女性審神者の名前です。
撫子 太陽の当たる場所
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~“加州清光side”~
良く良く考えたら、他の本丸に俺だけ行くのって初めてじゃん…。
今更ながらにそれに気付いちゃった俺は、一気に緊張して思わず薙の手を握った。薙も握り返して「大丈夫だよ」と言ってくれたはいいけど、これだけでどうにかなるわけがない。
まぁ、長居するわけじゃないし…。
薙と一緒にいればいいだろうし…。
「おか…えり…?」
真っ先に出迎えてくれた遥さんが、燭台切のジャージ姿の薙を見て目を丸くした。「やっぱりね」とこっそりため息をつく。
燭台切のジャージを着ることになった経緯なんかを事細かく説明すると、返事に困る反応を見せた。まぁ、仕方ない。
薙は迷惑を掛けていないこと、逆に俺たちの不注意でこうなってしまったこと、この恰好で帰って来たのは主と鶴丸からのドッキリだと付け加えると、「綾菜さんと鶴丸様らしい」と安堵した笑顔を見せた。
そうして薙の姿に気を取られてた遥さんが俺が背負う籠に気付く。
「すみません、重いものをずっと背負わせっぱなしで!私が厨に持って行きます!」
「だいじょーぶ、そこそこ重いからこのまま持ってくよ。厨どこ?」
何度も謝られながら遥さんに案内されてそこへ行くと、厨当番として安心安定の“歌仙”と“燭台切”を始めとする男士が数々の食器におかずを盛り付ける中、みんなが俺たちを二度見した。
「ただいま戻りました」
至って普通に返した薙。さすがと言うか何と言うか、“燭台切”が「お揃いだね」と笑ってみせた。一方の“歌仙”は「また水を被ったのかい?」と苦笑いだ。“大倶利伽羅”も見慣れたシャツにほんの少しだけ、本当に少しだけ口角を上げた。
「燭台切殿、夕餉を運…」
「うん…?」
“一期”と共に数振りの粟田口の奴ら…違う、男士たちが厨に顔を出してすぐ、背を向けて汁物をよそってる“燭台切”と同じく背を向けて野菜を取り出している薙を交互に見て疑問符を浮かべた。俺までいるし、ちょっと情報が多いみたいだ。
「ついさっき、加州さんと廊下ですれ違ったぜ…?」
顕現させた審神者が違えば、同じ男士でも霊力は異なる。となれば別の本丸の“加州清光”だと分かるはずだ。“後藤”が震え始める。
「安心しろ、目の前にいるのは綾菜さんのとこの“加州”だ」
「すまんな」と代わりに“薬研”が謝った。紫さんの本丸の男士と交流しても、まだ見分けるのに苦労しているらしい。“後藤”は俺たちの本丸に来たことがなければ主に会ったこともないし、分からないのは仕方ないとしてもここまで怖がられるのは想定外だった。
「じゃ、じゃあ燭台切さんのジャージ着てるの誰だよ?」
「どう見ても薙さんじゃねーか」
ここの“後藤”は怖がりなのか、厚の後ろに隠れて様子を窺っている。これも想定外。薙も薙で、やっぱり至って普通に「ただいま」と小松菜を手に振り返った。
…燭台切のジャージに慣れすぎじゃない?
「夕餉の後、この小松菜でおひたしを作りましょうか」
「他の食材もあるし、ちょうどいいね。僕も手伝うよ」
なんて、燭台切のジャージを着ているのが当たり前のように“燭台切”と会話している。向こうでは燭台切と並んでるところは見てなかったからか、逆に俺がその光景が新鮮に見えた。
…っていうか、やっぱ俺のを貸した方が良かったんじゃない?
その方がもっと面白いものが見れた気がする。俺に似せた髪型にも出来ただろうし。“俺”と並んで“加州清光”が3振り、なんて見せられたかもしれないし。ホント残念。
「薙は荷物を置きに行くがてら、加州様に本丸を案内したら?」
「そうします。今度は私が案内するね」
玄関に仮置きしていた巫女服なんかを取りに行って、「こっちだよ」と手を引かれて歩いていく。
へぇ、ここが薙の部屋かぁ。
ほんのり残るお香の匂い。「さすがに女の人の部屋には入れないよね」と廊下で待つ俺の前で、てきぱきと風呂敷を解いて巫女服を衣紋掛けに通して、「今度はこっち」と再び俺の手を引いた。
「まずはもふ丸を探しに行かないと」
「もふ丸に会うの、ちょっと楽しみかも」
「結果的にいい機会になったね」と本丸内を進んでいく。もふ丸は自由に動き回っているらしく、どこにいるのか分からない、とのことだった。ただひとりで行動しないように、とは言っているらしい。
ある程度本丸を見て回った後、「多分あそこかな~」と向かったのは稽古場。いつかの演練に訪れたこの場所に、俗に言う俺たち“新選組”は全振りここにいた。そして、最初に俺たちに気付いたのは“俺”だった。
「…何でそうなったわけ?」
俺だから分かる。どうして薙が燭台切のジャージを着ているのか、どうして俺がいるのか、その言葉には2つの意味が含まれてる。
「“彼氏の服借りました”感満載じゃん」
さすがは“加州清光”、感性は同じらしい。俺も思っていたことを口にした。
「俺の内番服着せた方が面白かったんじゃない?」
何となく“俺”に会うのが気まずいって思ってたけど、まさかここまで思考回路が似てるとは思わず吹き出してしまった。語らずとも通じ合って「やっぱそう思うー?」と同じ声で笑い合った。
意味が分かっていない“安定”はきょとんとしている。“安定”は俺の知る安定とは少し雰囲気が違う。安定より距離が近いというか、同じ男士でも環境に違いがあれば多少はそれを感じ取れるものなんだと気付いた。
“俺”同士で話す横で、薙がきょろきょろと辺りを見回す。そういえばもふ丸らしき姿は見えない。“長曽祢”さん曰く、昼餉の後に“陸奥守”と将棋を打った後、そのまま一緒にどこかへ行ったらしい。
「陸奥は部屋にいなかったし、うーん…」
「茶々丸のところじゃないですか?」
「あ、そうかも」
「せっかくだし、“そっち”も行ってくれば?」
今のところ俺を“そっち”と呼ぶ“俺”の提案で、薙について行くことになった。茶々丸は“小夜”が現世遠征でお迎えしたミニウサギで、“江雪”と“宗三”と一緒に面倒を見ていると教えてくれた。ペットを飼っている本丸は今のところ他に聞いたことがないからか、これも新鮮に思う。
来た道を戻って途中で曲がり、そこへと着く。障子越しに声を掛けるまでもなく、「薙!」ともふ丸らしき声が聞こえた。
「おかえりなさ、い?!」
ぽかんとするもふ丸と“左文字兄弟”に「ただいま」と声を掛ける。やっぱりみんなが固まって、やっぱり薙も至って普通に茶々丸の背中を撫でた。そうして今度は俺に視線が集まる。
「えーと、お邪魔してます」
「綾菜さんの本丸の“清光”くんですね」
「そ。見送り兼荷物持ちで来たってとこかな」
ドッキリのことには触れないでおく。
薙の恰好に“江雪”は「お似合いですよ」と控えめに笑み、“宗三”も「色々あったようですね」と苦笑いを見せた。“小夜”も「“燭台切”さんと“大倶利伽羅”さんの服ですね」と当ててみせた。
「撫でてもいい?」
「どうぞ!」
お言葉に甘えて、そっともふ丸を撫でてみる。思ってたより大きくて、柔らかくて、動物特有の温かさ。しばらく堪能させてもらった後、肩に乗るのが大好きだと俺の肩によじ登ってきた。
「へぇ、いつも薙ってこうしてるんだ」
「話せなかった頃は、もふ丸がいないとみんなと交流出来なかったんだ」
そういえばそうだった。それでもこの本丸の男士、遥さんが見守ってきたから薙はここまでこれたんだと思う。こんな形で他の本丸の温もりを感じられるとは思わなくて、今度は茶々丸を撫でさせてもらった。俺の本丸にはない癒しをもらえた気がした。
「薙、そろそろ…」
ある程度反応も見れたことだし、時間も時間だ。ちょっと名残惜しいけどまたこの本丸に行く機会はきっとある。本丸に戻ると伝えると、「そうだね」と薙と一緒にこの部屋を後にした。
良く良く考えたら、他の本丸に俺だけ行くのって初めてじゃん…。
今更ながらにそれに気付いちゃった俺は、一気に緊張して思わず薙の手を握った。薙も握り返して「大丈夫だよ」と言ってくれたはいいけど、これだけでどうにかなるわけがない。
まぁ、長居するわけじゃないし…。
薙と一緒にいればいいだろうし…。
「おか…えり…?」
真っ先に出迎えてくれた遥さんが、燭台切のジャージ姿の薙を見て目を丸くした。「やっぱりね」とこっそりため息をつく。
燭台切のジャージを着ることになった経緯なんかを事細かく説明すると、返事に困る反応を見せた。まぁ、仕方ない。
薙は迷惑を掛けていないこと、逆に俺たちの不注意でこうなってしまったこと、この恰好で帰って来たのは主と鶴丸からのドッキリだと付け加えると、「綾菜さんと鶴丸様らしい」と安堵した笑顔を見せた。
そうして薙の姿に気を取られてた遥さんが俺が背負う籠に気付く。
「すみません、重いものをずっと背負わせっぱなしで!私が厨に持って行きます!」
「だいじょーぶ、そこそこ重いからこのまま持ってくよ。厨どこ?」
何度も謝られながら遥さんに案内されてそこへ行くと、厨当番として安心安定の“歌仙”と“燭台切”を始めとする男士が数々の食器におかずを盛り付ける中、みんなが俺たちを二度見した。
「ただいま戻りました」
至って普通に返した薙。さすがと言うか何と言うか、“燭台切”が「お揃いだね」と笑ってみせた。一方の“歌仙”は「また水を被ったのかい?」と苦笑いだ。“大倶利伽羅”も見慣れたシャツにほんの少しだけ、本当に少しだけ口角を上げた。
「燭台切殿、夕餉を運…」
「うん…?」
“一期”と共に数振りの粟田口の奴ら…違う、男士たちが厨に顔を出してすぐ、背を向けて汁物をよそってる“燭台切”と同じく背を向けて野菜を取り出している薙を交互に見て疑問符を浮かべた。俺までいるし、ちょっと情報が多いみたいだ。
「ついさっき、加州さんと廊下ですれ違ったぜ…?」
顕現させた審神者が違えば、同じ男士でも霊力は異なる。となれば別の本丸の“加州清光”だと分かるはずだ。“後藤”が震え始める。
「安心しろ、目の前にいるのは綾菜さんのとこの“加州”だ」
「すまんな」と代わりに“薬研”が謝った。紫さんの本丸の男士と交流しても、まだ見分けるのに苦労しているらしい。“後藤”は俺たちの本丸に来たことがなければ主に会ったこともないし、分からないのは仕方ないとしてもここまで怖がられるのは想定外だった。
「じゃ、じゃあ燭台切さんのジャージ着てるの誰だよ?」
「どう見ても薙さんじゃねーか」
ここの“後藤”は怖がりなのか、厚の後ろに隠れて様子を窺っている。これも想定外。薙も薙で、やっぱり至って普通に「ただいま」と小松菜を手に振り返った。
…燭台切のジャージに慣れすぎじゃない?
「夕餉の後、この小松菜でおひたしを作りましょうか」
「他の食材もあるし、ちょうどいいね。僕も手伝うよ」
なんて、燭台切のジャージを着ているのが当たり前のように“燭台切”と会話している。向こうでは燭台切と並んでるところは見てなかったからか、逆に俺がその光景が新鮮に見えた。
…っていうか、やっぱ俺のを貸した方が良かったんじゃない?
その方がもっと面白いものが見れた気がする。俺に似せた髪型にも出来ただろうし。“俺”と並んで“加州清光”が3振り、なんて見せられたかもしれないし。ホント残念。
「薙は荷物を置きに行くがてら、加州様に本丸を案内したら?」
「そうします。今度は私が案内するね」
玄関に仮置きしていた巫女服なんかを取りに行って、「こっちだよ」と手を引かれて歩いていく。
へぇ、ここが薙の部屋かぁ。
ほんのり残るお香の匂い。「さすがに女の人の部屋には入れないよね」と廊下で待つ俺の前で、てきぱきと風呂敷を解いて巫女服を衣紋掛けに通して、「今度はこっち」と再び俺の手を引いた。
「まずはもふ丸を探しに行かないと」
「もふ丸に会うの、ちょっと楽しみかも」
「結果的にいい機会になったね」と本丸内を進んでいく。もふ丸は自由に動き回っているらしく、どこにいるのか分からない、とのことだった。ただひとりで行動しないように、とは言っているらしい。
ある程度本丸を見て回った後、「多分あそこかな~」と向かったのは稽古場。いつかの演練に訪れたこの場所に、俗に言う俺たち“新選組”は全振りここにいた。そして、最初に俺たちに気付いたのは“俺”だった。
「…何でそうなったわけ?」
俺だから分かる。どうして薙が燭台切のジャージを着ているのか、どうして俺がいるのか、その言葉には2つの意味が含まれてる。
「“彼氏の服借りました”感満載じゃん」
さすがは“加州清光”、感性は同じらしい。俺も思っていたことを口にした。
「俺の内番服着せた方が面白かったんじゃない?」
何となく“俺”に会うのが気まずいって思ってたけど、まさかここまで思考回路が似てるとは思わず吹き出してしまった。語らずとも通じ合って「やっぱそう思うー?」と同じ声で笑い合った。
意味が分かっていない“安定”はきょとんとしている。“安定”は俺の知る安定とは少し雰囲気が違う。安定より距離が近いというか、同じ男士でも環境に違いがあれば多少はそれを感じ取れるものなんだと気付いた。
“俺”同士で話す横で、薙がきょろきょろと辺りを見回す。そういえばもふ丸らしき姿は見えない。“長曽祢”さん曰く、昼餉の後に“陸奥守”と将棋を打った後、そのまま一緒にどこかへ行ったらしい。
「陸奥は部屋にいなかったし、うーん…」
「茶々丸のところじゃないですか?」
「あ、そうかも」
「せっかくだし、“そっち”も行ってくれば?」
今のところ俺を“そっち”と呼ぶ“俺”の提案で、薙について行くことになった。茶々丸は“小夜”が現世遠征でお迎えしたミニウサギで、“江雪”と“宗三”と一緒に面倒を見ていると教えてくれた。ペットを飼っている本丸は今のところ他に聞いたことがないからか、これも新鮮に思う。
来た道を戻って途中で曲がり、そこへと着く。障子越しに声を掛けるまでもなく、「薙!」ともふ丸らしき声が聞こえた。
「おかえりなさ、い?!」
ぽかんとするもふ丸と“左文字兄弟”に「ただいま」と声を掛ける。やっぱりみんなが固まって、やっぱり薙も至って普通に茶々丸の背中を撫でた。そうして今度は俺に視線が集まる。
「えーと、お邪魔してます」
「綾菜さんの本丸の“清光”くんですね」
「そ。見送り兼荷物持ちで来たってとこかな」
ドッキリのことには触れないでおく。
薙の恰好に“江雪”は「お似合いですよ」と控えめに笑み、“宗三”も「色々あったようですね」と苦笑いを見せた。“小夜”も「“燭台切”さんと“大倶利伽羅”さんの服ですね」と当ててみせた。
「撫でてもいい?」
「どうぞ!」
お言葉に甘えて、そっともふ丸を撫でてみる。思ってたより大きくて、柔らかくて、動物特有の温かさ。しばらく堪能させてもらった後、肩に乗るのが大好きだと俺の肩によじ登ってきた。
「へぇ、いつも薙ってこうしてるんだ」
「話せなかった頃は、もふ丸がいないとみんなと交流出来なかったんだ」
そういえばそうだった。それでもこの本丸の男士、遥さんが見守ってきたから薙はここまでこれたんだと思う。こんな形で他の本丸の温もりを感じられるとは思わなくて、今度は茶々丸を撫でさせてもらった。俺の本丸にはない癒しをもらえた気がした。
「薙、そろそろ…」
ある程度反応も見れたことだし、時間も時間だ。ちょっと名残惜しいけどまたこの本丸に行く機会はきっとある。本丸に戻ると伝えると、「そうだね」と薙と一緒にこの部屋を後にした。
