女性審神者の名前です。
撫子 太陽の当たる場所
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~“小夜左文字”side~
慣れ合いなんて無意味だと思ってた。ただ戦えればそれでいいと思ってた。戦って戦って、いつの日か“その日”を迎えられたら折れてもいいとすら思ってた。
“小夜くん、遥さんの本丸で演練をやることになったの。行きたい?”
“…行く”
復讐の為に色んな男士と刃を交えたい欲が強い僕はすぐにそう返した。向こうには“僕”もいると聞いて、どれほど復讐に燃えているのか知りたくもなった。
そしていざ向かってみると、もう1振りの“僕”には復讐の欠片もなかった。腹が立った。
どうして君には復讐の心がないの?
どうして君はそんな顔をしていられるの?
でも、手合わせとなると“僕”は復讐の色を見せた。
あぁ、落ち着く。
僕の心が満たされていった。やっぱり僕には戦いさえあればいいんだと思った。
…“江雪左文字”と“宗三左文字”が姿を見せるまでは。
「に、兄様…」
満たされたはずの心が揺らいだ。復讐しか考えていなかった自分が何だかちっぽけに見えた。ぽろぽろと涙が零れた。
そうか、僕は本当は寂しかったんだ。
そうか、だから“僕”はあんな顔をしてたんだ。
“兄様”たちは“僕”がいても本当の“弟”として接してくれた。心に宿っていた重いものが消えた気がした。
そうして僕は今、僕とは正反対の色を見せる花に囲まれている。
「この花は、現世遠征に行った時に買ったものなんだ」
“兄様”たちが縁側で見守る中、“僕”は色々教えてくれた。花以外のことも教えてくれた。かつての“僕”も僕と同じだったこと。“兄様”たちが気持ちを受け止めてくれて、安らぎを知ったこと。他の男士と接しているうちに、本丸は温かい場所なのだと気付いたこと。ちゃんと自分には居場所があること。それらが花壇に表れている。
「…僕にも、居場所が出来るかな」
「…出来るよ。君は僕と同じだから」
「そうだといいな…」
みんなが遊んでいる庭の方を見た。何をしているのかは分からないけれど、はしゃいでいる声が聞こえる。楽しそうにしているのを横目に見ていた時の感情が甦った。
…やっぱり僕は寂しかったんだな。
ふと秋田と一緒に茶々丸を撫でた時のことが頭を過って、今度は罪悪感が生まれた。
どうして僕は今までそっけない態度をとっていたんだろう。
どうして僕は勝手に距離を置いていたんだろう。
僕に向けてくれた秋田の笑顔が眩しく映った。僕はああいう笑顔を見せられないけれど、僕なりにそうしてみたい気持ちが芽生えてきた。そうなれるところに行きたいと思った。
「…行こう、みんなのところへ」
“僕”に手を引かれてみんなのところへ向かった。
「あっ、小夜くんが来ましたよ!」
前田が手を振ってくれて、2振りでそこに混じった。
僕は1振りで過ごしていたから知らない遊びばかりだ。薬研同士が薬品について意見交換をしたりと過ごし方は様々みたいで、“一期一振”が見守っていて、そこに“江雪兄様”と“宗三兄様”も加わった。紅葉薙さんも飲み物とお菓子を持って来てくれて、遊びの合間に休憩している男士はそれを楽しんでいる。紅葉薙さんがお菓子を勧めてくれて、僕はひとまずその輪に入った。
「小夜も一緒に遊ぼうぜ!“9マス鬼ごっこ”ってのがすっげぇ楽しいんだ!」
厚がタオルで汗を拭いながら誘ってくれた。何でもこの本丸で流行っている遊びみたいだけれど、勇気が出ない。“兄様”たちに背中を押され、木刀と笠を預けて参加してみた。
「せーのっ!」
「いったーい!」
「…ご、ごめん」
「そういうげーむだからきにしなくていいんですよー!」
僕たちの本丸にいない“岩融”に抱きついて甘える今剣が声を飛ばしてくれた。“両手に今剣”の“岩融”は豪快に笑っている。
色んな遊びをして、みんなと話していくうちに別の意味で心が満たされていくのが分かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていって、本丸に戻る時間がやってきた。あるじが「忘れ物はないかちゃんと確認しましょうね」と1振り1振り見て回る様子に遥さんは「あっても転送すればいいよ」と笑っている。そうしてあるじが僕のところにやって来て、しゃがんで視線を合わせる。
「…あるじ」
「なぁに?」
「…ごめんなさい」
ぎゅっとあるじに抱きついた。お香の良い匂いがして、温かい。これが居場所の香りなんだと気付いた。あるじも抱き返して、優しく背中を叩く。
「…わたしこそごめんね。頑張るから、もうちょっと待っててね」
「…大丈夫。みんながいるから。…だから、安心して」
忘れ物はここにあった。ちゃんと拾えた。だから、大丈夫。
もう少しだけ強く抱きしめたら、あるじは何度も頷いた。
「…これ、あげる」
みんながそれぞれ別れの挨拶をしている中、“僕”が何やら短冊のようなものを3枚差し出した。
「…本丸で育てた花で作った押し花のしおりなんだ」
「…いいの?」
「…“江雪兄様”と“宗三兄様”が来たら、これをあげて。きっと“兄様”たちも喜ぶと思う」
「…ありがとう」
「…じゃあ、またね」
みんなが改めてお礼を言って本丸に帰ってすぐに、部屋に“僕”がくれたしおりを壁に飾った。
空色の花のしおりは、江雪兄様に。
桃色の花のしおりは、宗三兄様に。
「小夜くん、夕餉までまだ時間があるから一緒に遊ぼ!」
乱に誘われて、「うん」と粟田口の部屋へ向かう。この日はかるたで遊んで、明日は一緒に手合わせもすることになって、その後はトランプで遊ぶことになった。江雪兄様と宗三兄様が顕現したら、どうやって過ごしたいかみんなに話すことも出来た。
兄様たち、僕はいつまでも待てるよ。だから、安心して。
慣れ合いなんて無意味だと思ってた。ただ戦えればそれでいいと思ってた。戦って戦って、いつの日か“その日”を迎えられたら折れてもいいとすら思ってた。
“小夜くん、遥さんの本丸で演練をやることになったの。行きたい?”
“…行く”
復讐の為に色んな男士と刃を交えたい欲が強い僕はすぐにそう返した。向こうには“僕”もいると聞いて、どれほど復讐に燃えているのか知りたくもなった。
そしていざ向かってみると、もう1振りの“僕”には復讐の欠片もなかった。腹が立った。
どうして君には復讐の心がないの?
どうして君はそんな顔をしていられるの?
でも、手合わせとなると“僕”は復讐の色を見せた。
あぁ、落ち着く。
僕の心が満たされていった。やっぱり僕には戦いさえあればいいんだと思った。
…“江雪左文字”と“宗三左文字”が姿を見せるまでは。
「に、兄様…」
満たされたはずの心が揺らいだ。復讐しか考えていなかった自分が何だかちっぽけに見えた。ぽろぽろと涙が零れた。
そうか、僕は本当は寂しかったんだ。
そうか、だから“僕”はあんな顔をしてたんだ。
“兄様”たちは“僕”がいても本当の“弟”として接してくれた。心に宿っていた重いものが消えた気がした。
そうして僕は今、僕とは正反対の色を見せる花に囲まれている。
「この花は、現世遠征に行った時に買ったものなんだ」
“兄様”たちが縁側で見守る中、“僕”は色々教えてくれた。花以外のことも教えてくれた。かつての“僕”も僕と同じだったこと。“兄様”たちが気持ちを受け止めてくれて、安らぎを知ったこと。他の男士と接しているうちに、本丸は温かい場所なのだと気付いたこと。ちゃんと自分には居場所があること。それらが花壇に表れている。
「…僕にも、居場所が出来るかな」
「…出来るよ。君は僕と同じだから」
「そうだといいな…」
みんなが遊んでいる庭の方を見た。何をしているのかは分からないけれど、はしゃいでいる声が聞こえる。楽しそうにしているのを横目に見ていた時の感情が甦った。
…やっぱり僕は寂しかったんだな。
ふと秋田と一緒に茶々丸を撫でた時のことが頭を過って、今度は罪悪感が生まれた。
どうして僕は今までそっけない態度をとっていたんだろう。
どうして僕は勝手に距離を置いていたんだろう。
僕に向けてくれた秋田の笑顔が眩しく映った。僕はああいう笑顔を見せられないけれど、僕なりにそうしてみたい気持ちが芽生えてきた。そうなれるところに行きたいと思った。
「…行こう、みんなのところへ」
“僕”に手を引かれてみんなのところへ向かった。
「あっ、小夜くんが来ましたよ!」
前田が手を振ってくれて、2振りでそこに混じった。
僕は1振りで過ごしていたから知らない遊びばかりだ。薬研同士が薬品について意見交換をしたりと過ごし方は様々みたいで、“一期一振”が見守っていて、そこに“江雪兄様”と“宗三兄様”も加わった。紅葉薙さんも飲み物とお菓子を持って来てくれて、遊びの合間に休憩している男士はそれを楽しんでいる。紅葉薙さんがお菓子を勧めてくれて、僕はひとまずその輪に入った。
「小夜も一緒に遊ぼうぜ!“9マス鬼ごっこ”ってのがすっげぇ楽しいんだ!」
厚がタオルで汗を拭いながら誘ってくれた。何でもこの本丸で流行っている遊びみたいだけれど、勇気が出ない。“兄様”たちに背中を押され、木刀と笠を預けて参加してみた。
「せーのっ!」
「いったーい!」
「…ご、ごめん」
「そういうげーむだからきにしなくていいんですよー!」
僕たちの本丸にいない“岩融”に抱きついて甘える今剣が声を飛ばしてくれた。“両手に今剣”の“岩融”は豪快に笑っている。
色んな遊びをして、みんなと話していくうちに別の意味で心が満たされていくのが分かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていって、本丸に戻る時間がやってきた。あるじが「忘れ物はないかちゃんと確認しましょうね」と1振り1振り見て回る様子に遥さんは「あっても転送すればいいよ」と笑っている。そうしてあるじが僕のところにやって来て、しゃがんで視線を合わせる。
「…あるじ」
「なぁに?」
「…ごめんなさい」
ぎゅっとあるじに抱きついた。お香の良い匂いがして、温かい。これが居場所の香りなんだと気付いた。あるじも抱き返して、優しく背中を叩く。
「…わたしこそごめんね。頑張るから、もうちょっと待っててね」
「…大丈夫。みんながいるから。…だから、安心して」
忘れ物はここにあった。ちゃんと拾えた。だから、大丈夫。
もう少しだけ強く抱きしめたら、あるじは何度も頷いた。
「…これ、あげる」
みんながそれぞれ別れの挨拶をしている中、“僕”が何やら短冊のようなものを3枚差し出した。
「…本丸で育てた花で作った押し花のしおりなんだ」
「…いいの?」
「…“江雪兄様”と“宗三兄様”が来たら、これをあげて。きっと“兄様”たちも喜ぶと思う」
「…ありがとう」
「…じゃあ、またね」
みんなが改めてお礼を言って本丸に帰ってすぐに、部屋に“僕”がくれたしおりを壁に飾った。
空色の花のしおりは、江雪兄様に。
桃色の花のしおりは、宗三兄様に。
「小夜くん、夕餉までまだ時間があるから一緒に遊ぼ!」
乱に誘われて、「うん」と粟田口の部屋へ向かう。この日はかるたで遊んで、明日は一緒に手合わせもすることになって、その後はトランプで遊ぶことになった。江雪兄様と宗三兄様が顕現したら、どうやって過ごしたいかみんなに話すことも出来た。
兄様たち、僕はいつまでも待てるよ。だから、安心して。
