女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~薙side~
しばらくして。三日月さん、一期さん、鯰尾くん、骨喰くん、にっかりさんに集まってもらった。これからどんな話をされるのか予想はついていたようだ。
まずはにっかりさん。
「残念だけど、僕は何も感じられなかったんだよ。僕に力がもっとあれば助けられたんだろうけどね」
次に鯰尾くん、一期さん、骨喰くん。
「えーと、何て言うか…。薙さんを見ていて安心感はあったんです。でもどうしてか分からなかったんですよね。でもいち兄は…」
「薙殿とはこの本丸で初めて会ったはずなのに、その感覚がなかったと言えば良いのでしょうか。薙殿は弟たちの面倒を見てくれていましたから、最初はその影響かと思っておりました。ですが徐々にそれにも違和感を覚えまして…」
「皆が知る通り、俺には記憶がほとんどない。恐らくそのせいで感じるものが何もなかったんだと思う。すまない」
思っていた通り、一期さんは鯰尾くんと伝えてみようと話し合ったものの、タイミングが合わず、記憶で再び苦しむようになった私を混乱させるわけにはいかないと判断して今日に至ったとのことだった。
「私も力不足だったので仕方のないことだと思います。気を遣わせてしまってすみません…」
そして最後に、三日月さんに話を聞いてみる。
「…じじいだからな」
それだけ言って緑茶を啜った。
この本丸で1番繋がりのある刀剣なのに、こうして同じ場にいても未だに何も感じ取れない。
「歴防本部で薙が席を外してる時に長義様たちと話したんだけど、三条宗近と埋忠明寿は代が離れ過ぎてるのが原因じゃないか、って」
「なるほど…?」
そうして、今までのことを整理しつつ意見を出し合うことになった。結論は、「同じ大阪城にいたとはいえ、薙と皆は物理的にも離れた場所にいたから分かりにくかったのではないか」だった。
私はずっと本体の傍にいた。姫様もみんながいる(保管されている)ところへ、“三日月宗近”を所持していた豊臣秀吉公の正室である北政所の元へ行く機会もなかった。立場的にも無理があっただろう。それでもにっかりさんと愛染さんに感じられるものがあったのは奇跡に近いと思う。
「話は終わったかえ?」
“幕末組”と呼ばれている男士がいるなら、“大阪城組”を結成してもいいかもね、などと少し談笑した後、部屋を出ると陸奥守がカメラを片手に廊下で待っていた。後ろから「あっ…」と主様の声が聞こえたのと同時に、陸奥守が嬉々としてむこうを指さした。
「ほれ、あっちを見とーせ」
「?」
隣に立つ三日月さんがそちらを見て目を細めた。
「薙さーん!」
「薙殿!」
「薙さん」
「薙殿」
今剣ちゃん、岩融さん、石切丸さん、小狐丸さんの“三条派”がそれぞれ笑みを浮かべている。今剣ちゃんはぴょんぴょん跳ねながら「しゃしんとりますよー!」と大きく手を振っている。
「ゆくぞ、薙」
そっと背中を押され、とびっきりの笑顔で手を振り返して三日月さんとみんながいるところへ向かう。待ちきれないのか、今剣ちゃんが走って来て、それに岩融さんたちも続いて来た。
「三条派が増えた記念やき、いっぱい撮るぜよ」
まずは池の近くで並んで撮り、その途中で大倶利伽羅さんが通り過ぎた。ほんの一瞬私を見た後、無言でその場を去って行った彼の横顔はあの時と同じく、優しかった。
庭で数枚撮った後、最後は縁側へ。真ん中に座らせてくれて、隣に三日月さんが座ったかと思えば実に祖父らしい言葉が飛んできた。
「俺の膝に乗るか?」
「へっ、あっ、さすがにっ…!」
「はっはっは。冗談だ」
冗談には聞こえなかったような…。
「じゃあ、ぼくが薙さんのひざにすわったしゃしんもとってほしいです!」
「あぁ、任せちょけ!」
「もうちっと寄っとーせ」なんて言われながら何枚も撮った。「撮りすぎだよ」と笑っても、「こういうもんはなんぼ撮ってもえいぜよ」と角度を変えたり、この様子を見掛けた平野くんと前田くんが小道具も兼ねてお茶とお茶菓子を持って来てくれたりと、とても賑やかな時間を過ごした。粟田口のみんなと過ごすのももちろん楽しいけれど、心から笑って過ごせたのは初めてだった。
「…薙」
三条派のみんなと食べた夕餉も終えて部屋に戻ると、部屋の前には鳴狐さんが立っていた。キツネさんはいない。
「…刀派が分かって、良かったね」
優しく頭を撫でてくれた。その温もりは抱き締められた日をしっかりと思い出すには充分なもので、恥ずかしくなって視線を反らすと、「…それでも」と私をじっと見つめた。顔が熱い。
「…それでも薙は、鳴狐にとって姪なのは変わらないから。…困ったことがあったら、鳴狐にも頼って」
「ありがとう、ございます…」
「…これからも、よろしく」
おずおずと顔を上げてみれば、鳴狐さんはすっと小さく笑んでいた。その表情は今まで見たことがなくて、更に顔が熱くなる。
孫で、姪で、姉かぁ。
刀派が分かったらこれまでの関係が崩れるんじゃないかと不安になっていたけれど、それは杞憂だった。
こそばゆくて、でも嬉しい。本当の家族みたいだ。
そう思ったらこれまでの生活を振り返りたくなって、もふ丸と一緒にアルバムを捲ってみる。
「こんなこともありましたね」
「私の胸に薬研くんの顔が当たっちゃったこともあったね」
陸奥守が撮ってくれた写真の数々は、そう思ってからはもっと鮮やかに映った。花見をした時の写真、もやもやしたものを抱えていながらも、粟田口のみんなと遊んでいる時の写真。縁側で遊ぶ短刀くんたちを見守る姿、手合わせの時のもの。陸奥守も良くシャッターを押すタイミングを逃さなかったと思う。
もふ丸と「あの時はこうだった」「こう思ってた」などと盛り上がりながら見ていたらお風呂に入る時間になって、思い出に浸りながら内湯へと向かった。
しばらくして。三日月さん、一期さん、鯰尾くん、骨喰くん、にっかりさんに集まってもらった。これからどんな話をされるのか予想はついていたようだ。
まずはにっかりさん。
「残念だけど、僕は何も感じられなかったんだよ。僕に力がもっとあれば助けられたんだろうけどね」
次に鯰尾くん、一期さん、骨喰くん。
「えーと、何て言うか…。薙さんを見ていて安心感はあったんです。でもどうしてか分からなかったんですよね。でもいち兄は…」
「薙殿とはこの本丸で初めて会ったはずなのに、その感覚がなかったと言えば良いのでしょうか。薙殿は弟たちの面倒を見てくれていましたから、最初はその影響かと思っておりました。ですが徐々にそれにも違和感を覚えまして…」
「皆が知る通り、俺には記憶がほとんどない。恐らくそのせいで感じるものが何もなかったんだと思う。すまない」
思っていた通り、一期さんは鯰尾くんと伝えてみようと話し合ったものの、タイミングが合わず、記憶で再び苦しむようになった私を混乱させるわけにはいかないと判断して今日に至ったとのことだった。
「私も力不足だったので仕方のないことだと思います。気を遣わせてしまってすみません…」
そして最後に、三日月さんに話を聞いてみる。
「…じじいだからな」
それだけ言って緑茶を啜った。
この本丸で1番繋がりのある刀剣なのに、こうして同じ場にいても未だに何も感じ取れない。
「歴防本部で薙が席を外してる時に長義様たちと話したんだけど、三条宗近と埋忠明寿は代が離れ過ぎてるのが原因じゃないか、って」
「なるほど…?」
そうして、今までのことを整理しつつ意見を出し合うことになった。結論は、「同じ大阪城にいたとはいえ、薙と皆は物理的にも離れた場所にいたから分かりにくかったのではないか」だった。
私はずっと本体の傍にいた。姫様もみんながいる(保管されている)ところへ、“三日月宗近”を所持していた豊臣秀吉公の正室である北政所の元へ行く機会もなかった。立場的にも無理があっただろう。それでもにっかりさんと愛染さんに感じられるものがあったのは奇跡に近いと思う。
「話は終わったかえ?」
“幕末組”と呼ばれている男士がいるなら、“大阪城組”を結成してもいいかもね、などと少し談笑した後、部屋を出ると陸奥守がカメラを片手に廊下で待っていた。後ろから「あっ…」と主様の声が聞こえたのと同時に、陸奥守が嬉々としてむこうを指さした。
「ほれ、あっちを見とーせ」
「?」
隣に立つ三日月さんがそちらを見て目を細めた。
「薙さーん!」
「薙殿!」
「薙さん」
「薙殿」
今剣ちゃん、岩融さん、石切丸さん、小狐丸さんの“三条派”がそれぞれ笑みを浮かべている。今剣ちゃんはぴょんぴょん跳ねながら「しゃしんとりますよー!」と大きく手を振っている。
「ゆくぞ、薙」
そっと背中を押され、とびっきりの笑顔で手を振り返して三日月さんとみんながいるところへ向かう。待ちきれないのか、今剣ちゃんが走って来て、それに岩融さんたちも続いて来た。
「三条派が増えた記念やき、いっぱい撮るぜよ」
まずは池の近くで並んで撮り、その途中で大倶利伽羅さんが通り過ぎた。ほんの一瞬私を見た後、無言でその場を去って行った彼の横顔はあの時と同じく、優しかった。
庭で数枚撮った後、最後は縁側へ。真ん中に座らせてくれて、隣に三日月さんが座ったかと思えば実に祖父らしい言葉が飛んできた。
「俺の膝に乗るか?」
「へっ、あっ、さすがにっ…!」
「はっはっは。冗談だ」
冗談には聞こえなかったような…。
「じゃあ、ぼくが薙さんのひざにすわったしゃしんもとってほしいです!」
「あぁ、任せちょけ!」
「もうちっと寄っとーせ」なんて言われながら何枚も撮った。「撮りすぎだよ」と笑っても、「こういうもんはなんぼ撮ってもえいぜよ」と角度を変えたり、この様子を見掛けた平野くんと前田くんが小道具も兼ねてお茶とお茶菓子を持って来てくれたりと、とても賑やかな時間を過ごした。粟田口のみんなと過ごすのももちろん楽しいけれど、心から笑って過ごせたのは初めてだった。
「…薙」
三条派のみんなと食べた夕餉も終えて部屋に戻ると、部屋の前には鳴狐さんが立っていた。キツネさんはいない。
「…刀派が分かって、良かったね」
優しく頭を撫でてくれた。その温もりは抱き締められた日をしっかりと思い出すには充分なもので、恥ずかしくなって視線を反らすと、「…それでも」と私をじっと見つめた。顔が熱い。
「…それでも薙は、鳴狐にとって姪なのは変わらないから。…困ったことがあったら、鳴狐にも頼って」
「ありがとう、ございます…」
「…これからも、よろしく」
おずおずと顔を上げてみれば、鳴狐さんはすっと小さく笑んでいた。その表情は今まで見たことがなくて、更に顔が熱くなる。
孫で、姪で、姉かぁ。
刀派が分かったらこれまでの関係が崩れるんじゃないかと不安になっていたけれど、それは杞憂だった。
こそばゆくて、でも嬉しい。本当の家族みたいだ。
そう思ったらこれまでの生活を振り返りたくなって、もふ丸と一緒にアルバムを捲ってみる。
「こんなこともありましたね」
「私の胸に薬研くんの顔が当たっちゃったこともあったね」
陸奥守が撮ってくれた写真の数々は、そう思ってからはもっと鮮やかに映った。花見をした時の写真、もやもやしたものを抱えていながらも、粟田口のみんなと遊んでいる時の写真。縁側で遊ぶ短刀くんたちを見守る姿、手合わせの時のもの。陸奥守も良くシャッターを押すタイミングを逃さなかったと思う。
もふ丸と「あの時はこうだった」「こう思ってた」などと盛り上がりながら見ていたらお風呂に入る時間になって、思い出に浸りながら内湯へと向かった。
