女性審神者の名前です。
桜「僕たちって色んな逸話があったりするんだな」
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~薙side~
「お疲れ様~」
この本丸にいる全ての男士を見終え、主様のところへ向かっている途中で加州さんが声を掛けてくれた。そこにいるのは加州さんだけじゃない。歌仙さん、蜂須賀さん、山姥切さん…“始まりの五振り”と称される男士が縁側で並んで談笑していた。陸奥守さんも一緒にいるので、これで全振りが揃ったことになる。主様から連合を組んでいる審神者様の“始まりの一振り”はそれぞれ聞いてはいるけれど、実際に揃っているのを見ると圧巻だ。
「ちょうど昨日、良い茶葉が手に入ったんだ。紅葉薙も一服するかい?」
「主と遥さんのとこに戻るんだろうけどさ、頑張ったんだから寄り道したって怒られないよ」
「…そうですね。では、お言葉に甘えて」
「桜餅も一緒に楽しむといい」
主様も綾菜様もこういったことで怒るお方ではないし、貴重な機会なので一緒に過ごさせてもらうことになった。私が座ったのは加州さんの隣。私の横には陸奥守さん。まるで私たちの本丸のような顔ぶれに思わずふふっ、と笑ってしまった。私が大和守さんと同じ恰好なのもちょっと面白い。
「どうした?」
布を外し、美しい金髪を見せる山姥切さんが不思議そうに私を見る。
「私、陸奥守と清光くんと安定くんと一緒にいることが結構あって。同じだなー、って」
「ほーう、おまんはそっちのわしのことを呼び捨てにしちょるがか」
「まぁ、色々ありまして」
「不思議だね。何だかその光景が目に浮かぶよ」
雅にお茶を淹れてくれた歌仙さんが微笑む。
お茶をいただき、目を閉じた…のも束の間。…陸奥守を張り倒した記憶がぶわっと浮かんで口元が引きつった。
「えぇ、あいつは色々やらかしてくれましたよ、はい」
「えー、何が起きたの?」
私の口調で笑いだす加州さん。「ご想像にお任せします」と濁しておいたのに、「逆に気になるな」と山姥切さんが控えめに笑った。今度は私が目を丸くする番で、私の表情に「やはりな」と小さく溜息をつく。
「ね、陸奥守と紅葉薙の間に何があったの?俺たちにだけ教えてよ」
加州さんは興味津々だ。清光くんと比べると少し純粋な面が垣間見えた気がした(清光くんごめん)。
「…引かないで下さいね?」
「うん、約束する!」
「とある事件が起こって陸奥守を手入れ部屋行きにしたことがあります」
「は?!」
「あっ、引かないって約束したじゃないですか!」
1番反応が強かったのはやっぱり加州さん。歌仙さんも蜂須賀さんも山姥切さんも何が起こったのか想像がつかないみたいだ。唸りながら考え込んでいる。
「…痴話喧嘩かな?」
蜂須賀さんの真剣な問いにお茶を吹いた。虹が出来た。
「陸奥とはそんな関係じゃないです!」
「あり得ません!」「論外です!」と否定すればするほどこちらの陸奥守さんがへこんでいく。はっとして大慌てで弁明した。でも手遅れだった。いよいよ陸奥守さんから犬の尻尾と耳が生えた幻覚が見えて両手で顔を覆った。
「そっちのわしは何をしゆうがぜよ…」
「すみません…」
「土佐の男じゃろう!もっと堂々としちょればえいのに!」
「突っ込むのはそこじゃないと思います」
…あぁ、何かズレてるところは似てる。
「そちらの僕はどうだい?」
こうして話しているうちに興味が沸いたようで、にこにこと歌仙さんが私を見た。
「歌仙さんも似ていますよ。もしかして、和泉守さんに雅を叩き込もうとして失敗していませんか?」
「あぁ、やはりそちらの僕もそうなのか…」
正解だった。稽古場でこの本丸の和泉守さんが手合わせをしているのを見たけれど、やっぱり歌仙さんとの関係性はほぼ同じみたいだ。強いて言えば、こちらの和泉守さんの方が血の気が多くて土方歳三の影響が少し強い気がする。
「じゃあ、俺はどうかな」
「長曽祢さんのことを贋作贋作って言っていますけど、何だかんだ気に掛けてますよね?」
「う…」
「ただ、私たちの本丸にはまだ浦島くんが顕現していません。きっと寂しがってると思います」
恐らく脇差を顕現させると知って、長曽祢さんと一緒に浦島さんが来るんじゃないかと期待していた部分はあったと思う。けれど顕現したのは私だった。
「その時は縁がなかっただけで、紅葉薙が顕現する運命だったんだ。いつか絶対に浦島はそちらにも顕現する。そちらでも虎徹が揃う日を俺も楽しみにしていると2振りに伝えてほしい」
「分かりました。必ずお伝えします」
本丸では2振りとこの話をしたことがなくて、こうして蜂須賀さんにそう言ってもらえて心が軽くなった。
「あっ、紅葉薙の服乾いてるか見て来る!」
加州さんはどうなのか尋ねようとしたところで、彼は洗濯物を干す場所へと行ってしまった。あまり触れたくない話題だったんだろうか。
ちらりと山姥切さんを見ると、遠い目で庭を眺めている。彼も触れない方が良さそうだ。
「あー…、えっと…」
「そっちの俺は未だに悩んでいることは知っている。今日の件で思うことがあるのは確かだろう。もし聞いてきたら、お前自身で答えを出せと伝えてくれ」
「わ、分かりました」
そう言って、何事もなかったかのように桜餅を食べる山姥切さん。色々と納得した。
「陸奥守は?…間違えた、陸奥守さんは?」
「呼び捨てでえい」
にかっと笑った後、「そうやねぇ」と空を見上げた。
「何を言うてもそっちのわしは変わらんろうし、特に伝えることはないぜよ」
「分かった、聞かれたら伝えとく」
「そうしとーせ」
皆さんで静かに笑い合い、和やかな空気に包まれる中、加州さんがなかなか戻って来ない。ちょっと引っ掛かるものを感じて、洗濯物を干す場所を聞いてそちらへ向かってみた。
「お疲れ様~」
この本丸にいる全ての男士を見終え、主様のところへ向かっている途中で加州さんが声を掛けてくれた。そこにいるのは加州さんだけじゃない。歌仙さん、蜂須賀さん、山姥切さん…“始まりの五振り”と称される男士が縁側で並んで談笑していた。陸奥守さんも一緒にいるので、これで全振りが揃ったことになる。主様から連合を組んでいる審神者様の“始まりの一振り”はそれぞれ聞いてはいるけれど、実際に揃っているのを見ると圧巻だ。
「ちょうど昨日、良い茶葉が手に入ったんだ。紅葉薙も一服するかい?」
「主と遥さんのとこに戻るんだろうけどさ、頑張ったんだから寄り道したって怒られないよ」
「…そうですね。では、お言葉に甘えて」
「桜餅も一緒に楽しむといい」
主様も綾菜様もこういったことで怒るお方ではないし、貴重な機会なので一緒に過ごさせてもらうことになった。私が座ったのは加州さんの隣。私の横には陸奥守さん。まるで私たちの本丸のような顔ぶれに思わずふふっ、と笑ってしまった。私が大和守さんと同じ恰好なのもちょっと面白い。
「どうした?」
布を外し、美しい金髪を見せる山姥切さんが不思議そうに私を見る。
「私、陸奥守と清光くんと安定くんと一緒にいることが結構あって。同じだなー、って」
「ほーう、おまんはそっちのわしのことを呼び捨てにしちょるがか」
「まぁ、色々ありまして」
「不思議だね。何だかその光景が目に浮かぶよ」
雅にお茶を淹れてくれた歌仙さんが微笑む。
お茶をいただき、目を閉じた…のも束の間。…陸奥守を張り倒した記憶がぶわっと浮かんで口元が引きつった。
「えぇ、あいつは色々やらかしてくれましたよ、はい」
「えー、何が起きたの?」
私の口調で笑いだす加州さん。「ご想像にお任せします」と濁しておいたのに、「逆に気になるな」と山姥切さんが控えめに笑った。今度は私が目を丸くする番で、私の表情に「やはりな」と小さく溜息をつく。
「ね、陸奥守と紅葉薙の間に何があったの?俺たちにだけ教えてよ」
加州さんは興味津々だ。清光くんと比べると少し純粋な面が垣間見えた気がした(清光くんごめん)。
「…引かないで下さいね?」
「うん、約束する!」
「とある事件が起こって陸奥守を手入れ部屋行きにしたことがあります」
「は?!」
「あっ、引かないって約束したじゃないですか!」
1番反応が強かったのはやっぱり加州さん。歌仙さんも蜂須賀さんも山姥切さんも何が起こったのか想像がつかないみたいだ。唸りながら考え込んでいる。
「…痴話喧嘩かな?」
蜂須賀さんの真剣な問いにお茶を吹いた。虹が出来た。
「陸奥とはそんな関係じゃないです!」
「あり得ません!」「論外です!」と否定すればするほどこちらの陸奥守さんがへこんでいく。はっとして大慌てで弁明した。でも手遅れだった。いよいよ陸奥守さんから犬の尻尾と耳が生えた幻覚が見えて両手で顔を覆った。
「そっちのわしは何をしゆうがぜよ…」
「すみません…」
「土佐の男じゃろう!もっと堂々としちょればえいのに!」
「突っ込むのはそこじゃないと思います」
…あぁ、何かズレてるところは似てる。
「そちらの僕はどうだい?」
こうして話しているうちに興味が沸いたようで、にこにこと歌仙さんが私を見た。
「歌仙さんも似ていますよ。もしかして、和泉守さんに雅を叩き込もうとして失敗していませんか?」
「あぁ、やはりそちらの僕もそうなのか…」
正解だった。稽古場でこの本丸の和泉守さんが手合わせをしているのを見たけれど、やっぱり歌仙さんとの関係性はほぼ同じみたいだ。強いて言えば、こちらの和泉守さんの方が血の気が多くて土方歳三の影響が少し強い気がする。
「じゃあ、俺はどうかな」
「長曽祢さんのことを贋作贋作って言っていますけど、何だかんだ気に掛けてますよね?」
「う…」
「ただ、私たちの本丸にはまだ浦島くんが顕現していません。きっと寂しがってると思います」
恐らく脇差を顕現させると知って、長曽祢さんと一緒に浦島さんが来るんじゃないかと期待していた部分はあったと思う。けれど顕現したのは私だった。
「その時は縁がなかっただけで、紅葉薙が顕現する運命だったんだ。いつか絶対に浦島はそちらにも顕現する。そちらでも虎徹が揃う日を俺も楽しみにしていると2振りに伝えてほしい」
「分かりました。必ずお伝えします」
本丸では2振りとこの話をしたことがなくて、こうして蜂須賀さんにそう言ってもらえて心が軽くなった。
「あっ、紅葉薙の服乾いてるか見て来る!」
加州さんはどうなのか尋ねようとしたところで、彼は洗濯物を干す場所へと行ってしまった。あまり触れたくない話題だったんだろうか。
ちらりと山姥切さんを見ると、遠い目で庭を眺めている。彼も触れない方が良さそうだ。
「あー…、えっと…」
「そっちの俺は未だに悩んでいることは知っている。今日の件で思うことがあるのは確かだろう。もし聞いてきたら、お前自身で答えを出せと伝えてくれ」
「わ、分かりました」
そう言って、何事もなかったかのように桜餅を食べる山姥切さん。色々と納得した。
「陸奥守は?…間違えた、陸奥守さんは?」
「呼び捨てでえい」
にかっと笑った後、「そうやねぇ」と空を見上げた。
「何を言うてもそっちのわしは変わらんろうし、特に伝えることはないぜよ」
「分かった、聞かれたら伝えとく」
「そうしとーせ」
皆さんで静かに笑い合い、和やかな空気に包まれる中、加州さんがなかなか戻って来ない。ちょっと引っ掛かるものを感じて、洗濯物を干す場所を聞いてそちらへ向かってみた。
