女性審神者の名前です。
撫子 太陽の当たる場所
空欄の場合はデフォルト名になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~“加州清光”side~
そこには短刀が大勢いた。奴らの相手をしているのは三日月だったり長谷部だったり浦島だったり、色んな刀種と稽古をしている。終わったらそのまま風呂に入って夕餉ってところだろう。
「紅葉薙さん…?」
燭台切のジャージを着ている薙の姿に目を丸くした物吉と一期。傍には飲み物とタオル、今日はこの2振りが手合わせする男士たちの世話をしてるらしい。
物吉に勧められた場所に座った薙の隣に座ってしばらく様子を見つつ、ちらりと薙を見ると一期と話しながらも外見的に年下の男士たちを心配そうに見つめていた。まるで姉みたいだ。
へー、薙ってそういう顔もするんだ。
「全部取って食われた~…」
しばらくすると、いい線をいっていたはずの博多が負けて、肩を押さえてながら目じりに涙を浮かべてこちらに戻って来る。負けた悔しさの涙じゃない。その異変に気付いた一期が駆け寄る。相手をしていた長谷部も「すまん、少々やりすぎた」と謝った。それに博多が長谷部を心配させまいと「怪我はつきもんばい」とそこを擦る。
「ばってん、いつもより違う感じがするばい…」
「薬研を呼んで来よう。1振りで手入部屋へ行けるか?」
頷いた博多と立ち上がった一期。薙は少し戸惑った後、口を開いた。
「あの、ちょっといいですか?」
「紅葉薙殿?」
「ちょっとごめんね」と肩に手を当てる。何の為に何をしているのか分からなかった。
「鎖骨にヒビが入ってます」
「分かるのか?」
「えぇ、まぁ…」
「明後日の遠征がぁ~」と本当に泣きそうな博多。少し考えた後、「遠征を控えてるなら仕方ないよね」と自分を言い聞かせるように再び博多の肩に手を当てた。
「今、治します」
「は?」
手合わせを続ける奴らを背に、素っ頓狂な声を上げてしまった。俺たちは治癒能力があるのは白山吉光だけしか知らない。薙にも同じ力があると聞いていなかったし、ただただ驚くしかなかった。
鎖骨に手を当て、目を閉じて集中する薙。時々骨に響かない程度に撫でたりしているうちに、博多の表情がみるみるうちに明るくなっていく。
「…どうかな?」
「もう痛うなかよ!」
満面の笑みで肩回しをする博多に、一期も長谷部も俺も安堵のため息をついた。
「感謝するばい!」
「私からもお礼を言わせて下さい。紅葉薙殿、ありがとうございます」
「お役に立てて良かったです」
念の為、今日明日はあまり肩に負担を掛けることは控えてほしいと伝えた薙。刀剣の付喪神でもあくまでも俺たちは人の身を得た存在だから、自然治癒能力が衰えない為にもよっぽどのことがない限りは人間と同じ手当てで済ませているらしい。今回は例外、とのこと(遥さんは除く)。
「みんな、今日はここまで!」
主がやって来た。いつも主はタイミングを見てちゃんと稽古場に声を掛けに来てくれる。ちなみに、過去には声を掛けても白熱しすぎて手合わせを止めない同田貫と和泉守に、盛大に水を掛けて強制的に終わらせたこともあったりした(もちろん掃除はその2振りと堀川)。
「主、大変申し訳ございません!!」
「どしたの?」
「博多に怪我をさせてしまいました…!この長谷部、処罰は何なりとお受けしま…」
「博多、元気だけど?」
博多は「俺はもう何ともなかよ」と土下座する長谷部の肩をぽんぽんと叩き、それに頭を上げた長谷部は言ってもいいものかと薙を見た。薙も怒られるのを覚悟したらしく、慌てて頭を下げる。
「博多さんが遠征を控えていると聞いて、治させていただきました」
「治した」と聞いてぽかんとした後、真顔になったかと思えば「ありがと~!」と薙に抱き着いた。
「博多がいないと資源回収が上手く出来ない遠征なんだよ~!薙ちゃん、ホントありがとう…!」
「感謝の気持ちが止まらない!」と頬ずりまでし出して、主のスキンシップが爆発している。どう反応したらいいのか分からない薙が固まるのももっともだと思う。
「はい主、そこまで」
頬にキスをまでしそうな勢いだったから今度は俺が止めた。案の定長谷部は顔を赤くしている。心なしか羨ましそうに見えたのは見なかったことにしとく。
「マッハで何かお菓子作って来る!薙ちゃん持ってって!」
有無を言わさずダッシュで厨に向かった主を、薙は固まったまま見送った。
「薙、何て言うかごめん」
「大、丈夫…」
「まぁ、そうとしか言えないよね」とため息をついて薙に手を差し出した。
とりあえず部屋に戻ることになって、その途中に陸奥守が全速力で庭を突っ走っていくのが見えた。主に巻き込まれたと見た。
「何か遥さんらしいかも」
「どの本丸の小夜くんは可愛いよ」
歴防本部に行った時の話だったり、薙の本丸に紫さんの本丸の男士が演練で来て、左文字兄弟が“小夜左文字”の面倒を見ていたとか、色々話をしているところに冷茶を持って来たのは安定だった。しっかりと俺と安定の分もあるし、俺の様子見も兼ねて来たんだと思う。
「巫女服はあと少しで洗濯が終わるよ。鶴丸が洗濯機の前で待機中」
「巫女服はいいとして、主は何作ってんの?」
「小豆と謙信とスコーン作ってる」
「あー、先週食べたやつね」
稽古場を見学していたこともあって、薙の戦い方、どんな手合わせをしているのかとか盛り上がっていたら、鶴丸と太鼓鐘がやって来た。巫女服は何故か風呂敷に包まれていて、にやにやと何かを企んでいる顔をしている。
「紅葉薙、俺たちと驚きをもたらさないか?」
薙は風呂敷と自身が着ているジャージを交互に見て、満更でもない表情を見せた。
「面白そうだね。反応が見れないのは残念だけど、きっと紅葉薙の本丸の男士はすっごく驚くだろうね」
「燭台切と大倶利伽羅の許可もらったの?あと主」
「あぁ」
「むしろ話しにいったら主さんからも提案あったぜ」
燭台切と大倶利伽羅は置いといて、話はこうだ。荷物持ちという名目で誰かが送りに行って、一通りあっちの男士を驚かせたら燭台切のジャージを回収して撤収、ってことらしい。薙は洗って返すって言うだろうし、回収は理解出来る。…とは言っても。
「陸奥守がいっぱい写真撮ってたじゃん。それ見せれば良くない?」
「それじゃ足りないだろう」
足りないって、何が?
もう突っ込むのは諦めようかと思ったその時、「間に合ったぁ!」と文字通り滑って来た主。かと思えば、「ってことだから」と俺を見た。
「清光、行って来て」
「はぁっ?!」
「ってことであたしは遥ちゃんに連絡して来る」
「ちょっ、何で俺なわけ?!他に適任者いるでしょ?!」
「鶴丸か太鼓鐘が行けばいいじゃん!」なんて抗議も空しく、主は鼻歌交じりに執務室に行っちゃって、その2振りも「じゃ、よろしくなー」と手をひらひらと振って去って行った。陸奥守とは違う意味で巻き込まれた俺を、薙はにこにこと見ている。
主たち、最初っからこうするつもりだったでしょ…!
それからしばらくして、俺は風呂敷に包まれた巫女服を持って転送装置の前にいた。隣では薙が見送りに来た奴らに手を振ったり軽く頭を下げたりしている。
「ま、楽しんで来るとえい」
陸奥守が籠に大量のじゃがいもをごろごろと入れた。更に桑名が採れたての茄子を、愛染は採れたての小松菜を追加した(お詫びらしい)。そして小豆と謙信が薙にパウンドケーキのレシピとスコーンを手渡す。
「皆さま、ありがとうございました」
「じゃ、清光ヨロシク!」
「はーい…」
そんな見送りをされて、腑に落ちないまま転送装置のボタンを押した。
そこには短刀が大勢いた。奴らの相手をしているのは三日月だったり長谷部だったり浦島だったり、色んな刀種と稽古をしている。終わったらそのまま風呂に入って夕餉ってところだろう。
「紅葉薙さん…?」
燭台切のジャージを着ている薙の姿に目を丸くした物吉と一期。傍には飲み物とタオル、今日はこの2振りが手合わせする男士たちの世話をしてるらしい。
物吉に勧められた場所に座った薙の隣に座ってしばらく様子を見つつ、ちらりと薙を見ると一期と話しながらも外見的に年下の男士たちを心配そうに見つめていた。まるで姉みたいだ。
へー、薙ってそういう顔もするんだ。
「全部取って食われた~…」
しばらくすると、いい線をいっていたはずの博多が負けて、肩を押さえてながら目じりに涙を浮かべてこちらに戻って来る。負けた悔しさの涙じゃない。その異変に気付いた一期が駆け寄る。相手をしていた長谷部も「すまん、少々やりすぎた」と謝った。それに博多が長谷部を心配させまいと「怪我はつきもんばい」とそこを擦る。
「ばってん、いつもより違う感じがするばい…」
「薬研を呼んで来よう。1振りで手入部屋へ行けるか?」
頷いた博多と立ち上がった一期。薙は少し戸惑った後、口を開いた。
「あの、ちょっといいですか?」
「紅葉薙殿?」
「ちょっとごめんね」と肩に手を当てる。何の為に何をしているのか分からなかった。
「鎖骨にヒビが入ってます」
「分かるのか?」
「えぇ、まぁ…」
「明後日の遠征がぁ~」と本当に泣きそうな博多。少し考えた後、「遠征を控えてるなら仕方ないよね」と自分を言い聞かせるように再び博多の肩に手を当てた。
「今、治します」
「は?」
手合わせを続ける奴らを背に、素っ頓狂な声を上げてしまった。俺たちは治癒能力があるのは白山吉光だけしか知らない。薙にも同じ力があると聞いていなかったし、ただただ驚くしかなかった。
鎖骨に手を当て、目を閉じて集中する薙。時々骨に響かない程度に撫でたりしているうちに、博多の表情がみるみるうちに明るくなっていく。
「…どうかな?」
「もう痛うなかよ!」
満面の笑みで肩回しをする博多に、一期も長谷部も俺も安堵のため息をついた。
「感謝するばい!」
「私からもお礼を言わせて下さい。紅葉薙殿、ありがとうございます」
「お役に立てて良かったです」
念の為、今日明日はあまり肩に負担を掛けることは控えてほしいと伝えた薙。刀剣の付喪神でもあくまでも俺たちは人の身を得た存在だから、自然治癒能力が衰えない為にもよっぽどのことがない限りは人間と同じ手当てで済ませているらしい。今回は例外、とのこと(遥さんは除く)。
「みんな、今日はここまで!」
主がやって来た。いつも主はタイミングを見てちゃんと稽古場に声を掛けに来てくれる。ちなみに、過去には声を掛けても白熱しすぎて手合わせを止めない同田貫と和泉守に、盛大に水を掛けて強制的に終わらせたこともあったりした(もちろん掃除はその2振りと堀川)。
「主、大変申し訳ございません!!」
「どしたの?」
「博多に怪我をさせてしまいました…!この長谷部、処罰は何なりとお受けしま…」
「博多、元気だけど?」
博多は「俺はもう何ともなかよ」と土下座する長谷部の肩をぽんぽんと叩き、それに頭を上げた長谷部は言ってもいいものかと薙を見た。薙も怒られるのを覚悟したらしく、慌てて頭を下げる。
「博多さんが遠征を控えていると聞いて、治させていただきました」
「治した」と聞いてぽかんとした後、真顔になったかと思えば「ありがと~!」と薙に抱き着いた。
「博多がいないと資源回収が上手く出来ない遠征なんだよ~!薙ちゃん、ホントありがとう…!」
「感謝の気持ちが止まらない!」と頬ずりまでし出して、主のスキンシップが爆発している。どう反応したらいいのか分からない薙が固まるのももっともだと思う。
「はい主、そこまで」
頬にキスをまでしそうな勢いだったから今度は俺が止めた。案の定長谷部は顔を赤くしている。心なしか羨ましそうに見えたのは見なかったことにしとく。
「マッハで何かお菓子作って来る!薙ちゃん持ってって!」
有無を言わさずダッシュで厨に向かった主を、薙は固まったまま見送った。
「薙、何て言うかごめん」
「大、丈夫…」
「まぁ、そうとしか言えないよね」とため息をついて薙に手を差し出した。
とりあえず部屋に戻ることになって、その途中に陸奥守が全速力で庭を突っ走っていくのが見えた。主に巻き込まれたと見た。
「何か遥さんらしいかも」
「どの本丸の小夜くんは可愛いよ」
歴防本部に行った時の話だったり、薙の本丸に紫さんの本丸の男士が演練で来て、左文字兄弟が“小夜左文字”の面倒を見ていたとか、色々話をしているところに冷茶を持って来たのは安定だった。しっかりと俺と安定の分もあるし、俺の様子見も兼ねて来たんだと思う。
「巫女服はあと少しで洗濯が終わるよ。鶴丸が洗濯機の前で待機中」
「巫女服はいいとして、主は何作ってんの?」
「小豆と謙信とスコーン作ってる」
「あー、先週食べたやつね」
稽古場を見学していたこともあって、薙の戦い方、どんな手合わせをしているのかとか盛り上がっていたら、鶴丸と太鼓鐘がやって来た。巫女服は何故か風呂敷に包まれていて、にやにやと何かを企んでいる顔をしている。
「紅葉薙、俺たちと驚きをもたらさないか?」
薙は風呂敷と自身が着ているジャージを交互に見て、満更でもない表情を見せた。
「面白そうだね。反応が見れないのは残念だけど、きっと紅葉薙の本丸の男士はすっごく驚くだろうね」
「燭台切と大倶利伽羅の許可もらったの?あと主」
「あぁ」
「むしろ話しにいったら主さんからも提案あったぜ」
燭台切と大倶利伽羅は置いといて、話はこうだ。荷物持ちという名目で誰かが送りに行って、一通りあっちの男士を驚かせたら燭台切のジャージを回収して撤収、ってことらしい。薙は洗って返すって言うだろうし、回収は理解出来る。…とは言っても。
「陸奥守がいっぱい写真撮ってたじゃん。それ見せれば良くない?」
「それじゃ足りないだろう」
足りないって、何が?
もう突っ込むのは諦めようかと思ったその時、「間に合ったぁ!」と文字通り滑って来た主。かと思えば、「ってことだから」と俺を見た。
「清光、行って来て」
「はぁっ?!」
「ってことであたしは遥ちゃんに連絡して来る」
「ちょっ、何で俺なわけ?!他に適任者いるでしょ?!」
「鶴丸か太鼓鐘が行けばいいじゃん!」なんて抗議も空しく、主は鼻歌交じりに執務室に行っちゃって、その2振りも「じゃ、よろしくなー」と手をひらひらと振って去って行った。陸奥守とは違う意味で巻き込まれた俺を、薙はにこにこと見ている。
主たち、最初っからこうするつもりだったでしょ…!
それからしばらくして、俺は風呂敷に包まれた巫女服を持って転送装置の前にいた。隣では薙が見送りに来た奴らに手を振ったり軽く頭を下げたりしている。
「ま、楽しんで来るとえい」
陸奥守が籠に大量のじゃがいもをごろごろと入れた。更に桑名が採れたての茄子を、愛染は採れたての小松菜を追加した(お詫びらしい)。そして小豆と謙信が薙にパウンドケーキのレシピとスコーンを手渡す。
「皆さま、ありがとうございました」
「じゃ、清光ヨロシク!」
「はーい…」
そんな見送りをされて、腑に落ちないまま転送装置のボタンを押した。
