女性審神者の名前です。
梅「審神者として出来ることは全てやらなきゃ」
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~堀川side~
「薙さん?!」
息を荒くして苦しんだ後、ガバッと勢い良く起きた薙さんの額には汗が滲んでいた。顔色も悪い。手拭いで額を拭いて、水を差し出すとゴクゴクと飲み干し、もう1杯注ぐとそれも一気に飲み干した。
「何か嫌な夢でも見たんですか…?」
コクリと頷く。荒々しくノートとペンを持って、「炎に包まれる夢を見た」と殴り書きで書いて見せた。擦った背中はとても熱い。測ってみると熱が更に上がっていた。ひとまず解熱剤を飲ませると、「ごめんなさい」とポロポロと涙を流した。
「大丈夫ですよ。僕たちがいますから、安心して下さい」
それにコクコクと何度も頷きながら手拭いで顔を隠す。あいにく主さんは席を外していて、今は僕が何とかするしかない。酷かもしれないけれど、詳しく話を聞かないと薙さんのことを知る機会を失ってしまう。
聞けば炎に包まれる中、何処からか「ここももう危険だ!」「逃げるぞ!」と誰かが誰かを止めている声が聞こえたのだと言う。そして、それに身を委ねるしかなかった、とも。
「ただいま…って、えっ?!」
「主さん!」
ただならぬ様子に買って来た物を持ったまま薙さんの近くに座った。一緒にいたこんのすけと事情を話すと、「やっぱり…」と零した。
「多分、薙は焼身になったんだと思う。…堀川くん、今から話すのはここだけの話にしてね。薙、あなたの体に火傷の痕があったの」
ビクリと薙さんの体が跳ねた。
「痕と言っても大きなものじゃないよ」
薙刀だったか脇差だったか尋ねると、脇差だったと教えてくれた。
主さんの見解はこうだ。脇差に直された後、何かしらの理由で神社に預けられて、何かしらの理由でそこが燃えてしまったのではないか、ということだった。
その考えにやっぱり“神社”という言葉が引っ掛かったみたいで、苦しそうに眉間に指を当てる。記憶がフラッシュバックされているのか、見えたものを箇条書きで書いていく。
「男の人が私を大事に抱えて必死に山道を走っていた」「袴姿の誰かがその人を見て驚いていた」。
それを書いた後、夢が夢だけに体力が消耗したようで、ぐったりとした薙さんを横にさせて桶に浸しておいた手拭いを額に乗せて、主さんが新しい式札を胸元に置く。そうして息が落ち着いて眠りについたけど、今朝と比べて霊力が乱れているのは僕にも分かった。また不安定になっている。
「お香が出来上がるのは明日、かな。薙には申し訳ないけれど、今が耐え時かも」
「そうですか…」
主さんが「もう少しだけ我慢してね」と薙さんの髪を梳くように撫でて買った物を執務室に持って行く。何を買ったのか尋ねたら、動物図鑑と薙さんでも食べられそうな蒸し饅頭だった。薙さんはまだ甘いものを食べていないみたいで、まだ今の薙さんには睡眠より美味しい食べ物が必要だ。それで少しでも元気が出るように祈るしかない。
「ちょっと早いけど、私はお風呂を済ませて来るね。すぐに戻るから」
「分かりました」
「ありがとう。こんのすけもヨロシクね」
「はいっ」
その後、いつも通りの夕餉で大広間に行くと、兼さんと加州さん、大和守さん、長曽祢さんと蜂須賀さんが僕を待ってくれていた。
「薙、だったか。様子はどうだ?」
「落ち着いたと思っていたんですが、また熱が上がって霊力が乱れています。刀剣だった頃の記憶が夢になったり、起きてからも記憶がフラッシュバックしているみたいで…」
「そうか…。おれたちに何か出来ることはないか皆で話していたんだが…、なかなか難しそうだな」
「左文字兄弟には見舞いの花があるけれど、俺たちにはそういったものがないからね…」
「うーん、差し入れしか浮かばないや」
「薙さんも少しずつ食べられるものも増えてきましたし、それなら出来るかもしれませんよ」
実際に主さんが蒸し饅頭を買って来ていたことを伝えると、皆の話題は消化の良い食べ物について。いきなり普通の食事を摂るのは体に良くないから、薙さんはお粥から始まって、茶碗蒸しや少しだけ具を入れた雑炊に続いて、今は少し柔らかめに茹でたうどんなどを食べている。今夜は大根と人参とちくわのうま煮らしい。これから味付けも僕たちが普段食べているものと同じ濃さになっていくと思う。
「薙の好物が見つかるといいね」なんて皆と話していて、急に主さんの言葉が浮かぶ。
“薙、あなたの体に火傷の痕があったの”
幸い僕は焼身になっていないし、記憶もちゃんとある。もし、僕が薙さんと同じだったら、今みたいに話が出来なかったかもしれないと考えてしまう。
「……」
「どうした国広、箸止まってんぞ」
「あ、何でもないです。薙さんが早く僕たちと一緒にこうやって食事が出来ればいいなって思っただけです」
「そうだな。オレたちだけじゃない。皆同じことを思ってるはずだ。薙がここに来ようもんなら、争奪戦になりそうだけどな」
「あはは、あり得るー」
薙さん、僕たちは待っていますから。今はゆっくり休んで下さいね。
「薙さん?!」
息を荒くして苦しんだ後、ガバッと勢い良く起きた薙さんの額には汗が滲んでいた。顔色も悪い。手拭いで額を拭いて、水を差し出すとゴクゴクと飲み干し、もう1杯注ぐとそれも一気に飲み干した。
「何か嫌な夢でも見たんですか…?」
コクリと頷く。荒々しくノートとペンを持って、「炎に包まれる夢を見た」と殴り書きで書いて見せた。擦った背中はとても熱い。測ってみると熱が更に上がっていた。ひとまず解熱剤を飲ませると、「ごめんなさい」とポロポロと涙を流した。
「大丈夫ですよ。僕たちがいますから、安心して下さい」
それにコクコクと何度も頷きながら手拭いで顔を隠す。あいにく主さんは席を外していて、今は僕が何とかするしかない。酷かもしれないけれど、詳しく話を聞かないと薙さんのことを知る機会を失ってしまう。
聞けば炎に包まれる中、何処からか「ここももう危険だ!」「逃げるぞ!」と誰かが誰かを止めている声が聞こえたのだと言う。そして、それに身を委ねるしかなかった、とも。
「ただいま…って、えっ?!」
「主さん!」
ただならぬ様子に買って来た物を持ったまま薙さんの近くに座った。一緒にいたこんのすけと事情を話すと、「やっぱり…」と零した。
「多分、薙は焼身になったんだと思う。…堀川くん、今から話すのはここだけの話にしてね。薙、あなたの体に火傷の痕があったの」
ビクリと薙さんの体が跳ねた。
「痕と言っても大きなものじゃないよ」
薙刀だったか脇差だったか尋ねると、脇差だったと教えてくれた。
主さんの見解はこうだ。脇差に直された後、何かしらの理由で神社に預けられて、何かしらの理由でそこが燃えてしまったのではないか、ということだった。
その考えにやっぱり“神社”という言葉が引っ掛かったみたいで、苦しそうに眉間に指を当てる。記憶がフラッシュバックされているのか、見えたものを箇条書きで書いていく。
「男の人が私を大事に抱えて必死に山道を走っていた」「袴姿の誰かがその人を見て驚いていた」。
それを書いた後、夢が夢だけに体力が消耗したようで、ぐったりとした薙さんを横にさせて桶に浸しておいた手拭いを額に乗せて、主さんが新しい式札を胸元に置く。そうして息が落ち着いて眠りについたけど、今朝と比べて霊力が乱れているのは僕にも分かった。また不安定になっている。
「お香が出来上がるのは明日、かな。薙には申し訳ないけれど、今が耐え時かも」
「そうですか…」
主さんが「もう少しだけ我慢してね」と薙さんの髪を梳くように撫でて買った物を執務室に持って行く。何を買ったのか尋ねたら、動物図鑑と薙さんでも食べられそうな蒸し饅頭だった。薙さんはまだ甘いものを食べていないみたいで、まだ今の薙さんには睡眠より美味しい食べ物が必要だ。それで少しでも元気が出るように祈るしかない。
「ちょっと早いけど、私はお風呂を済ませて来るね。すぐに戻るから」
「分かりました」
「ありがとう。こんのすけもヨロシクね」
「はいっ」
その後、いつも通りの夕餉で大広間に行くと、兼さんと加州さん、大和守さん、長曽祢さんと蜂須賀さんが僕を待ってくれていた。
「薙、だったか。様子はどうだ?」
「落ち着いたと思っていたんですが、また熱が上がって霊力が乱れています。刀剣だった頃の記憶が夢になったり、起きてからも記憶がフラッシュバックしているみたいで…」
「そうか…。おれたちに何か出来ることはないか皆で話していたんだが…、なかなか難しそうだな」
「左文字兄弟には見舞いの花があるけれど、俺たちにはそういったものがないからね…」
「うーん、差し入れしか浮かばないや」
「薙さんも少しずつ食べられるものも増えてきましたし、それなら出来るかもしれませんよ」
実際に主さんが蒸し饅頭を買って来ていたことを伝えると、皆の話題は消化の良い食べ物について。いきなり普通の食事を摂るのは体に良くないから、薙さんはお粥から始まって、茶碗蒸しや少しだけ具を入れた雑炊に続いて、今は少し柔らかめに茹でたうどんなどを食べている。今夜は大根と人参とちくわのうま煮らしい。これから味付けも僕たちが普段食べているものと同じ濃さになっていくと思う。
「薙の好物が見つかるといいね」なんて皆と話していて、急に主さんの言葉が浮かぶ。
“薙、あなたの体に火傷の痕があったの”
幸い僕は焼身になっていないし、記憶もちゃんとある。もし、僕が薙さんと同じだったら、今みたいに話が出来なかったかもしれないと考えてしまう。
「……」
「どうした国広、箸止まってんぞ」
「あ、何でもないです。薙さんが早く僕たちと一緒にこうやって食事が出来ればいいなって思っただけです」
「そうだな。オレたちだけじゃない。皆同じことを思ってるはずだ。薙がここに来ようもんなら、争奪戦になりそうだけどな」
「あはは、あり得るー」
薙さん、僕たちは待っていますから。今はゆっくり休んで下さいね。