼です。
「ですが…」
湯呑を手に視線を落とし、浮かんだのは小夜くん。遥さんの本丸に訪れたのをきっかけに他の男士と打ち解けてきて、「大丈夫」と言ってくれたとはいっても、やっぱり兄弟を顕現させたい気持ちは強いです。「悩んでいるから顕現に時間が掛かっているのではないか」と言われればそれまでですが、むやみやたらと顕現させるわけにはいかないと考えています。男士を顕現させるということは、それなりに覚悟も必要ですから。
“主さん、もうちょっと肩の力を抜いてもいいんじゃないですか?”
堀川くんにも時々そう言われます。けれど、清光くんと安定くんと、繋がりのある男士がいるとはいえ、きっと堀川くんも和泉守さんの顕現を心待ちにしていることでしょう。…それに、脱ぎたがりの村正さんのストッパー役になってくれるという蜻蛉切さんが不在なのは、何と言うか…少し…心許ないです。亀甲さんも同じ刀派の男士がいません。何かと張り合おうとするこの2振りを止めようとするのですが、上手く出来ないのが現状です。わたしがもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに…。
「よしよし」
しょんぼりするわたしの頭を優しく撫でてくれた歌仙さん。審神者になってすぐはこうされると涙が零れそうになっていましたが、いつまでもそうしているわけにはいきません。「ありがとうございます」と下手ながらに笑顔を見せられるようにはなりました。けれど、わたしの心情はとっくにばれているでしょうね。
「僕は厨に戻るけれど、大丈夫かい?」
「あっ、わたしも…」
「今日の夕餉の支度は前田と乱も手伝ってくれるし、後でお小夜も来てくれるんだ。こちらの心配はしないでおくれ」
「あ…」
「時には何も考えずに出来ること、やりたいことをするのも良いけれど、今の主はそういうわけにはいかないからね。顕現させる男士を決めるのは主にしか出来ないのだから、今はそこに集中してほしい」
「はい…」
そっと執務室から出て行った歌仙さんを見送った後、ぱちん、と両手で頬を叩いて再び端末に向かいました。
