女性審神者の名前です。
撫子 太陽の当たる場所
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~“加州清光side”~
「あ、陸奥」
部屋に戻ると、隣の部屋の前に“陸奥守”がいた。柱に寄り掛かってこちらに背を向けて薄着で過ごしている。風呂に入ってたみたいだ。
「おぉ、もんて来たが、か…?!」
「ただいま」
脳の処理が追いついていない。仰け反ったかと思えば、言葉にならない様子で足のつま先から頭のてっぺんまでを何回も見ている。
「陸奥の反応が1番面白いかも」
「なっ、何を言いゆうがじゃ?!」
「向こうのわしゃ何をしゆうがじゃ?!」やら「どいてそうなった?!」やら酷く動揺している。
「薙は三条派やろう?!いつから長船派になったがや?!」
「ごめん何言ってるのか分かんない」
ズレてる。この本丸の“陸奥守”もズレてる。ていうか動揺しすぎ。
「とにかく、早う着替えて来とうせ!」
俺の肩に乗ったままのもふ丸と“陸奥守”で着替え終わるのを待つ。
案の定、慌てふためきだした“陸奥守”に何故こうなったのか聞かれ、遥さんに話した内容と同じことを話す。他の男士たちと比べてあまりにも反応が違いすぎるのが気になって、好奇心で「俺のが良かった?」と尋ねてみた。
「“加州”のか…。まぁ、“加州”のならえいか…」
基準が分からないながらに「出来れば俺も俺のを貸したかったよ」と返しておく。あの流れは仕方ないことだった。ただ、それだけ。
「ちっくと聞きたいんじゃが、加州から見てそっちの“陸奥守吉行”はどう見えちゅうがじゃ?」
「うーん、落ち着いてる感じはあるかな。“始まりの一振り”だからってのもあるかも」
「そうか…」
主は今はそこそこのキャリアのある審神者とはいえ、本丸発足当初は修行なしで審神者になったのもあって全てが手探りで、執務に慣れることを最優先としてきた。だからふたりで過ごしていた期間が長かった。陸奥守は主が不安になれば寄り添い、落ち込めば励まし、時には二人三脚で乗り越えたこともあった。お気楽思考と見せかけて、実は主に余計な負担が掛からないように客観的に本丸と男士の面倒を見ている、そんな印象(スキンシップが多めなのはこの影響?)。
「わしも“始まりの一振り”やったら変わっちょったがかな」
「…それは、俺も思うよ」
俺の本丸の“始まりの一振り”は陸奥守。
遥さんの“始まりの一振り”は“俺”。
2振りでオレンジ色に染まる庭を見た。
もし俺が“始まりの一振り”だったら。
こんな性格じゃなかったかも…?
ここの“俺”と思考回路があそこまで似てるなら、“始まりの一振り”じゃない他の本丸の“俺”もこんなことを考えたことがありそうな気がする。
性格だけじゃない。本丸そのものもそうだ。庭だって畑だってなんだって、今俺たちが見ているそれとは変わっていたかもしれない。顕現した男士の順番が異なれば全てが変わってくる。だからこそ全ての本丸は同じようで違う。
…つまり。
「ま、わしらはわしらじゃ」
「…そーね」
考えても答えは出ない。
俺は俺、“陸奥守”は“陸奥守”。
「んー、何かちょっと気持ちが軽くなったかも」
「そうか?ほんなら良かったけれども」
そう言いながら薙の部屋の障子を見やった。じっと見つめる横顔は思い耽るようなもの。その顔は“陸奥守吉行”のイメージとかけ離れている。
…まさか、ね。
「加州様」
ジャージの袖を下ろしながら遥さんがやって来た。他に何を話したらいいのか分からなかったから助かった。
「夕餉を食べて行って下さい」
「え、いやさすがに悪いって!」
「前回お邪魔した際に昼餉と夕餉をご馳走になりましたから。綾菜さんにも連絡してありますよ」
そう言われてしまってはご馳走になるしかない。
この本丸は粟田口と三条派だったり、ある程度男士たちが夕餉を食べ終えたら他の刀派が入れ替わりで食べていて、ちょうど今、粟田口が全振り食べ終えたところだという。
「なので、その間にお借りしたジャージを洗います」
「別にそこまでしなくてもいいのに」
薙が舞に来てくれて世話になったのは俺らの方。しかもこっちで勝手に決めて送りに来た。それでも俺に何もせずに帰らせるわけにはいかないと、夕餉を提案したのは遥さんなりの気遣いだろう。無下には出来ない。
…けど、ちょっと不安で緊張するかも。
「薙やわしらもおるき、心配いらんぜよ」
打って変わって頼もしい笑顔を見せた“陸奥守”に頷く。障子越しに話を聞いていた薙も部屋から出て来て「私は洗濯機を回してから行くね」と、俺たちとは反対の方向へと向かって行った。
「お、来た来た」
稽古場にいた“俺”たちに手招きされて、ちょっと遠慮気味に勧められたところに座った。少しして薙さんもやって来て、鶏肉の唐揚げにきのこの炊き込みご飯、千切りキャベツにトマトなどバランスのいい夕餉をみんなで囲う。
「そっちの“自分”は何か違うところはあるのか」「本丸はどんな雰囲気なのか」「何振りいるのか」、違う本丸の俺がいるからか話題は尽きない。安定に頼ることが多くて、着いてすぐに薙にも頼ろうとしていた俺も楽しく過ごせていて、“陸奥守”とあんな話を出来たのもあってか、「ちょっとは成長したかな」と思えた。
「お口に合うかい?」
「ん、すっごく美味しい」
“歌仙”が揚げたての唐揚げを追加で持って来てくれて、みんなが2~3個ずつ皿に取った(“陸奥守”は4個)。生姜の風味が効いた味付けに、俺も甘えさせてもらって2個もらう。少し離れたところから“次郎太刀”が「唐揚げをつまみにするのもオツだねぇ」とビールをあおった。向かいにいる“太郎太刀”もそうで、俺の本丸の2振りはいつもしっかりと夕餉を食べて飲むのがいつものことで、「やっぱりこういう違いもあるんだ」と唐揚げを頬張る。
「そろそろ洗濯が終わると思う」
薙と一緒に洗濯機が置かれているところへと向かった。残り時間は8分。
「楽しく過ごせた?」
「うん、おかげさまで」
「良かった、安心したよ」
まるで自分のことのように安心した薙にそっと寄り掛かった。
これも、成長したと思えたから出来ること。
「どうしたの?」
「んー、お願いがあるんだけど」
「な、何?」
「俺のこと、“加州さん ”じゃなくて“加州くん ”って呼んでよ」
薙は目をぱちくりさせた後、すっと微笑む。
「加州くんはやっぱり可愛いねー」
「だーかーらー!髪の毛ぐちゃぐちゃにしないでよねー!」
あの時と同じように頭を撫でられてそっぽを向いた。「ごめんって」と今度は乱れた髪を直すように梳くその手からは優しい温もりを感じる。薙なりの愛をまた感じられて、なんだかくすぐったくなった。
「綾菜さんによろしくお伝えください」
見送りは一緒に夕餉を食べた男士と遥さんだった。ちなみに遥さんが何か持たせようとしてたから、そこは止めといた。
「色々ありがと。楽しかった」
「また来るとえい。その時は飲みもってごとごと話そう」
「ん、楽しみにしてる」
転送装置のボタンを押し、「じゃーね」と軽く手を振る。みんなも手を振り返してくれて、光に包まれて本丸へと戻った。
「清光、おかえり」
迎えてくれたのは主だった。
「たっだいまー!」
“俺”と“陸奥守”と話していたら妙に主が恋しくなったからか、姿を見た途端嬉しくなって主に飛び込んだ。「おっと」と受け止めた主が優しく頭を撫でる。
「ちょっと雰囲気変わったね。何かあった?」
「秘密~」と主に見えない角度でくしゃりと笑った。
「俺、顕現したのがこの本丸で良かった」
「あたしも清光が顕現してくれて嬉しいよ?」
「へへへ~」
…別にアイスコーヒーは飲めなくてもいいや。
「あ、陸奥」
部屋に戻ると、隣の部屋の前に“陸奥守”がいた。柱に寄り掛かってこちらに背を向けて薄着で過ごしている。風呂に入ってたみたいだ。
「おぉ、もんて来たが、か…?!」
「ただいま」
脳の処理が追いついていない。仰け反ったかと思えば、言葉にならない様子で足のつま先から頭のてっぺんまでを何回も見ている。
「陸奥の反応が1番面白いかも」
「なっ、何を言いゆうがじゃ?!」
「向こうのわしゃ何をしゆうがじゃ?!」やら「どいてそうなった?!」やら酷く動揺している。
「薙は三条派やろう?!いつから長船派になったがや?!」
「ごめん何言ってるのか分かんない」
ズレてる。この本丸の“陸奥守”もズレてる。ていうか動揺しすぎ。
「とにかく、早う着替えて来とうせ!」
俺の肩に乗ったままのもふ丸と“陸奥守”で着替え終わるのを待つ。
案の定、慌てふためきだした“陸奥守”に何故こうなったのか聞かれ、遥さんに話した内容と同じことを話す。他の男士たちと比べてあまりにも反応が違いすぎるのが気になって、好奇心で「俺のが良かった?」と尋ねてみた。
「“加州”のか…。まぁ、“加州”のならえいか…」
基準が分からないながらに「出来れば俺も俺のを貸したかったよ」と返しておく。あの流れは仕方ないことだった。ただ、それだけ。
「ちっくと聞きたいんじゃが、加州から見てそっちの“陸奥守吉行”はどう見えちゅうがじゃ?」
「うーん、落ち着いてる感じはあるかな。“始まりの一振り”だからってのもあるかも」
「そうか…」
主は今はそこそこのキャリアのある審神者とはいえ、本丸発足当初は修行なしで審神者になったのもあって全てが手探りで、執務に慣れることを最優先としてきた。だからふたりで過ごしていた期間が長かった。陸奥守は主が不安になれば寄り添い、落ち込めば励まし、時には二人三脚で乗り越えたこともあった。お気楽思考と見せかけて、実は主に余計な負担が掛からないように客観的に本丸と男士の面倒を見ている、そんな印象(スキンシップが多めなのはこの影響?)。
「わしも“始まりの一振り”やったら変わっちょったがかな」
「…それは、俺も思うよ」
俺の本丸の“始まりの一振り”は陸奥守。
遥さんの“始まりの一振り”は“俺”。
2振りでオレンジ色に染まる庭を見た。
もし俺が“始まりの一振り”だったら。
こんな性格じゃなかったかも…?
ここの“俺”と思考回路があそこまで似てるなら、“始まりの一振り”じゃない他の本丸の“俺”もこんなことを考えたことがありそうな気がする。
性格だけじゃない。本丸そのものもそうだ。庭だって畑だってなんだって、今俺たちが見ているそれとは変わっていたかもしれない。顕現した男士の順番が異なれば全てが変わってくる。だからこそ全ての本丸は同じようで違う。
…つまり。
「ま、わしらはわしらじゃ」
「…そーね」
考えても答えは出ない。
俺は俺、“陸奥守”は“陸奥守”。
「んー、何かちょっと気持ちが軽くなったかも」
「そうか?ほんなら良かったけれども」
そう言いながら薙の部屋の障子を見やった。じっと見つめる横顔は思い耽るようなもの。その顔は“陸奥守吉行”のイメージとかけ離れている。
…まさか、ね。
「加州様」
ジャージの袖を下ろしながら遥さんがやって来た。他に何を話したらいいのか分からなかったから助かった。
「夕餉を食べて行って下さい」
「え、いやさすがに悪いって!」
「前回お邪魔した際に昼餉と夕餉をご馳走になりましたから。綾菜さんにも連絡してありますよ」
そう言われてしまってはご馳走になるしかない。
この本丸は粟田口と三条派だったり、ある程度男士たちが夕餉を食べ終えたら他の刀派が入れ替わりで食べていて、ちょうど今、粟田口が全振り食べ終えたところだという。
「なので、その間にお借りしたジャージを洗います」
「別にそこまでしなくてもいいのに」
薙が舞に来てくれて世話になったのは俺らの方。しかもこっちで勝手に決めて送りに来た。それでも俺に何もせずに帰らせるわけにはいかないと、夕餉を提案したのは遥さんなりの気遣いだろう。無下には出来ない。
…けど、ちょっと不安で緊張するかも。
「薙やわしらもおるき、心配いらんぜよ」
打って変わって頼もしい笑顔を見せた“陸奥守”に頷く。障子越しに話を聞いていた薙も部屋から出て来て「私は洗濯機を回してから行くね」と、俺たちとは反対の方向へと向かって行った。
「お、来た来た」
稽古場にいた“俺”たちに手招きされて、ちょっと遠慮気味に勧められたところに座った。少しして薙さんもやって来て、鶏肉の唐揚げにきのこの炊き込みご飯、千切りキャベツにトマトなどバランスのいい夕餉をみんなで囲う。
「そっちの“自分”は何か違うところはあるのか」「本丸はどんな雰囲気なのか」「何振りいるのか」、違う本丸の俺がいるからか話題は尽きない。安定に頼ることが多くて、着いてすぐに薙にも頼ろうとしていた俺も楽しく過ごせていて、“陸奥守”とあんな話を出来たのもあってか、「ちょっとは成長したかな」と思えた。
「お口に合うかい?」
「ん、すっごく美味しい」
“歌仙”が揚げたての唐揚げを追加で持って来てくれて、みんなが2~3個ずつ皿に取った(“陸奥守”は4個)。生姜の風味が効いた味付けに、俺も甘えさせてもらって2個もらう。少し離れたところから“次郎太刀”が「唐揚げをつまみにするのもオツだねぇ」とビールをあおった。向かいにいる“太郎太刀”もそうで、俺の本丸の2振りはいつもしっかりと夕餉を食べて飲むのがいつものことで、「やっぱりこういう違いもあるんだ」と唐揚げを頬張る。
「そろそろ洗濯が終わると思う」
薙と一緒に洗濯機が置かれているところへと向かった。残り時間は8分。
「楽しく過ごせた?」
「うん、おかげさまで」
「良かった、安心したよ」
まるで自分のことのように安心した薙にそっと寄り掛かった。
これも、成長したと思えたから出来ること。
「どうしたの?」
「んー、お願いがあるんだけど」
「な、何?」
「俺のこと、“加州
薙は目をぱちくりさせた後、すっと微笑む。
「加州くんはやっぱり可愛いねー」
「だーかーらー!髪の毛ぐちゃぐちゃにしないでよねー!」
あの時と同じように頭を撫でられてそっぽを向いた。「ごめんって」と今度は乱れた髪を直すように梳くその手からは優しい温もりを感じる。薙なりの愛をまた感じられて、なんだかくすぐったくなった。
「綾菜さんによろしくお伝えください」
見送りは一緒に夕餉を食べた男士と遥さんだった。ちなみに遥さんが何か持たせようとしてたから、そこは止めといた。
「色々ありがと。楽しかった」
「また来るとえい。その時は飲みもってごとごと話そう」
「ん、楽しみにしてる」
転送装置のボタンを押し、「じゃーね」と軽く手を振る。みんなも手を振り返してくれて、光に包まれて本丸へと戻った。
「清光、おかえり」
迎えてくれたのは主だった。
「たっだいまー!」
“俺”と“陸奥守”と話していたら妙に主が恋しくなったからか、姿を見た途端嬉しくなって主に飛び込んだ。「おっと」と受け止めた主が優しく頭を撫でる。
「ちょっと雰囲気変わったね。何かあった?」
「秘密~」と主に見えない角度でくしゃりと笑った。
「俺、顕現したのがこの本丸で良かった」
「あたしも清光が顕現してくれて嬉しいよ?」
「へへへ~」
…別にアイスコーヒーは飲めなくてもいいや。
